株式会社メルカリ(以下、メルカリ)は、ニッセイ基礎研究所 生活研究部 上席研究員 久我 尚子氏監修のもと、「2023年版 日本の家庭に眠る“かくれ資産”」に関する調査を実施しました。

【結果サマリー

  • 調査監修

ニッセイ基礎研究所 生活研究部 上席研究員 久我 尚子(くが なおこ)
株式会社NTTドコモを経て、2010年よりニッセイ基礎研究所。2021年7月より現職。専門は消費者行動。内閣府総務省の統計関連の委員をつとめる。統計を使って暮らしの変化を読み解いている。

■コメント
今回で“かくれ資産”調査も3回目となりました。日本の家庭における総額は、第1回(2018年)が約37兆円、第2回(2021年)が約44兆円、そして今回は約67兆円となり、この5年間で実に1.8倍(前回の1.5倍)の規模へと拡大したことがわかりました。
内訳を見ると、1人あたりの不要品の平均個数の増加や平均取引価格の上昇(※1)が、総額の上昇につながっているようです。
平均個数が増えた理由には、家の中にある不要品を「捨てるモノ」ではなく「資産になり得るモノ」と見る消費者が増えたことも影響しているでしょう。メルカリの調査(※2)によると、Z世代の過半数は「自らの持ち物は現金化しやすい」と答えています。フリマアプリの浸透によって、モノのリセールバリューを考えるという意識が幅広い年代に広がっているのではないでしょうか。
平均取引価格の上昇(※1)については、利用者の増加で取引される商品も幅広くなり、商品の価格帯が高価格帯へ広がった可能性があげられます。当初のフリマアプリは「中古品を格安で買えるツール」という印象が強かったかと思いますが、ブランド品や趣味系グッズなどの取引も増えるなかで「価値ある品物も買えるツール」へと変容しています。
さらに、一次流通品の値上がりも平均取引価格を押し上げているのでしょう。消費者物価は2021年秋頃から上昇し始め、2023年9月は前年比2.8%(生鮮食品を除く総合)を占めます(※3)。現在のところ、物価の上昇率が賃金の上昇率を上回り、実質賃金はマイナスを推移していますから(※4)、生活防衛意識の強さから、割安な中古品を入手できるフリマアプリへの関心は高い状況が続くでしょう。
一方で中長期的には、消費者のサステナブル意識の高まりがフリマアプリの利用を後押ししていくのではないでしょうか。
「地球環境や社会の持続可能性に関わる問題は他人事ではない」(43.9%)と考える消費者は4割を超える一方、「興味はあるが何をしたらよいか分からない」(35.5%)との回答も目立ちます(※5)。サステナビリティを意識した消費生活を送りたいけれど、どうしたら良いか分からない。そんな消費者にとってフリマアプリの利用は、身近で取り組みやすい社会貢献活動になり得るのではないでしょうか。

※1:2021年度かくれ資産調査データと比較時
※2:株式会社メルカリ「世代別の消費行動と資産認識に関する調査」
https://about.mercari.com/press/news/articles/20230807_generationsurvey/
※3:総務省消費者物価指数」(https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/index-z.html
※4:厚生労働省「毎月勤労統計調査」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r05/2309p/2309p.html
2023年9月(速報)の実質賃金は前年比▲2.4%(現金給与総額)
※5:ニッセイ基礎研究所「生活に関する調査」(2023年8月)

  • 調査結果詳細

●物価上昇に伴う消費行動の変化

1.89.1%が直近1年間での物価上昇を実感
約4人に1人がフリマアプリ・リユースサービスでのお買い物や販売の頻度が増えたと回答
昨今の物価上昇の家計への影響を実感しているかを質問したところ、55.2%が「とても感じている」、33.9%が「やや感じている」と回答し、合わせて89.1%が家計への影響を感じていることがわかりました。


直近1年間で、各種リユースサービスを活用したお買い物の頻度の変化について質問したところ、8.0%が「とても増えた」、17.4%が「やや増えた」と回答し、合わせて25.4%が「増えた」と回答しました。さらに、各種リユースサービスを活用して所有物を売る頻度の変化について質問したところ、6.7%が「とても増えた」、16.3%が「やや増えた」と回答し、合わせて23.0%が「増えた」と回答しました。
この1年において各種リユースサービスを活用したお買い物や所有物を売る頻度は、ともに約4人に1人の割合で増えたことがわかりました。

