職業訓練は、失業手当を受給している人ならだれでも受講可能です。定年前後のシニア世代もぜひ活用し、手当をもらいながらスキルアップを目指しましょう。※本記事は、頼藤太希氏監修のMOOK『定年後のお金の不安がなくなる本』(晋遊舎)より一部を抜粋・再編集したものです。

職業訓練の受講の有無で、手当てに「数十万円の差」がつくことも

再就職のスキルアップに役立つ職業訓練は、若い人だけに関係のあるものではない。失業手当を受給している人は誰であっても受講可能であり、定年前後のシニア世代にもぜひ使ってほしい制度である。

公共職業訓練の受講期間は約3ヵ月程度の短期間のものから、2年間といった長期間のものまでさまざま。

ウェブデザインや簿記検定第一種電気工事士など転職に役立つ資格がほぼ無料で身につき、専門学校に通うのと比べるとかなりコストを抑えられる。また、職業訓練を受講した人の就職率は平均85%と高水準で、「受講したものの結局就職できないのでは……」といった心配もいらないだろう。

定年後に再雇用ではなく転職を検討している場合など、スキルを身につけておけば収入アップを狙うことも可能だ。

また、公共職業訓練を受けるメリットとして挙げられるのは単にスキルアップできるというだけではない。職業訓練を受けている間は失業手当の受給期間が延長されたり、失業手当以外の手当が受支給されたりと、金銭的にもうれしいサポートがあるのだ。特に大きいのがこの失業手当の受給期間延長である。

職業訓練の期間によっては、受講の有無によって数十万円もの差になることも珍しくない。すでに就職先が決まっているなどのケースを除いて、失業手当の支給日を残して職業訓練を受けるのはひとつの賢い選択肢といえるだろう。失業手当の支給期間を延長し、お金をもらいながら転職の準備を進めてはどうだろうか。

「失業手当の受給者」は公共職業訓練の受講が可能

再就職のためのスキルアップに役立つ公共職業訓練は、失業手当の受給者は基本的に受講可能である。情報処理や建築、Webデザインなどさまざまな科目があり、受講期間は3ヵ月程度のものから2年間までと幅広い。受講料はほぼ無料であり、専門学校に通うよりも大幅に費用を節約することができる。また、公共職業訓練を受講した人の就職率実績は平均85%と高水準なのも安心できるポイントだろう。

【ポイント1】制度内容・受講対象者は? 職業訓練の内容を確認

 公共職業訓練とはどんな制度? 

□ 求職者のスキルアップ・早期再就職をサポートする制度

□ 受講期間は3カ月~2年間

□ テキスト代などの実費を除き無料

 公共職業訓練の対象者は? 

□ 雇用保険の失業手当を受給している人

□ ハローワークで職業訓練などの支援が必要と認められている人

最も大きなメリットは、失業手当の受給期間の「大幅延長」

公共職業訓練を受けるメリットは、コストを抑えてスキルアップできることだけではない。一番のメリットは訓練修了まで、失業手当の受給期間が延長されることだ。また、1日あたり500円の受講手当(上限2万円)や、施設までの実費が最高4万2500円まで支給される通所手当、訓練のために家族と別居する場合に支給される寄宿手当など、さまざまな面で金銭的支援を受けられる。

【ポイント2】スキルアップだけじゃない! 職業訓練を受けるメリット3つ

 メリット1:失業手当の受給延長される 

 メリット2:失業手当以外の手当がもらえる 

受講手当:1日500円(上限2万円)

職業訓練受講日は、1日あたり500円が手当として支給される

通所手当:最高4万2500円

ハローワークへの交通にかかる費用も支給されるため負担軽減

寄宿手当:1万700円

自宅からの通所が困難な場合は、寄宿手当が支給されることもある

 メリット3:ほぼ無料でスキルが身につく 

受講対象資格

CAD、NC加工 / 第一種電気工事士

ウェブデザイン / 医療事務認定事務試験

簿記検定 / システム設計 など

〈ここもCHECK!〉

職業訓練を受講する・しないでどのくらい差が出る?

失業手当の受給資格があり、すぐに転職する予定がない場合は、なるべく公共職業訓練を受講するのがおすすめだ。訓練受講終了まで失業手当の支給が延長されるため、失業手当のみをもらう場合と比べ数十万円の差になることも。

【例】失業手当日額5,000円、受給期間240日の場合

①受給期間を100日残して180日(6カ月)の公共職業訓練を受講

5000円 ×(240 - 100※1180※2)= 160万円

※1 失業手当 ※2 延長分

②失業手当のみ受給し、公共職業訓練は受講しない

5000円 × 240日 = 120万円

受講の有無で40万円もの差に!!

 要点まとめ 

□ 公共職業訓練は、雇用保険の失業手当を受給している場合に受講が可能

□ 職業訓練の受講期間中は失業手当の給付期間が延長される

□ 受講手当や通所手当、寄宿手当など、失業手当以外の手当がもらえることも

頼藤 太希 株式会社Money&You 代表取締役

(画像はイメージです/PIXTA)