高速道路に設置された案内標識は、ドライバーにとって貴重な情報源。たとえ車内のナビを確認していても、案内標識を見ることで得られる安心感が存在するのだ。

しかし以前X(旧・ツイッター)上では、しれっと「恐ろしい内容」の表示された案内標識が話題となっていたのをご存知だろうか。

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■一見普通の標識だが…

今回注目したいのは、国内地理を主に道路および、鉄道の陸上交通を趣味とするXユーザー「..Kazuya.W@交通」さんの投稿したポスト。

「なんの変哲も無い高速道路のPAとSAの標識。だけど、しれっと恐ろしいことが書かれている。その内容にお気づきの方、かなり勘が鋭いです」と意味深な文章が綴られた投稿には、緑と白を貴重としたお馴染みの案内標識が確認できる。

高速道路

ざっと見たところ、特に不審な点は見当たらないが…一部のユーザーからは恐怖と絶望の声が上がっていたのだ。

 

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■「漏らすの確定」と絶望するドライバーも

ポスト投稿主・Kazuyaさんは、写真の詳細について「10月4日に、圏央道稲敷東インター→稲敷インター内回りにて撮影しました」と説明する。

本題となる「恐ろしい要素」に関しては「昨今、高速道路サービスエリア(SA)、パーキングエリア(PA)は、設置間隔も広くなっています」と前置き。

高速道路

その上で「写真に標識の写っている3km先の江戸崎PAはトイレのみで、商業施設もないシンプルなPAです。そしてこのエリアを通過すると進行方向によっては、2段目の標識にある78km先の菖蒲PAが次のPAとなり、それまで本線上にはトイレがありません」「さらに恐ろしいことに、ここには表記されていませんが、宇都宮方面へ進行した場合は羽生PAまで86kmと、さらに間隔は広がります」と、過酷すぎる「トイレ事情」について解説してくれたのだ。

件のポストは投稿から数日で1,300件以上のリポストを記録し、他のXユーザーからは「75kmトイレ無しで、事故渋滞でも起きたら…」「ガソリンはともかく、トイレが問題なのよ」「お腹が弱いのでこの区間で催すと、漏らすの確定だ…」など、絶望の声が寄せられていた。

そこで今回は、話題のトイレ事情の真偽をめぐって「東日本高速道路株式会社」(NEXCO東日本)に詳しい話を聞いてみることに。その結果、様々な事実が明らかになったのだ…。

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■高速のトイレ事情、そんな目安があったのか…

まずは「菖蒲」方面へ走行した場合、江戸崎PAを最後に「75km先までトイレのある施設がないのか」という点を尋ねてみる。

すると、NEXCO東日本からは「ご認識の通り、江戸崎 PA手前から圏央道を菖蒲 PA方面へ走行するのであれば、江戸崎PA〜菖蒲PA間は約75kmの間隔があります」との回答が得られた。

高速道路を運営するにあたり、SAやPAの距離間隔は法律等で定められていないのだろうか。

こちらの疑問に対し、NEXCO東日本担当者は「道路構造令では『パーキングエリアサービスエリアは必要に応じて設けるものとする』との記載しかなく、具体的な設置間隔については明記されておりません」と前置き。

続けて「当社による『設計要領』第4集の『休憩施設』では『利用者が疲労および生理的欲求を感じた際に利用する施設(トイレ、休憩所)を概ね15〜35km毎を目安に配置すると良い』と記載されております」「この目安に加え、周辺道路環境を考慮した上で、休憩施設を設置しています」と、高速道路上の施設事情について説明してくれたのだ。

 

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■トイレ問題に一筋の光明が…

こうした背景を知った上で件の標識を見ると、江戸崎PA以降、トイレのある最寄り施設となる菖蒲PAまでの「75km」という数値が、いかにハードモードであるかが改めて感じられる。

Kazuyaさんはさらにその上、言うなれば「ベリーハード」モードである宇都宮方面ルート(86km先の羽生PAまでトイレなし)についても言及していたが、ここには一縷の望みが。

NEXCO東日本は「江戸崎PAから圏央道を菖蒲PA方面へ走行し、久喜白岡ジャンクションから東北道宇都宮側に走行した場合、江戸崎PA〜羽生PA間は86kmの間隔があります」と認めつつ、同区間内の新たなPA、その名も坂東PAについて言及している。

担当者は「具体な時期は未定ですが、坂東PAの建設によって空白区間が縮まるのは事実です」とも補足していた。

高速道路

高速道路における施設間の距離や、ガソリン、トイレ事情はドライバーたちの悩みの種。もちろん非常時は「途中下車」なども選択肢に入ってくるのだが…。

今回の取材に際し、Kazuyaさんが「SAに必ずしもガソリンスタンドがあるとも限らず、今回の区間も長いところで150kmもガソリンスタンドがないのは、しばらく解消されそうにありません」「このような場所は全国にあり、標識では分かりにくい場所もあります」と口にしていたのが印象的であった。

長距離運転をする際、ドライバーによる準備や道路の下調べは必須事項。しかしその上で、利用者の希望や意見が反映され、より運転しやすい環境となることを期待したい。

 

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■執筆者プロフィール

秋山はじめ:1989年生まれ。『Sirabee』編集部取材担当サブデスク

新卒入社した三菱電機グループのIT企業で営業職を経験の後、ブラックすぎる編集プロダクションに入社。生と死の狭間で唯一無二のライティングスキルを会得し、退職後は未払い残業代に利息を乗せて回収に成功。以降はSirabee編集部にて、その企画力・機動力を活かして邁進中。

X(旧・ツイッター)を中心にSNSでバズった投稿に関する深掘り取材記事を、年間400件以上担当。ドン・キホーテハードオフに対する造詣が深く、地元・埼玉(浦和)や、蒲田などのローカルネタにも精通。

一見普通の案内標識、意味が分かるとゾッとした… 「絶望の75km」にドライバー戦慄