ある日、道端で野良猫を見かけて「猫語翻訳アプリ」で遊んでいたら、事故に遭った。“事故”から始まるストーリー…これがラノベや少女漫画だったら異世界へ転生する展開が待っていたのかもしれないが、彼が遊んでいたのは「猫語翻訳アプリ」だった。

【漫画】本編を読む/短編全8ページ

主人公の高校生は事故に遭ったものの死ぬこともなく、軽傷で済み、事なきを得た…かのように見えたが、なんと事故の後遺症でアプリと同化してしまったらしい…!!そう、事故に遭う直前まで遊んでいた「猫語翻訳アプリ」と!!しかも人間の主人公と同化することで、猫語だけでなく、人間が発する言葉の裏の本音までもわかるようになってしまった。

試しにアイドルの動画を見てみると、「みんな~あいしてる~」と笑顔を振りまくアイドルの言葉は、アプリでは「気分が悪い」「なんかイライラする」「しんど」と次々に翻訳されていく…。「えっ怖っ」とつぶやく主人公だが、意外と冷静に事態を受け入れ、学校へ行く。

すれ違う生徒たちの会話が耳に入る度、頭の中でアプリが翻訳をはじめる。スキル的には猫語翻訳の範疇を超えることはないらしく、語彙も少なく曖昧で、主人公は解釈に困っていた。そんなところへ、以前からちょっと気になっていた女の子が登場。バスケ部のイケメンくんに頼みごとをされて「しょーがないなー」と話す彼女の気持ちも、脳内アプリが勝手に翻訳する。

「しょーがないなと言いながらもまんざらでもないパターンか…」と彼女の横を通り過ぎていく主人公だったが、実はこの翻訳、間違ってはないのだが、根本的なところが間違っていて…!!果たして鈍感くんには扱いこなすことは難しいのか…!?読者からは「絶妙に使いにくいw」「気づけよおい!」「気付いてえええええええ!!」「ここまでの機能があって気付かないんだ!w」とのコメントが飛び交った。作者である漫画家の新田せん(@nittasen)さんに、猫語翻訳アプリについて話を聞いてみた。

――一時期話題になった「猫語翻訳アプリ」を用いてますが、新田さんご自身は使ったことはありますか?

あります!!でも猫を飼っていないので、SNS上の猫さんの声を翻訳して遊んでいました。

――どういう翻訳結果となりましたか?

SNSでフォローしている猫さんがたくさんいるのでいろいろ試してみたのですが、翻訳結果には結構性格が出ていて驚きました。ワガママなおぼっちゃんキャラの猫さんは「怒ってるぞ!」とかそういう感じかと思ったら、時々甘えるようなことを言ったり。温厚なキャラの猫さんは怒ることはほとんどなくて、ただ素直に「あなたを愛しています」とか。真実は猫さんに聞いてみないとわかりませんが、おもしろいなと思いました。

――新田さんには密かに数年前から推している“推し猫”がいるんですよね?

はい。結構たくさん推させていただいてる猫さんがいらっしゃいますが、お一方挙げるとすればウクライナ在住のステパンという猫さんはどことなく漂う哀愁が好きで、見るといつも脳内で勝手に「ヒロシです」のBGMが流れて楽しませていただいています(笑)。戦争が始まるずっと前からフォローしていたので、戦争が始まる前後の流れをステパンさんを通じて全部見ていて、あのときはとても心配しました。ステパンさんは今もお元気で、ご結婚もされたようで、哀愁漂うお元気な姿(?)を見せてくれています。

読者からは「パ●ドラと合体したら頭で連鎖の音が鳴り響くんだろうか?」「ウ●娘と同化したら、身体能力がメッチャ上がる?」などの意見も飛び出したこの作品。クスッと笑ってしまう軽い展開なので、隙間時間に気軽に読んでみて!

取材協力:新田せん(@nittasen)

人の本音も翻訳してくれる「猫語翻訳アプリ」と同化したものの、鈍感な彼には使いこなせず…!?