●2023年版 日本の家庭に眠る“かくれ資産”と不要品を捨てることによる損失額

2.日本の家庭に眠る“かくれ資産”の総額は推計約66兆6,772億円
国民一人あたり平均約53.2万円
過去の調査と同様の方法にて、日本全国の家庭に眠る“かくれ資産”の総額を算出したところ、推計約66兆6,772億円となりました。また、日本の人口で割り戻し、国民一人あたり平均“かくれ資産”を算出したところ、約53.2万円となりました。


また、“かくれ資産”の内訳は、「服飾雑貨」が38.9%で最も大きな割合を占めていることがわかりました。


3.「服飾雑貨」「書籍・CD・ゲーム」「美容・健康」「ホビー・レジャー」「家具・家電・雑貨」の5分類全てで不要品の保有点数が増加
資産額として最も大きい割合を占める「服飾雑貨」は約1.4倍増(前回調査比)
前回の調査と比べると、5分類のうち(※7)、全てのカテゴリーで不要品の保有点数が増加していることがわかりました。最も大きな割合を占めている「服飾雑貨」においては約1.4倍増加しました。
※7:「服飾雑貨」、「書籍・CD・ゲーム」、「美容・健康」、「ホビー・レジャー」、「家具・家電・雑貨」のカテゴリー

今回の調査において、前回調査と比べて資産額が増加した主な要因は、「メルカリ」の平均取引価格が全体的に上昇していることに加え、不要品の1人あたり平均保有数が110.5個から131.7個と約1.2倍に増加していることが挙げられます。

4.1世帯あたり平均“かくれ資産”は約110.6万円
“かくれ資産”の総額を日本の世帯数で割り戻し、1世帯あたり平均“かくれ資産”を算出したところ、約110.6万円となりました。
また、調査結果に基づき、世帯構成別の“かくれ資産”を算出したところ、単身世帯が約52.8万円、20代・30代夫婦2人世帯が約79.4万円、夫婦と子ども(15歳未満)の3人世帯が約64.3万円、50代・60代夫婦2人世帯が約132.4万円となりました。


5.年末年始の大掃除で捨てる予定の不要品の資産価値は平均8.5万円相当
現在家庭にある不要品のうち、年末年始の大掃除などで、今後捨てる予定の不要品の数量を調査しました。その数量と「メルカリ」の平均取引価格を掛けあわせ、捨てる予定の不要品の金額を算出したところ、国民一人あたり平均約8.5万円となりました。
捨てる予定の不要品は「服飾雑貨」が41.9%で最も大きな割合を占めていることがわかりました。

●持っているアパレル品を金額換算 “アパレル資産”

6.アパレル品を処分したいと思う時期は12月が最多
「不要になったアパレル品を処分したい」と思うことが多い時期を質問したところ、「12月」が最も多い回答となりました。


7.現在持っているアパレル品を金額換算すると、1人あたり約71.2万円
現在家庭で保管しているアパレル品の数量を調査しました。“かくれ資産”と同様に、その数量と「メルカリ」の平均取引価格を掛けあわせ、保有しているアパレル品の金額を算出したところ、1人あたり約71.2万円となりました。


8.42.0%が「売りたい・手放したい」アパレル品を持っていると回答
「売りたい・手放したい」理由1位は「クローゼットに余裕を持たせたいから」、希望する 販売方法1位は「フリマアプリ」
現在売りたい、または手放したいと思うアパレル品を持っているかと質問したところ、42.0%が「持っている」と回答しました。


次に、「持っている」と回答した人に対し、売りたい、または手放したいと思う理由を質問したところ、「クローゼットに余裕を持たせたいから」が最も多い回答となりました。次に、「使わなくなったので、欲しいと思う人に使ってもらいたいから」、「お金にしたいから」と続きます。


さらに、「持っている」と回答した人に対し、どのような方法で売りたいかを質問したところ、「フリマアプリ」が最も多い回答となりました。

  • “かくれ資産”について

1年以上使用しておらず、理由なく家庭内に保管しているモノを不要品とし、不要品保管数量調査および「メルカリ」の平均取引価格により不要品を金額換算した数値を“かくれ資産”と定義しています。

算出方法

配信元企業:株式会社メルカリ

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