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11月11日は「一年の中でも記念日が多い日」と言われているが、そのうちの一つに「介護の日」があることをご存じだろうか。

介護の日」は2008年に厚生労働省が制定したもので※1、「介護について理解と認識を深め、介護従事者、介護サービス利用者及び介護家族を支援するとともに、利用者、家族、介護従事者、それらを取り巻く地域社会における支え合いや交流を促進する観点から、高齢者や障害者等に対する介護に関し、国民への啓発を重点的に実施するための日」と定められている。
※1 https://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/07/h0728-2.html

介護について考えるきっかけとして、興味深い調査を株式会社ダスキンが展開するヘルスレント事業が実施している。60代〜80代の親世代1,000人、20代〜50代の子世代1,000人の計2,000人を対象にした、介護に対する「アンコンシャス・バイアス」(無意識の思い込み)に関する実態調査だ。本調査は、ダスキン ヘルスレントが「#いま親のいまを知ろう」をコミュニケーションワードに、いつか直面する介護 への備えとして、今から準備することの大切さを紹介するプロジェクトの第二弾となる。

昨年発表した第一弾では、親も子もお互いを気遣うばかりに親の「老い」に向き合えない親子関係が明らかになったが、今回は、お互いを思う気持ちのすれ違いだけでなく、その根底にあるアンコンシャス・バイアスが介護や介護にまつわるコミュニケーションの妨げになっているのでは、という仮説のもとに調査を実施している。

※ヘルスレント事業 シニアライフの安心と快適な暮らしのサポートを目的に、主に介護保険制度が適用される介護用品・福祉用具のレンタルや販売を行う事業。

■ネガティブになりがちな「介護」のイメージ
全体で見ると、「精神的な負担」(70.8%)、「肉体的な負担」(64.3%)、「金銭的な負担」(47.0%)、「重荷」(46.1%)、「つらい・苦しい」(43.2%)など、ネガティブなイメージを持つ人が多くなっている。

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介護経験がある人とない人を比較すると、介護経験がある人はない人に比べて、「親孝行」(介護経験あり40.6%、介護経験なし23.5%、17.1pt 差)や「恩返し」(介護経験あり30.1%、介護経験なし14.1%、16.0pt 差)など、ポジティブなイメージがより高くなっている。

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■親子で「お墓の話」はできても、「介護の話」はしづらいもの?
親世代は子ども、子世代は親と終活について話し合った 経験について聞いてみた。すると、親世代の62.3%、子世代の63.0%と約6割は終活の話題をした経験が「ある」と答えている。

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話題にした内容を聞くと、「お墓」(親世代59.1%、子世代54.6%)や「お金」(親世代54.9%、子世代55.9%)については、親世代も子世代も6割近くが 話し合っているが、 「老後の世話(介護)」になると、話し合ったことがあるのは親世代25.4%、子世代38.9%で、全体で3割(32.2%)と少なくなっている。
お墓の話はできても、介護の話はしづらい…という結果になった。

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■昭和大学総長 坂東眞理子さん「今、できることから始めてみましょう」
今回の調査結果において、昭和大学総長の坂東眞理子さんから、介護に関するアンコンシャス・バイアスとの向き合い方についてのコメントがあった。

アンコンシャス・バイアスが改善される目安は、私の肌感覚でおよそ10年ぐらいでしょうか。日本では、いろんな情報に接し、多くの人がバイアスを自覚するまでに7〜8年ほど時間がかかりますが、その後2〜3年で一気に変化するケースが多いです。

意識を切り替えることは難しいものですが、まずはできることから始めましょう。親世代の方は、貯蓄の一部を自分が老後を快適に過ごす費用として使ってみては?お金を残すことも大切ですが、外部サービスなどを利用することで子どもの負担が 減り、自分の自立にもつながります。

また、子世代の方は、ネガティブな報道や罪悪感のみにとらわれず、新しい家族関係を作る気持ちを持ちましょう。外部サービスを利用しながら、まめに連絡したり、会いに行ったりすることも立派な親孝行です。 例えば、「77歳の喜寿、88歳の米寿に外部サービスをプレゼント」など、親御さんの誕生日にプレゼントとして外部サービスを利用するきっかけを作るのも、よいアイデアかもしれませんね。」(昭和大学総長 坂東眞理子氏)

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