白山白川郷ホワイトロードも、4年近く通行止めになっています。

石川県の内陸ネットワーク

石川県小松市から岐阜県北部の白川郷へ直結し、そのまま上高地経由で松本方面を見据える「小松白川連絡道路」の構想があります。

福井・石川・富山は「北陸道」で日本海沿いのネットワークがつながっているだけで、内陸部の岐阜県長野県方面は急峻な山岳地帯に阻まれ、近くて遠い存在でした。現在、高速道路はかろうじて「東海北陸道」が東海エリアへつながっています。

石川県から岐阜県へ抜ける唯一の道路が、小松市から白川村へ抜ける国道360号です。県境の長い山岳区間は有料の「白山スーパー林道」として1977年に開通。2015年に「白山白川郷ホワイトロード」に名称変更し、現在にいたります。

その白山白川郷ホワイトロードは2020年に大規模な土砂崩れに見舞われ、4年近く経ってもいまだに復旧していません。また、もともと冬季通行止め区間であり、ネットワークとして機能不十分でした。

そのルートを長大トンネルなどで高規格化し、東海北陸道と「中部縦貫道」へつなげて岐阜・長野方面へ動脈ルートを開拓しようとするのが「小松白川連絡道路」です。開通すれば、「ホワイトロード」経由のクネクネ山道に比べ、1時間10分もの時間短縮が図られる想定があります。また、東海北陸道九頭竜方面が寸断された際の代替ルートしても期待がかかっています。

まず国では、ここに長大トンネルが実現するのかどうか、坑口地点の選定や地すべり調査などの調査を続けている状況。小松~白川郷の50kmのうち、県境部の30kmが調査区間となっています。国会議員のあいだでは「小松・白川道路建設促進参議院の会」が作られ、事業化に向け機運を高めています。石川県でも毎年300万円の調査費を計上しており、今年も調査業務が発注されています。

とはいえ、2009年に大まかなルート帯が絞り込まれたの最後に、先述の国の調査が固まらない中、目立った進展は見られていません。北陸地方整備局は2023年度の「概略ルート確定」に向けた調査対象、つまり計画具体化の優先路線に「新潟山形南部連絡道路(片貝~金丸)」「高岡環状道路(北側区間)」を挙げており、小松白川連絡道路は優先順位として、少なくともそのあとに位置付けられているようです。

もともと平成初期に「太平洋側には愛媛~大分の橋や伊勢湾横断など景気のいい構想があるのに、日本海側にはないのか」という声から、議員や国とのあいだで「では日本海側と太平洋側をむすぶトンネルはどうか」という話になり、立ち上がった構想のひとつがこの道路。福井県では「大野油坂道路」「冠山峠道路」が開通を迎える中、石川県の内陸ネットワークはいつ具体化していくのでしょうか。

急峻な峠越えで小松と白川郷をむすぶ「白山白川郷ホワイトロード」。長年通行止めが続いている(画像:写真AC)。