日本代表のレジェンドである中田氏サッカー界の今に対する想いを語った。(C)Getty Images

 かつて時代の寵児となった男には、サッカー界に思うところがある。日本代表MFの中田英寿氏が、DAZNで配信中の『22YEARS』で、ローマ時代にチームメイトだった元イタリア代表MFのフランチェスコ・トッティ氏と対談。そのなかで、現代サッカーについて語らう場面があった。

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 2000-01シーズンにローマでスクデット(セリエA制覇)を手にした両雄が憂いたのは、現代サッカーの変貌だ。

 近年のサッカー界は、中東やアメリカの投資家たちのサポートにより、選手たちの価値がかつてないほどに高騰。ビジネス面が色濃くなり、ローマ一筋25年を貫いたトッティのような選手は皆無と言っても過言ではない。

 また、プレシーズンに中東やアメリカで実施される大会も含めて、年間の試合数が増加。負担を軽減するため、選手たちはよりフィジカルを重視したプレーに走る傾向が強まっている。

 良くも悪くもビジネスが絡んだ現状に対して、中田氏は「今、そうした金がサッカーをダメにしている」とキッパリ。これにトッティ氏も「色々とダメにしている。もはややりすぎですらある」と同調し、「いまはフィジカル重視だから、俺らの頃と比べれば難しくなっている。いまはもうテクニックじゃなくて、フィジカルなんだ。すべてが機械的だ」と嘆いた。

 さらにローマで「王子」と呼ばれたファンタジスタが、「GPSを使って100キロ走ったとか100回ダッシュしたとか。サッカーと走ることは別モノだ」と主張。これに中田氏が「そうだね。そこが問題なのに分かっていない人が多い」と共感すると、トッティ氏は寂し気にこう語った。

サッカーは楽しい。ただそれだけだろ。楽しいから試合を見に行く。行けば、素晴らしい選手のすごいプレーとかオーバーヘッドキックなんかが見られる。ところが今はどうだ? 走って、走って、走って……。めちゃくちゃだよ。ファンタジーがあるプレーはもう見られない」

 その言葉に中田氏も「その通りだ。だから俺はもうサッカーは見ない」と正直に吐露。トッティ氏は「もう楽しくはなくなったかもな。熱狂しなくなって、以前とは別モノだ」と続けた。

 90年代2000年代初頭にサッカー界で一世を風靡した二人。ピッチで天才的なひらめきを見せた両雄だけに、「ファンタジーがあるプレーはもう見られない」という言葉は響く。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

「俺はもうサッカーは一切見ない」中田英寿が語った現代サッカーへの嘆き 盟友トッティも同調「もう楽しくなくなった」