子どもがいる人の中には、「子どもがなかなか言うことを聞かない」など、育児に関して何らかの悩みを抱えている人は多いのではないでしょうか。悩みを放置したままにすると、精神的に余裕がなくなり、つい感情的に子どもに接してしまうことがあると思います。

 子育ての際に悩んだり、精神的に余裕がなくなったりした場合、どのように対処したらよいのでしょうか。子どもと接する際のポイントなどについて、保育士の新倉真佐子さんに聞きました。

心を落ち着かせる時間を取ること

Q.保育士として、子どもと接する際に一番意識していることはありますか。

新倉さん「私は、『みんな違ってみんないい』ということをモットーとしています。最近は個性やアイデンティティーが重要視される時代になってきましたが、以前は『右向け右』といったような、とにかく協調性が重要だという風潮がありました。

もちろん集団生活をしているのは前提ですが、その中でそれぞれの子どもたちが違う『個』を持っていること、好きなものや苦手なものが違うこと、それらの点を常に念頭に置きながら子どもと接しています」

Q.時には、子どもに怒ってしまう場合があると思いますが、問題ないのでしょうか。逆に、子どもに優しく接し過ぎても良くないのでしょうか。

新倉さん「つい怒ってしまうのは、それだけお子さんに対して強い思いがあるからだと思います。しかし、大人があまり感情的になってしまうと、子どもに本当に伝えたいことがうまく伝わらなくなり、悪循環に陥りやすくなるため、注意しましょう。

また、感情が錯綜(さくそう)していたり、昨日と今日で違うことを言ったりしている状態だと、子どもは混乱してしまいます。

怒らずに落ち着いて子どもと接することができるのがベストですが、それは『良いこと・悪いこと』など伝えなければいけないことを伝えるコミュニケーションができていることが前提です。端的に、分かりやすく伝えてあげることが大事です」

Q.精神的にも時間的にも余裕がなくなってしまった場合、どのようにして育児と向き合えばよいのでしょうか。

新倉さん「誰にでも心と体に余裕がなくなってしまうことはありますし、私にもあります。しかし、そんなときは無理に育児と向き合う必要はありません。『疲れたな、休みたいな』と思ったら、子どもが安全な場所にいることをしっかり確認した上で、隣の部屋でお茶を飲むなどして、自分を落ち着かせる行動を取ってみましょう。

また、誰かに相談してアドバイスを得ることも効果的です。もしお子さんが保育園に通っている場合は、担任の先生に相談してみると良いですね。家にいるときとは違った過ごし方をしている子どももいるため、問題解決のヒントを得ることができるかもしれません。

このほか、行政機関やNPO法人などが、LINEやチャット機能などを通じて子育て相談のサービスを展開しているため、相談してみてはいかがでしょうか」

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 子どもや親御さん自身の性格が異なるように、子育ての方法も正解はありません。しかし、「このままでいいの?」と悩みを抱え込んだままでいると、子どもと向き合うたびにつらくなってしまうと思います。

 自分をリセットする時間を少しつくったり、相談する場を見つけたりするなど、自分なりの子育てとの向き合い方を探してみてくださいね。

オトナンサー編集部

育児に悩みや不安を抱える人は少なくない