今年も幕張メッセでInter BEE 2023がはじまった。

今年は展示ホール1から6までを使い、映像や音響関連の機材やソリューション、そして配信やクラウドにメディアまでと、映像制作に関連する多くの企業や団体が出展した。本日はInter BEE 2023の初日なので、空気感というか潮流を映像制作関連中心に伝えていきたいと思う。

省スペース、省人化の時代がやってきた

今回会場を回ってまず一番に感じたことは「省スペース、省人化」を主題に掲げてきている出展者がかなり増えたことだ。まず「省スペース」で言えば「バーチャルスタジオ」や「バーチャルシステム」が特に目についた。

Day01:Inter BEE 2023開幕説明画像

映像配信が主流になりつつある中で、コストのかかる広いスタジオやセットなどは使えない。セットの組み換えやスペース的な問題を解決するにはバーチャルのシステムが一番効率的ということで納得がいく。その中でより安価なクロマキーを使用したシステムに高精細LEDパネルを使用したシステムなど選択肢が増えた分「バーチャルシステム」を展示しているブースも増えている。

Day01:Inter BEE 2023開幕説明画像
昭特製作所(小間番号 6311

また「省人化」では、ロボットやロボットアームを使用したカメラシステムを出展しているブースもちらほら増えてきている。これまでであればリモートカメラを運台に載せて固定した状態コントロールするだけだったが、上下左右自在にコントロールして、なおかつ「モーションカム」のように同じモーションを再現できるものまで出展されている。

筆者も現在YouTubeのライブ配信に携わっており「バーチャル」や「省人化」のシステムには興味があるために目についたわけではなく、確実に出展数が増えている。

Day01:Inter BEE 2023開幕説明画像
左はニコン(小間番号 5305)、右はスクリュー(小間番号 6108

今後放送よりも配信が中心になっていくであろうことを考えれば、魅力的なシステムであることは間違いない。また、配信だけの用途のみで使用するわけではないだろうことを考えれば、アイディア次第で様々な活用方法も見いだせるだろう。ぜひとも導入前に実機を目にしておくことは有益なことだと思われる。

手が届きやすくなってきたライティング機材

次に目を引いたのは「ライティング機材」だ。LEDの照明がこなれ、小型のパネル型から大型の機材までが出そろってきた感がある。高演色性を保ちながら色温度の調整なども行えるものが支流となりつつある。これも上記で述べている「バーチャルシステム」とは切っても切り離せない要素の一つであることは間違いない。この機会に実機に触れて、販売店とコネクションを築いておくこともInter BEEのような展示会では重要なことだろう。

そして今回「ライティング機材」で特に目を引いたのが「Godox」が大型の映像用スタジオライトを出展してきたことだ。日本の代理店であるケンコープロフェショナルイメージングのブースから離れて出展しており、スチル系の照明とは一線を画す感じでひっそり?という感じではなく出展している。また「ピンマイク」などの新製品なども展示してあるので一見することを勧める。

Day01:Inter BEE 2023開幕説明画像
Godox(小間番号 3207)
Day01:Inter BEE 2023開幕説明画像
Aputure(小間番号 3420)
Day01:Inter BEE 2023開幕説明画像
SAEDA(小間番号 3504)

配信やクラウドシステム関連の出展も今年は多い。特にその中でも目を引くのはAWS(アマゾンウェブサービス)の出展だ。アマゾンがなぜ?と思われる方もいらっしゃるだろうが、今やアマゾンはクラウド界を牛耳っているといっても過言ではない。そのAWSが今後の事業の発展を考え、今年もInter BEEに出展してきたことは映像制作の世界でも大きな意味がある。

Day01:Inter BEE 2023開幕説明画像
アマゾン ウェブ サービス ジャパン(小間番号 4615)

さらに今後、データはクラウドで管理ということが支流になってくるということだろう。すでに放送は配信へと舵が切られている感があるが、データの管理はまだローカルエリアで行っているのが支流だろう。しかし、「ストレージのトラブル」というリスクを考えれば、回線スピードが確保できている状況ならクラウドで管理することが理想だろうが、それができる企業とそうでない者に別れるところだろう。

そして配信用のスイッチャーとして重宝されているのがローランドの製品だろう。VR-120HDやV-160HDなど実機が展示してあるので、触りながら詳しい説明を聞くことができる。

Day01:Inter BEE 2023開幕説明画像
ローランド(小間番号 5503)

さて、今回も一コマでの出展から大規模出展と様々だが、やはりキヤノンソニーのブースはもちろん盛況だ。また今回は4年ぶりに朋栄がInter BEEに戻ってきた。朋栄はLEDを使用した放送レベルのバーチャルシステムを持ち込み、精力的にデモンストレーションを行っている。

Day01:Inter BEE 2023開幕説明画像
朋栄(小間番号 5412

また、パナソニックではクロマキーを使わない合成システム展示しているのでこちらも気になるところだ。もちろんブラックマジックデザインも大きなブースで実機の展示なども行っているので、もちろん購入前に手に触れることができる。

注目するのは大きなブースばかりでなく、中小のブースにもそれぞれの良い商品やサービスが展示されている。中でもスポーツ中継のソリューションは高品位なものが充実している。そしてAIを使った自動追尾システムや、著作権フリーの映像用BGMや効果音のサービス、動画編集用のプラグイン販売店など、会場を歩いてみると面白い発見が今回もたくさんある。明日はもう少し掘り下げて行く予定だ。

Day01:Inter BEE 2023開幕説明画像
左からフラッシュバックジャパン(小間番号 5408)、アバー・インフォメーション(小間番号 4611)、Nash Music Library(小間番号 2602)
Day01:バーチャルスタジオやバーチャルシステムに注目。Inter BEEの会場で感じた新潮流[Inter BEE 2023]