トッティ氏(左)は、中田氏(右)との対談で10番への熱い想いを語った。(C)Getty Images

 サッカー界において背番号10は、特別な意味を持つ。

 固定番号制が導入されて以降、10番は大半の場合において、チームを象徴する選手か、エースが背負ってきた。ディエゴ・マラドーナロベルト・バッジョジネディーヌ・ジダン。最近で言えば、リオネル・メッシがそうである。ピッチ上でファンタジーを見せる彼らは、観客の視線を釘付けにする特別な才覚を持っている。

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 そんな栄光の背番号に特別な思い入れを持つレジェンドがいる。かつて、ローマイタリア代表の双方でナンバー10を授かったフランチェスコ・トッティ氏だ。

 DAZNで配信中の『22YEARS』で、元日本代表MFである中田英寿氏と対談。そこで現代サッカーを憂い、「今、10番にふさわしい選手を見つけるのは難しい」と持論を展開した。

 今では珍しくなったローマのバンディエラ(長く一つのクラブに所属する選手)だったトッティ氏。そんな古き良きカルチョの象徴は、「今はフィジカル重視だから、俺らの頃と比べれば、難しくなっている。もう今はテクニックじゃなくてフィジカルなんだ」と現代サッカーの傾向を嘆き、「ある意味、(サッカーは)もう楽しくなくなったかもな。熱狂しなくなって、以前とは別モノだ」と断言。そして、こう続けている。

「今は誰でも10番をつけることができる。以前は10番には意味があったんだ」

 10番にこだわりがあったからこその意見と言えよう。トッティ氏は「数字が俺たちの現役時代とは異なるし、選手も当時とはメンタリティが違う」と現役時代との変化に理解を示しながらも、中田氏に自身の思い描く“理想像”を論じた。

「かつては、チームの顔になる選手であれば、キーパーも10番をつけていた。ユーベやミランローマでなくとも、例えば、ボローニャやブレシア、フィオレンティーナパルマにも“チャンピオン級”の選手が3~4人はいたんだ。だから日曜はどこへ試合を見に行っても面白かったんだ。強い選手がたくさんいた」

 セリエA通算316得点という図抜けた得点力だけでなく、今も色褪せない創造性に溢れた技巧で一時代を築いたトッティ氏。彼の放つ「以前は10番に意味があった」という言葉はなんとも重い。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

トッティが嘆いた「10番」の現状 中田英寿に訴えた現代サッカーにない“理想像”「ふさわしい選手を見つけるのは難しい」