株式会社マイナビ(本社:東京都千代田区、代表取締役 社長執行役員:土屋芳明)が運営する『マイナビアスリートキャリア』と一般社団法人大学スポーツ協会(以下UNIVAS)、株式会社SPLYZA(以下SPLYZA)は、2023年10月19日(木)にメディア向けトークセッション「いま話題の“選手の主体性”を活かす指導法は果たして正しいのか?社会で活躍できる人材育成のための指導者の在り方とは」を開催しました。

今回はゲストに、青山学院大学駅伝部の原晋監督を迎え、今後の指導者の在り方や、自主性や主体性を持って取り組んだスポーツ経験が、社会での活躍にどのような影響を与えるのかを紐解きました。

本イベントには他に、UNIVAS理事の伊坂忠夫氏、SPLYZA代表取締役の土井寛之氏、マイナビ アスリートキャリア事業部 事業部長の木村雅人が登壇。それぞれの視点から意見を交わしました。

  • 登壇者プロフィール

青山学院大学駅伝部 監督 原晋氏

中学から陸上を始め、中京大学では3年時に日本インカレ5000mで3位入賞。卒業後は中国電力株式会社の陸上競技部に入部し、引退後は同社の営業部のサラリーマンに。2004年から青山学院大学陸上競技部監督に就任。着実に改革を進め、2015年から2018年大会まで箱根駅伝で4連覇を飾るなど、独自の指導法で陸上界を大きくけん引している。

一般社団法人大学スポーツ協会 理事/立命館学園副総長・立命館大学副学長 伊坂忠夫氏

1992年立命館大学工学部助教授就任。その後2010年にスポーツ健康科学部教授、2016年にスポーツ健康科学部長を経て、2019年に立命館学園副総長・立命館大学副学長に就任。主に、スポーツ活動中や日常生活でみられるヒトの動きを力学的・生理学的観点から解析し、競技力向上や日常活動支援へ応用することをテーマに活動。

株式会社SPLYZA 代表取締役 土井寛之氏

元製造業ソフトウェアエンジニア。社会人になってからウィンサーフィンに出会い単身オーストラリアへ。帰国後の2011年にSPLYZA創業。30種類以上のスポーツで約900チームに利用されている映像振り返りツールSPLYZA Teams』などを開発。「スポーツの教育的価値の向上」を目指して会社を経営している。

株式会社マイナビ アスリートキャリア事業部 事業部長 木村雅人

5歳からサッカーをはじめ高校卒業後にJリーグへ。引退後、大学へ入学し教育学を学ぶ。2004年株式会社マイナビ入社。現在はアスリートキャリア事業部 事業部長として、「スポーツを通じた人材育成の可能性」をテーマにアスリートの「人材育成」と「就労支援」に関する事業を執行。

  • セッション1】 アンケート調査結果から読み解く!指導方法が社会での活躍に与える影響

2022年12月にマイナビアスリートキャリアとSPLYZAが実施した、「スポーツ経験と社会での活躍の相関性」に関する調査の結果から、指導方法により仕事への有効性や身に付く力に違いが出ることが分かりました。選手・指導者のどちらかに依存した指導環境ではなく、選手たちから出てきた意見を踏まえた意思決定を行い、選手を指導する「双方向型」は、選手自身が考える機会が増えることで社会を生き抜く力の向上に繋がると考えられます。

この結果を受け原氏は、「指導者君臨型」や「サーバント型」のどちらかがよいというわけではないことを言及した上で、「私自身も君臨型からサーバント型のリーダー(指導者)へ移行することにより、選手自身が考え行動できる環境になった」とコメントしました。

また、伊坂氏は「双方向型で指導をしないと探求型学習はできないため、指導者と学生がディスカッションできる環境が必要になってきている。それを受け入れて行動していく指導者が多くなるべきではないか」と見解を述べました。

  • セッション2】 選手の主体性や自主性を活かした指導法とは?

セッション2では、指導者の在り方に変化が必要といわれていることを踏まえ、選手の主体性を尊重した指導とはどのようなものになるのかを解説しました。

伊坂氏は、「まずは安全と安心の担保が必要。その上で自らの成長をどのように楽しめるのか、ワクワクできるのかが大切だ」と述べました。

原氏は、現在自身で行っている指導方法について、目標管理ミーティングを定期的に開催していると説明。また、ITスキルをスポーツの指導現場に活用することについて、データ管理が箱根駅伝の勝利にもつながるとコメントしました。

土井氏は、「スポーツと社会で活躍するための共通点は正解がないところ」と述べ、大切なポイントは

1.課題発見 2.課題解決 3.チームで推し進める力 とし、

ITやテクノロジーの活用についてはこの3つのポイントを身に付けるための「手段」とコメント。トライ&エラーを重ねる中でより早く解決策を見つけるために、ITツールの活用が必要になってくると説明しました。

  • 【セクション3】指導者はどのように「ITスキル」や「人間力※」など社会で求められるスキルを選手に提供するべきか?

