俳優だけでなく、レゲエDeeJayとしてもカリスマ性を放つ窪塚洋介。11月2日より配信されるAmazon Original映画『ナックルガール』では、主人公のボクサー・橘蘭(三吉彩花)が立ち向かう犯罪組織の役員・白石誠一郎を演じている。同作は韓国で人気の同名漫画を原作に実写化された、日韓共同作品。窪塚が演じた白石は原作には登場しない映画オリジナルの存在となっている。原作に登場しない存在でのオファーについて窪塚は「そこまでしてもらえるの?」と驚き、オリジナルの存在である“白石”については「本当の正念場や修羅場で持つべき肝っ玉を持っていない」と話した。他にも、芸歴28年の窪塚が大切にしている“軸”について、芸能界の“時代変化”についても語ってくれた。

【写真】窪塚洋介、“カリスマ性”が溢れ出るモノクロショット

■原作には登場しない“インテリヤクザ白石”は「正念場や修羅場で持つべき肝っ玉を持っていない」

――初めに本作への出演が決まった時のお気持ちをお聞かせください。

プロデューサーから、原作にない役を用意するというお話を頂き、そんなことしてもらえるの?と驚きつつ、台本を頂いてから決めようと思っていました。そして台本を読んでみたら、ストーリーは面白いし、日韓の合作という座組も面白いなと思いました。

――脚本に描かれた白石はいかがでしたか?

悪いやつではあるのですが、主人公の蘭に対するヒール役としては伊藤英明さん演じる二階堂がいます。その彼の後ろにいる立場で、二階堂に対しても疎ましく思っているキャラクターですが、自分が演じることで、どれだけ面白い役になるのか?と、ある意味挑戦だと思いました。

――白石を演じる上でこだわったポイントを教えてください。

エリートで人の痛みがわからない。そして温室育ちの温い部分がある、インテリヤクザだったので、エレガントさや土臭くない、生活感の無い立ち振る舞いを意識しました。

――実際に、原作には登場しない“白石”を演じてみていかがでしたか?

白石は、やはり温室育ちの部分があるので本当の正念場や修羅場で持つべき肝っ玉を持っていないところが、白石を演じる上での面白さでもありました。

■国境を越えた日韓共同作品…「毎回一回ハグをしてから撮影を始めていました(笑)」

――日韓共同作品ということで言葉の壁もあったかと思いますが、撮影現場の雰囲気はいかがでしたか?

チャン監督がすごくチャーミングな人で、毎回一回ハグをしてから撮影を始めていました(笑)。メリハリのある、バランスのとれた現場だったので、個人的にはとてもお芝居がしやすかったです。

――日本の監督と見せ方の違いを感じるところはありましたか?

日本で撮影はしましたが、映像の撮り方や構成の仕方が独特で、見慣れた日本の景色が違って見えてくるところが、とても新鮮に感じました。

――原作と比べてみていかがでしたか?

原作にも、韓国版と日本版があり本作は日本版になぞられて作られてはいるんですが、全くの別物。登場人物の名前や設定もだいぶ変わっているので、オリジナル映画と言っても過言ではないと思います。

――完成した映像をご覧になった感想をお聞かせください。

本当に、アクションエンターテインメントだと実感しました。三吉ちゃんのナックル一つで戦う姿がとても様になっていてかっこよかったです。他にも、漫画的なエンターテインメント的な部分だったり、韓国の監督が撮っている日本の映像というところも非常に見応えがあります。

■芸能活動の軸は“わくわく・ドキドキを信じること”

――窪塚さん自身の芸能活動についてもお話を聞きたいのですが、芸能活動をする上で大事にしている軸を教えてください。

やはり楽しむこと。自分自身がわくわく・ドキドキできることをやって行くこと。なので、今後も、“言われたからやる”ではなく、自分の胸のドキドキを信じて活動を続けていきたいです。

――まさに、窪塚さんのYouTubeやInstagramからはわくわくが伝わってきます。昨今SNSが普及し、窪塚さんのように、SNSを活用する方達が増えています。SNSの普及したことで、芸能界への影響はありましたか?

現在問題になっているジャニーズの問題含めて、芸能界が一段落する前の総仕上げが起こっているように感じます。だんだんと昭和時代に築いてきた芸能界に亀裂が入っていて、SNSやインターネットの普及により、“ダムの決壊は蟻の一穴が起こす”のように、亀裂に水が流れ込んでしまっている。

――芸能界の“ダムの決壊”は良い方向に働きそうですか?

時代は常に流れていくものなので、今起きている現象は良い悪いとかではなく、変化するために必要な自然な流れだと思っています。なので、この変化を楽しみながらまた、楽しんでいきたいです。

――では最後に、映画『ナックルガール』の見どころをお願いします。

やはり、三吉さんのアクションは一つの見どころになってくると思います。三吉さんはどんどん注目を浴びるようになっているところだと思いますが、そんな彼女を中心に据えて贈る作品を楽しんでいただきたいです。

◆取材・文=山田椋太

窪塚洋介/撮影=梁瀬玉実