ピンクが、米フロリダ州における検閲と本の発禁処分と闘うため、非営利団体PENアメリカと提携した。現地時間2023年11月13日、保守的な当局が人種や性的アイデンティティーをテーマとした書籍に狙いを定めている同州での今後の公演で、彼女が数千冊の発禁本を配布すると同団体が発表した。

 この取り組みを発表した後、ピンクはX(旧Twitter)に、「以下はフロリダの学校で発禁処分となった本のタイトルです。どの本がポルノなのか教えてね。“アラバマ物語”(To Kill a Mockingbird、ハーパー・リー)、“ザ・ヘイト・ユー・ギヴ あなたがくれた憎しみ”(アンジー・トーマス)、“フォレスト・ガンプ”(ウィンストン・グルーム)、“ライ麦畑で捕まえて”(J・D・サリンジャー)、“私達が登る丘”(アマンダ・ゴーマン)、“Girls Who Code 女の子の未来をひらくプログラミング”(レシュマ・サウジャニ)、“肩をすくめるアトラス”(Atlas Shrugged、アインランド)、“1984”(ジョージ・オーウェル)、“君のためなら千回でも”(The Kite Runner、カーレド・ホッセイニ)、“青い眼が欲しい”(The Bluest Eye、トニ・モリスン)、“リンクル・イン・タイム”(マデレイン・レングル)、“アンネの日記”(アンネ・フランク)、“さよならを待つふたりのために”(The Fault In Our Stars、ジョン・グリーン)などなど」と、数々の名作について投稿した。

 ピンクは、11月14日に米フロリダ州マイアミで、そして15日に同州サンライズで開催される【トラストフォール・ツアー】公演で、2,000冊の発禁本をプレゼントする予定だ。2児の母であり、LGBTQコミュニティや社会から疎外された人々の権利のための熱心な擁護者である彼女は、声明で次のように述べている。「子供の頃から本は私にとって特別な喜びでしたから、学校で本が禁止されるのを黙って見過ごすことはできません。特に、人種や人種差別に関する本、LGBTQや有色人種の著者による本を当局が標的にするのは憎むべきことです。私たちはこの国で平等に向けて多大な進歩を遂げてきましたが、この進歩が覆されることを誰も望んではなりません。これが私がPENアメリカの活動を支援する理由であり、禁止図書はあってはならないという彼らの意見に賛同する理由です」と彼女はコメントしている。

 ピンクが贈呈する本の中には、PENアメリカの禁書目録に掲載された4冊も含まれている。 トッド・パーの『The Family Book』、バイデン大統領就任式で朗読した詩人アマンダ・ゴーマンの『私達が登る丘』、トニ・モリスンの『ビラヴド』、そしてレシュマ・サウジャニが設立したNPO法人Girls Who Codeの本だ。この取り組みは、PENアメリカのスザンヌ・ノッセルCEOとゴーマンによるインスタグラム・ライブで発表された。

 PENによると、共和党から米大統領選に出馬しているロン・デサンティスが州知事を務めるフロリダ州が、過去1年間にテキサス州を抜き、公立学校や図書館での図書禁止をリードしてきた。同団体によると、全国的に禁書処分が33%増加する中、フロリダ州は禁書処分の40%以上を占め、主に黒人やLGBTQ+の著者の本に影響を与えているという。

 ピンクはこの発表後、SNSでアンチからのコメントに反応した。自身のインスタでの発表について彼女は、「私は読書について話していたと思うんだ。本ね。名作本。ポルノじゃないよ。ポルノは得意じゃない。言論の自由を支持することは得意。憎悪に満ちた偏狭な偏見を持つ者が、すべての子供たちが何を読めるか決定するのを許すことも得意じゃないな。フリーダム!’メリカ!」と返信している。デサンティス州知事は昨年、俗に“Don't Say Gay”(ゲイと言うな)法案と呼ばれる法案に署名した。この法案は、LGBTQ+に関する話題に厳しい制限を設け、幼稚園から3年生までは性的指向や性自認に関する指導を禁止し、4年生から12年生までは性的指向や性自認に関する内容で“生徒にとって年齢相応でない、あるいは発達上適切でない”と見なされるものの指導を禁止するものだ。

 さらにピンクは、彼女の取り組みがデサンティス政権が可決した、書籍の内容に関する“非常に厳しい”法律(2022年7月に制定された、制度的な人種差別や差別を学校で教える方法を制限する「個人の自由法」を含む)に反している可能性があり、刑務所行きになる可能性があると主張するアンチに対し、「私は逃げも隠れもしないよ!」と答えている。

ピンク、保守政権によって発禁処分を受けた本を米フロリダ公演で配布へ