若くして韓国を代表するスターとなっているイ・ジョンフ。その去就は大きな注目を集め続けている。(C)Getty Images

 今オフのメジャーリーグにおけるストーブリーグは、アジア球界に熱視線が注がれている。日本人選手ではキャリア初のフリーエージェント(FA)となった大谷翔平をはじめ、ポスティングによる移籍が確実視される山本由伸今永昇太など実力者が移籍市場に名を連ねている。

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 かつてないほどにアジアに目が向けられている今オフの市場で、小さくない注目を集める選手のうちの一人が、KBO韓国プロ野球リーグの強豪キウムに所属するイ・ジョンフだ。

 現在25歳の若き“韓流スター”も山本らと同様にポスティングによるメジャー移籍が有力視される一人だ。かつて中日で活躍したイ・ジョンボム氏を父の持つサラブレッドは、22年シーズンに首位打者(.349)と打点王113)の二冠を達成。リーグMVPにも選ばれるなど、名実ともにアジア屈指の巧打者へと飛躍を遂げた。

 父親譲りの類まれな野球センスから「韓国のイチロー」とも称される天才肌だ。鵜の目鷹の目のメジャースカウトが逃すはずがない。すでに大物代理人スコット・ボラス氏とも契約しているイ・ジョンフには、ジャイアンツパドレスなど複数球団からの関心が伝えられている。

 そんな若手スターの挑戦を国内メディアも後押しする。日刊紙『朝鮮日報』は、「イ・ジョンフは、スーパーエージェントであるボラス氏の手を取った。百戦錬磨の彼は、交渉の達人であり、マスコミを使った情報戦の奇才だ」と指摘。大物代理人との契約がポスティング交渉において有利に働くと見たうえで、「今の彼に最も近い例は吉田正尚だ」と断言した。

 昨オフにオリックスからポスティングを宣言した吉田。最終的にレッドソックスと5年9000万ドル(約126億円※当時のレート)というメガディールを締結した和製大砲との比較を展開する『朝鮮日報』は、「イ・ジョンフは吉田よりも5歳も若く、身長や体格など身体的な条件が良い。また、中堅守備も可能で、守備力も高く評価されている。比較的に交渉においては有利な立場にあると言える」と強調。そして大型契約の可能性を記している。

「吉田とイ・ジョンフのポスティング金額を分ける唯一の差は、KBOよりも一歩先を行くNPB出身者ということだ。しかし、一部ではイ・ジョンフが9000万ドル以上の契約も引き出せると見ている。もしも、複数の球団による争奪戦が激化すれば、より『夢の契約』に近づくのは、ごく自然な流れと言える」

 23年シーズンの開幕前には「僕は大谷のようになりたい」と壮大な夢を語っていたイ・ジョンフ。今後にメジャー移籍を考える日本人野手の交渉における参考ともなり得るだけに、争奪戦の行方は興味深いものになりそうだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

交渉は「吉田正尚より有利」 MLB移籍有力の“韓国のイチロー”の126億円契約に母国紙が自信「夢の契約も自然」