※人間力(内閣府 人間力戦略研究会報告書 (平成15年4月) より)「社会を構成し運営するとともに、自立 した一人の人間として力強く生きていくための総合的な力」

主体性や自主性は社会で求められているスキルや能力であることを踏まえ、これからの指導現場で必要なことや学生に対して提供できることはどのようなものかについて解説しました。

木村は、採用において学生が評価されるポイントに触れた上で、「他者と協力して同じ目標の達成に向けて行動できる能力はこの先の未来でも求められている」と話しました。今求められていることと、2050年に求められている能力には大きな変化があると予測されることから、幼少期からどのような能力を育んでいく必要があるかを考える事が大事だと説明。「指導環境においては将来活躍する人材の個人の能力を伸ばすことを意識し、適切なマネジメントが重要である」と述べました。

土井氏からはSPLYZAで働く人材にも触れ、1.課題発見 2.課題解決 3.チームで推し進める力を兼ね備えている人材は学生時代コーチで分析をメインでやっていた方(アナリスト)が多く、今はカスタマーサクセスを担当していると説明。またマネジメント層になった際にはこの3つの力を兼ね備えていると活躍していくことが多いと言及しました。

木村と土井氏のコメントを受けて伊坂氏は、自身がUNIVASで展開しているデュアルキャリアプログラムについても触れ、人間力育成が大切だと述べました。「主体性や自主性を選手に身につけさせたいのであれば、まずは指導者自身が身に付け、常にアップデートする必要がある」とコメント。また、「競技だけに専念するのではなく、様々な価値観を理解し議論することが大切であり、多様な環境の中で生き抜いていける人材をスポーツ界からも輩出できるはずだ」と話しました。

そして最後に原氏は、選手に自主性・主体性を尊重した指導を行うためには「選手自身が言語化すること」を指導者が伝えていくべきと話しました。コミュニケーション能力を高めていくためにも会話を深くしていく必要があり、下記3つのポイントが大切だと説明。

1.展開力(情報量や知識量が必要で学業も大事な理由はここにあり他分野への興味を持つことも大切)

2.本質把握力(核心の部分を理解する力)

3.提案力

経験談などを混ぜつつ話すスキルをつけることが大切であり、これらの要素を持つことで、様々な課題を解決できるのではないかとコメントしました。

  • 【総括】

選手・指導者のどちらかに依存した指導環境ではなく、選手と指導者が常に意見を交わすことで、選手自身の考える機会が増えていきます。そうすることで、スポーツで培った能力が社会で活きていると感じる人が増え、社会人基礎力および社会を生き抜く力の向上につながるという選手の主体性の重要性や、人材育成のための指導者の在り方について改めて考える場となりました。

  • UNIVAS概要

URL:https://www.univas.jp/

概要:一般社団法人大学スポーツ協会(略称UNIVAS)は、文武両道の奨励のほか、大学スポーツ界全体の統括と振興を目的に2019年3月に発足。学修環境の充実、安全・安心して競技に取り組める環境整備と共に、大学スポーツ全体の価値向上にむけて活動しています。

URL:https://www.splyza.com/

概要:株式会社SPLYZAは、アプリケーション開発を通してスポーツ×教育を支援しています。

スポーツの上達に加え、スポーツを通じて正解のない問題を考える力が身に付くようなサービスを生み出し、社会に出てから必要とされる「主体性」や「考える力」をスポーツ・部活動を通じて育むことができると感じてもらえるように、スポーツの教育的価値のさらなる向上を目指しています。

URL:https://athlete-career.mynavi.jp/

概要:『マイナビアスリートキャリア』はアスリート向けキャリア支援サービスで、2018年12月にスタートしました。プロ・アマ・学生問わず全てのアスリートのキャリア育成を目的とした講座『アスリートキャリアスクール』を企画・運営し、スポーツとビジネスどちらでも活躍が出来るように、競技力およびビジネススキルの向上をサポートしています。また就労支援としてアスリートと企業のマッチングをする職業紹介サービスも提供しています。 さらに、UNIVASとトップパートナー契約を締結し、運動部学生のキャリア形成をサポート。社会から求められる「卓越性を有する人材」の育成事業や就職活動支援を行っています。

配信元企業:株式会社マイナビ

企業プレスリリース詳細へ

PR TIMESトップへ