テッド」シリーズのユニバーサル・スタジオが、“闇堕ち”したワンちゃんたちの活躍を描く『スラムドッグス』が11月17日(金)から公開される。本作もそうであるように、“犬映画”といえば、犬がしゃべるというファンタジックな設定もお決まりの一つ。ここでは感動系からブラックコメディまで、犬の気持ちがわかる映画をまとめて紹介したい。

【写真を見る】犬の気持ちがわかる?犬がしゃべる映画6選!(『スラムドッグス』)

■犬も人間のように荒れる?闇堕ちぶりがユニークな『スラムドッグス』

まず“犬がしゃべる系映画”で多いのが、劇中の人物にはわからないが、犬同士や観客には言葉が伝わるパターン。『LEGO(R) ムービー』(14)のフィル・ロード&クリストファー・ミラーがプロデューサーを務め、野良となった犬たちの復讐劇を描いた『スラムドッグス』もその一つだ。

飼い主のダグ(ウィル・フォーテ)のことが大好きな犬のレジーは、ある日、家からはるか離れた都会に捨てられてしまう。毎度のお遊びだと思い、いつも通り自力で家へ帰ろうとするレジーだったが、道中、カリスマ野良犬のバグとその仲間たちと出会い、自分が“捨てられた”という事実を突きつけられる。ダグが最低の飼い主だと知ったレジーは復讐を決意。計画に賛同したバグたちと共に家を目指していく。

ひどい扱いをされていることに気づきもせず「ダグが大好き」と語るレジーの純粋さのかわいらしいこと。そんなレジーが怒り狂って「ダグのチ〇コを噛みちぎる」という大胆な復讐を決意したり、仲間たちと酒を飲んだり、マジックマッシュルームを食べてラリったり…とヤケになる姿はまるで人間のよう。ちなみにレジーの声にはウィル・フェレル、バグ役にはジェイミー・フォックスなど大物が起用されている。

■些細な日常を犬目線で切り取った愛犬家垂涎の『僕のワンダフル・ライフ』

そんな『スラムドッグス』にはデニス・クエイドがカメオ的に出演しているが、クエイドが過去に主演した『僕のワンダフル・ライフ』(17)やその続編『僕のワンダフルジャーニー』(19)もまた、同じパターンの作品だ。

HACHI 約束の犬』(09)といった犬映画の名手ラッセ・ハルストレム監督がメガホンを握った『僕のワンダフル・ライフ』は、犬のベイリーが輪廻転生を繰り返し、様々な飼い主たちとの時間を過ごしながらも、昔の飼い主イーサンに再び会おうと奮闘する感動作だ。

何度もイーサンに繰り返し名前を呼ばれ、「僕の名前はベイリーなんだ!」と気づき喜ぶ姿など、犬視点で日常の些細な場面が語られるのが、犬好きにとってはたまらない。なおベイリーのボイスキャストを務めたジョシュ・ギャッドは『スラムドッグス』にも犬役で出演している。

■ありえそうな犬の世界を描く『犬ヶ島』

ウェス・アンダーソン監督の『犬ヶ島』(18)は、伝染病の原因とされた犬たちが隔離された島を舞台に、愛犬を捜す少年とそれを手伝う犬たちの姿を描くストップモーションアニメ。本作も先述のパターンで、少年を取り巻く犬たちのシュールな会話が繰り広げられる。

愛犬と再会しようと健気な少年にほだされてすぐに協力する犬から、野良とされた経験から人間を信用しない犬まで個性がしっかりと描かれる本作。とはいえ、人間の言葉がわからずとも「シット!」と言われれば「この言葉はわかるぞ」と飼い犬時代の習性で反射的に従うという犬あるある(?)ギャグや、犬の間で広がる噂話、独自に形成されるコミュニティなど、ありそうな犬の世界を楽しむことができる。

またハイテクなヘッドセットを通して、少年と愛犬が互いへの信頼を言葉にする感動的な描写もあり、そんな時代が早く来てほしいと思ってしまうはず。なお、ビル・マーレイ、エドワードノートンスカーレットヨハンソン、ブライアン・クランストンら超豪華な俳優たちが犬になっている点も本作の見どころだ。

ブラックジョークを話すオジ犬が登場する『少年と犬』

“犬がしゃべる系映画”で多いのが、主人公にだけ犬の声が聞こえるようになるパターン。あらゆる動物の声が聞こえる主人公を題材とした「ドクター・ドリトル」シリーズなど多くの作品が作られてきた。

ハーラン・エリスンの同名小説を原作とするSF『少年と犬』(75)もその一つ。核戦争によって文明が崩壊し、遺伝子変異により女性が生まれなくなった近未来。少年のヴィックは、意思疎通ができる超能力犬のブラッドと共に、女性と食糧を求めながら厳しい世界を放浪していた。ある日、少女クィラと出会ったヴィックは、彼女から独自文明が築かれた地下の話を聞き、ブラッドの忠告にも耳を貸さず、地下社会へと足を踏み入れてしまう…。

テレパシーによって犬の話すことがわかるという画期的設定がユニークな本作。かわいいルックスとは裏腹に渋いおじさんボイスで、達観したようなブラックジョークを連発するブラッドのギャップにもクスリとさせられる。

■犬の言葉が聞こえるけど実は…『ハッピーボイス・キラー

ハッピーボイス・キラー』(14)も同じく主人公だけに犬の言葉がわかるというパターンの1作。ライアン・レイノルズが主演を務める本作は、アメリカの片田舎に暮らす孤独な青年ジェリーが、殺人を犯し正気を失っていく様子をポップに描いた異色のコメディだ。

ペットの犬や猫の言っていることがわかるジェリーは、思いを寄せる女性のことなど、日常のあれこれを相談していた。優しい言葉をかける犬となにかと皮肉的な猫との日々を過ごすジェリーだが、実は心の病気で、自身の心の声が慈悲深い犬と邪悪な猫の「声」という形で聞こえてしまっているのだった。なんともポップな形で心の病を表現している本作、このためペットの声もレイノルズが担当している。

■欲望まみれの犬の姿がかわいい『ミラクル・ニール!』

モンティ・パイソンのテリー・ジョーンズが監督した『ミラクル・ニール!』(15)は、ひょんなことからほとんどなんでもできる能力を手に入れた男が地球の命運を託されるコメディ。主人公の能力によって愛犬が人間の言葉と合理的な思考を与えられたため、珍しく犬が誰とでもしゃべれるようになる1作だ。

合理的な思考を手にした愛犬のデニスだが、ビスケットが必要な理由を理路整然と語ったり、猫が中庭に現れれば騒いだり、飼い主のニールへの愛をしっぽを振りながら言葉にしたり…欲望や感情に逆らえないのがリアルでかわらしい。このデニスの声をロビンウィリアムズが担当しており、本作が遺作となった。

今回紹介した作品以外にも、ビバリーヒルズに暮らすセレブ犬たちの日常を描いた「ビバリーヒルズ・チワワ」シリーズや2019年に実写化もされた『わんわん物語』(55)、友人宅に預けられた3匹の犬が飼い主の家を目指して山越えの旅をする『奇跡の旅』(93)、人間の留守中にペットはどんなことをしているのか?という疑問をペット目線で描いた「ペット」シリーズなど多彩な作品があるので、ぜひ『スラムドッグス』と合わせてチェックしてみてほしい。

文/サンクレイオ翼

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