●醤油蔵から歴史をスタートした『久原本家』が運営するレストラン「御料理 茅乃舎」を訪れ、茅乃舎出しの原点を探る

 出汁や調味料を展開するブランド「茅乃舎」。福岡県糟屋郡久山町で創業した小さな醤油蔵を原点に、現在は「茅乃舎」をはじめ、「くばら」、「椒房庵(しょぼうあん)」、「久原(くばら)甘糀」を展開しています。

現在も一部の商品に、伝統的な製法で醸す醤油が使われています
現在も一部の商品に、伝統的な製法で醸す醤油が使われています

 知名度を広げることとなったのは、2005年の「御料理 茅乃舎」の開業がきっかけ。コース料理で提供されていた“鍋”の出汁がおいしいと評判になり、家庭でも扱いやすいパック状にして販売しました。知る人ぞ知る名品でしたが、「東京ミッドタウン」内のオープンをきっかけに全国的な人気を勝ち取ることとなりました。

美しい日本の原風景を思い起こさせる「御料理 茅乃舎」へ

久山町は昭和44年、全町域を都市計画区域に指定し、豊かな自然環境と農地を守り続けています [食楽web]
久山町は昭和44年、全町域を都市計画区域に指定し、豊かな自然環境と農地を守り続けています [食楽web]

『御料理 茅乃舎』を訪れるため、福岡空港から車で30分走らせ久山町へ。初めて降り立ちましたが、福岡県は天神などの繁華街のイメージがありましたので、目に入る自然の豊かさに非常に驚きました。

天照大神を祀る「伊野天照大神宮」は知る人ぞ知るパワースポット
天照大神を祀る「伊野天照大神宮」は知る人ぞ知るパワースポット

「御料理 茅乃舎」の誕生に、この久山町の自然環境が大きく影響を受けたことは違いありません。素材の持ち味と地元で実る旬の食材をいかした料理を提供する場であり、久山町の文化と伝統を継承していく場でもあります。

「御料理 茅乃舎」外観
「御料理 茅乃舎」外観

 日本の原風景を思い起こさせる「御料理 茅乃舎」は、茅葺職人による茅葺の屋根が施されています。春はアジサイが咲き乱れ、夏にはホタルが飛び、秋は紅葉の絨毯がしかれ、四季を丸ごと味わえます。

秋風が心地よいテラス席
秋風が心地よいテラス席
カジュアルな普段使いから、「はなれ」を貸し切った記念日使いもできます
カジュアルな普段使いから、「はなれ」を貸し切った記念日使いもできます

 コースは6000円から。カジュアルランチから記念日にも使える多様さです。予約は数か月先まで入っていますので、余裕を持って計画を立てるのがおすすめです。

月替わりの路代おばあちゃんの名前のない料理。レシピは口伝えで料理長が習ってくるそうです
月替わりの路代おばあちゃんの名前のない料理。レシピは口伝えで料理長が習ってくるそうです

 コースでは長年、地元食材を使った加工食品を作っているスローフードの師、「路代おばあちゃんの逸品」や「十穀鍋」などが味わえます。どれも素材の味をいかした柔和な味で、心がほっとしました。

 “茅乃舎だし”の誕生のきっかけとなった「十穀鍋」は、シグネチャーメニュー。出汁の深みある味わいが大げさでもなく五臓六腑に広がります。

「自家製ジンジャーエール」は、季節限定で販売している「生姜茶」を使って作られてる
「自家製ジンジャーエール」は、季節限定で販売している「生姜茶」を使って作られてる

 料理に使われている調味料は、お出汁のように商品化しているものもありますので、気に入った味が見つかったら併設のショップにも立ち寄ってみてください。

調査結果

「御料理 茅乃舎」は、体に嬉しい素材をいかした味付けと調理法で楽しませてくれます。久山町は人と豊かな自然が見事に共存していて、日本人として一度は足を訪れたい名所です。

(撮影・文◎亀井亜衣子)

●SHOP INFO

御料理 茅乃舎

住:福岡県糟屋郡久山町大字猪野字櫛屋395-1
TEL:092-976-2112
営:11:00~15:30(最終入店13:30)、17:00~21:30(最終入店20:00)
茶舎11:00~21:30(L.O. 21:00)
休:水曜 ※祝日の場合は翌日

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