民放公式テレビ配信サービス・TVer初の完全オリジナル番組「最強の時間割〜若者に本気で伝えたい授業〜」のシーズン2がスタート。11月10日(金)に配信開始となった#2では、「人生相談をしたい」という女性が殺到している、テレビやYouTubeでも注目の産婦人科医・高尾美穂が登場。男性も知っておきたい、生理とココロのメカニズムについて説明した。

【写真】元乃木坂46の秋元真夏が話題の産婦人科医・高尾美穂の授業を受ける

■「最強の時間割」とは

「最強の時間割 ~若者に本気で伝えたい授業~」は、さまざまな業界のトップランナーを講師として招き、学生や社会人に「知っておいてよかった」と思える“考え方のヒント”を届ける民放公式テレビ配信サービス「TVer(ティーバー)」の完全オリジナル番組。

2022年12月から約半年にわたり、放送された同番組が好評を受けて帰ってきた。シーズン2は11月3日よりスタートし、シーズン1に引き続きラランド・ニシダが副担任役、ラランドサーヤが生徒役。そして新しく生徒役として元乃木坂46秋元真夏、佐藤新(IMP.)、韓国人インフルエンサー・らんが参加する。

■メンタルに影響を及ぼす女性ホルモンの正体

産婦人科でありながらヨガ指導者やスポーツドクターの肩書を持ち、内閣府男女共同参画局などで産業医としても活躍する高尾美穂。現在はクリニックで週4日勤務しながら、マンツーマンのパーソナル相談室で月経周期にまつわる身体の相談のみならず、家庭や職場の相談に乗っているが、その悩みの多くは「女性ホルモンに関わっている」という。

秋元のように「笑い声が大きい人がいたら普段以上にうるさいと感じ、そんな自分が悪い人間に思えてより落ち込む」という人がいたり、らんのように「生理痛がひどくて部屋の壁紙を破ったことがある」という人がいたりと、生理前~生理中の身体と心の変化は人によって様々。そこに大きく影響を及ぼす女性ホルモンとはそもそも何なのか。

成長ホルモンやアドレナリンなど、人の体では50種類以上のホルモンが作られる。その中で男性の精巣で作られるテストステロンを男性ホルモン、女性の卵巣で作られるエストロゲンが女性ホルモンと一般的に呼ばれているのだ。だが、女性には女性ホルモン、男性には男性ホルモンの量が多いというだけで、人間の体には両方のホルモンが備わっているという。

肌の調子を整えてくれたり、髪の成長をサポートしたり、骨の形成を促す働きを持っていたりと、女性にとって重要な役割を果たす女性ホルモン。一方で抗うつ・抗不安作用の働きも持つ女性ホルモンが減少する生理期間は、イライラしたり落ち込みやすくなったりする。さらには、女性ホルモンが一時的に大きく落ち込んだまま維持される産後は、マタニティーブルーや産後うつに陥りやすいと高尾は説明した。

■生理中の女性に男性ができることは?

高尾は医師免許を取得後、「生まれた時から下手したらおばあちゃんになるまでずっと女性の人生を眺めていける」という理由から産婦人科医を選んだ。実際に幅広い年齢の女性から相談を受けているが、特に多いのがパートナーや子供など、身近にいる人との関係についての悩み。その理由について、高尾は「近いから分かってくれていると思ってしまって、分かってほしいことをちゃんと伝えていないから」と推測する。母親と仲が悪く、家の敷居を跨がせてもらえないというニシダにも「お母さんが本当に伝えたいことは違うかもしれないよ」とアドバイスを送った。

また、生理前や生理中につい食べ過ぎてしまうという秋元にはそのメカニズムを説明。通常、人は食事後約5〜6時間で空腹を感じるが、生理前や生理中には食後約3時間で空腹を感じるそう。その時に甘いものを食べると血糖値が一気に上昇。そこから今度は一気に血糖値が下がり、そのアップダウンがイライラの原因になるという。そのため、空腹を感じたら、ゆで卵や枝豆など、血糖値が上がり過ぎないタンパク質を意図的に補うという対処法を高尾は提示した。メンタルの不調については、まずそういう時期があることを知っているのが重要だという高尾。「自分のせいじゃない」というある種の開き直りが心の安定に繋がるそうだ。

こうした生理の話題について、日本ではタブー視される傾向にある。そのため、日本にきてから「そんなに恥ずかしがるものなんだ」と驚いたというらん。一方、韓国では「今日は生理だからテンションが低い」と言うと、男性も「甘いものいるか?」と聞いてくれるような通常の話題として生理の話が扱われているそうだ。

ここで、男性のニシダと佐藤から高尾に「生理中の女性に男性ができることは?」という質問が。それに対し、高尾は「女性も男性もお互いに調子が悪い時期はある」とした上で、「特別扱いせず体調が悪い人への自然な気遣いが必要」と回答。また、「生理中の女性は機嫌が悪そうに見えるかもしれないが、機嫌じゃなくて体調が悪いのかもしれない。機嫌が悪い人と体調が悪い人にかける言葉は違いますよね」と語った。

秋元真夏「ポジティブに明るくなった」

自身も昔から運動する中で、集中できず頑張れない生理期間に悩まされたという高尾。そのことから、産婦人科医だからこそ知っている知識を同じく運動習慣がある女性に伝えたいという思いからスポーツドクターとしても活躍している。そもそも運動習慣によって生理の重さが楽になることもあり、例えば経血を押し出すために子宮が収縮する際の痛みは運動でかなり改善されるそう。そのため、生理の後半は動ける範囲で動くことを高尾はオススメしている。

また、メンタル面の安定には高尾が指導しているヨガも効果的。1分に平均12〜20回の呼吸を6回に減らすだけで心が落ち着くとされているため、ネガティブ思考が止まらない時はヨガの動きに集中することが一つの解決方法になるという。

高尾は今回、“木”のポーズを紹介。立った状態で体重を右足にかけ、浮かせた左足の裏くるぶしか膝の横にぴったりとつける。そして、お腹に力を入れてバランスを取りながら、両手を上にあげて5秒間キープ(慣れたら少しずつ時間を長くしていく)。たったこれだけだが、体の動きに集中しないとできないため、気が紛れるそうだ。

ここまで高尾の講義を聞いて、「イライラや落ち込みも自分のせいじゃないと思えて、ポジティブに明るくなった」と秋元。生理期間の心と身体の変化は避けられないが、少しでも対処できることを高尾は教えてくれた。

最後に番組恒例の「かっこいい大人とは?」という質問に、高尾は「自分の機嫌は自分で取ることができる人」と回答。その上で「私たちは周りに影響を及ぼす存在だからこそ、周りの人のためにも自分が調子良くいる。そういう状態を選ぶことが大事」と語った。

■文=苫とり子

TVerオリジナル番組「最強の時間割」シーズン2の#2が配信/(C)TVer