オンライン文化祭上での開催も多かったこの3年間を経て、リアルでのイベント開催も完全復活し、再び盛り上がりを見せている今年のミスキャンパスコンテスト
一方で、この数年はミスキャンパスコンテスト自体を中止する大学や、名称・形式を変更する大学も出てきているが、出場する当事者たちはどう考えているのだろうか。そして、実際のところ、出場者たちの人生は、ミスキャンパスコンテストに出ることでどう変化するのだろうか?
ということでチェリーでは当事者にインタビューをおこなった。お話を聞いたのは、安藤 令奈(あんどう・れいな)さん。現在、東京大学大学院に在学中で、お茶の水女子大学大学時代には『水コン2020』に、そして昨年には『ミス東大コンテスト2022』に出場……と、2度の国立大学のミスキャンパスコンテスト出場経験がある才媛だ。
さらに今年の4月からは、秋元康総合プロデュースのフジテレビ系深夜番組『オールナイトフジコ』に出演中と、ミスキャンパスコンテスト出場後に活動の幅を広げているひとりである。
もともとミスキャンパスコンテストに対してはやや懐疑的で「顔でマウント取るなよーと思っていました(笑)」と語る安藤さん。なぜ、そう思っていた彼女が、2度もミスキャンパスコンテストに出場するようになったのか――!? 話を聞いた。

■ミスキャンパスコンテスト出場のメリットとは?

――まずは、なぜミスキャンパスコンテストへの出場を決意したのか教えてください。

安藤「私が初めてミスキャンパスコンテストに出場を決めた2020年は、コロナ禍に入った年でした。起業をすることや、タレント・コメンテーターとして活動することが将来の目標なのですが、どの選択肢をとるにしても、リアルでの活動が制限される中で、SNS上の知名度を上げることが必要だなと感じたんです」

――たしかに、今のミスキャンパスコンテストは出場すると発表された時点で、多くのフォロワーがつきますもんね。SNSのフォロワー数の獲得以外にミスキャンパスコンテストに出場したメリットはありましたか?

安藤「雑誌をはじめとしたメディアへの登場など、普通の女子大生では経験できないであろうことをたくさん経験することができました。今、『フジコーズ』として活動できているのも、ミスキャンパスコンテストへの出場なしにはなかったことだと思います」

■『ミス東大』は他大より強い

――安藤さんは2つの大学で出場されていますが、数あるミスキャンパスコンテストの中でもやはり『ミス東大』のネームバリューは強いという感覚ですか?

安藤「そうですね……。やっぱり、雑誌に載るにしても、ミス東大だと、他大よりいい位置に載ったりできます。ほかにも、私の年はTGC(東京ガールズコレクション)に出場できたのはミス青学とミス東大だけだったりと差を感じることは多かったです。正直、出たときの周囲のリアクションもミスお茶大のときとミス東大のときでは段違いでしたね」

――ひとくちにミスキャンパスコンテストといっても、大学によって知名度や影響力などに格差が存在し、得られるメリットも異なってきますよね。逆にミスキャンパスコンテストに出場して大変だったこと・辛かったことはありますか?

安藤「本番前の一定期間、動画配信アプリで頻繁に生配信をすることが義務になっていたことですね。課金された量などで候補者たちがランキングをつけられて競わなければいけないんです」

――下位で辛かったということでしょうか?

安藤「いえ、私は上位のほうでした。ユーザーとの会話もするのですが、それもそれなりにできていたほうだと思います。ただ、動画配信は特に“努力した順に報われる”世界ではないと感じてしまったんです。できなかったから辛かったのではなく、そういう世界に身を置くことが辛かった。まあ、そんなこと言ったらミスキャンパスコンテスト自体がそうなのかもしれませんが……」

■ブスでもデブでもモテていた

――努力したから報われる世界ではないかもしれない――。それでも安藤さんとしてはミスキャンパスコンテストに出てよかったと思っているんですよね?

安藤「はい、今お話したSNS上の数字やメディアへの露出以外にもいい面はあります。やっぱり出場者同士で仲良くなるので、かわいい子たちのネットワークが広がっていくんです。その中にいると、自分もかわいくいなければ、と意識が高まっていきます。今も『オールナイトフジコ』の出演者の子たちとプライベートでも仲良くしていますが、学生時代にそういう女の子たちのコミュニティーに身を置くことができたことで、自分に良い変化が起きていると思います」

――出場前のご自身への評価が低かったということでしょうか?

安藤「うーん……というわけでもなくて(笑)。私、昔はブスでデブだったんです。でもブスの頃はブスなりにモテていたし、デブの頃はデブなりにモテていた。今とは寄ってくる人も、モテ方も別種類ではありますが……。『自分はもっとかわいくなれるはず』とは思っていましたが、あくまで自分を見つめての話であって、他人と比べて自分を卑下していたわけではないんです」

――ときどき、報われなかった時代の復讐のためにミスキャンパスコンテストに出場するといったタイプの方も見受けられますが、そうではないことがよくわかりました……!

安藤「もちろん、過去には私も『顔でマウント取るなよー』とミスコンに対して穿った見方をしていた時期もありました。でも不思議と、自分を磨くと世界の見え方が変わるんです。努力をしてみると、上手くいかない苦しさも感じるので、他人もそういう経験をしているんだろうなって想像できるようになりました。そうすると、自分のことも、他人のことも否定的に見ることが無くなるんですよね。この努力を何かに活かし続けるためにも挑戦したいと思って、ミスキャンパスコンテストに出ようと思いました」

■ミスキャンパスコンテストは“いい踏み台

――今は「ミスキャンパスコンテストを中止しろ」といった批判の声もありますが、それに対してはどう思いますか?

安藤「私は結局、グランプリも準グランプリも取れませんでした。でも出場をしたということをきっかけに『フジコーズ』をはじめとした新たなステップを踏むことができたんです。だから、言い方はおかしいけど、ミスキャンパスコンテストって私にとって“いい踏み台”なんです。だから『私たちの踏み台を勝手に奪わないで!』とは思いますね」

――たしかに、ミスキャンパスコンテストが最終目標っていうコはあまり聞きませんもんね。

安藤「もちろん、コンテスト後、内定先にSNSでの投稿を禁止されたり、うまく活動できないコもいます。でもこれから出場する後輩たちには『せっかく出るんだから上手く使ったほうがいいよ!』とはアドバイスしたいです」

――今後の目標はありますか?

安藤「今、数年前の自分の写真を見て、私は『ブスだなー!』と思うことができます。同じように、数年後、今の自分を振り返ったときに『ブスだなー!』と思いたいです。
強いて言えば、今を一生懸命生きながらも、数年後にはこの今を“黒歴史”にしていきたい、といったところですかね」

「ブスの頃もデブの頃もモテてたんですよねー」と語るときの口調も笑顔もとても爽やかだった安藤さん。ミスキャンパスコンテストは、外から見ると、生まれつきの美人が顔でマウンティングを取るものだったり、そうではなかった方が復讐するようなものに見えてしまうかもしれないが……。安藤さんのように爽やかに向上心を持つ人にとってはこんな“いい踏み台”として機能する面を、確かに持つものなのである。

(取材・構成:霜田明寛)

【関連リンク】

安藤令奈Instagram
https://www.instagram.com/reina_ando_0825/

2度出場のミス東大「ミスキャンパスコンテストは“いい踏み台”」の真意