ソン・フンミンのような世界屈指のタレントも生まれる韓国。しかし、母国メディアは日本との「差」を痛感しているという。(C)Getty Images

 直近6戦無敗。ドイツをはじめとする強敵を次々と打ち砕いた日本の快進撃は、アジアの覇権を争うライバルにとっても脅威となっているようだ。

 11月16日、韓国の日刊紙『韓国日報』は「長期的なロードマップがない韓国スポーツは『井の中の蛙』」と辛辣なタイトルの記事を掲載。オリンピックワールドカップといった国際舞台での競争力を失っている国内スポーツを分析するなかで、サッカー界にもメスを入れた。

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「日韓戦は、『たとえじゃんけんでも負けてはいけない』と言われるが、最近の韓国スポーツ界は日本に著しく負けている」

 そう書き出した同紙はサッカー界での問題にも言及。「A代表チームが2021年と2022年の対戦では、いずれも0-3で敗北。17歳以下、23歳以下の世代別代表チームも劣勢となっている」と、直接対決における相性の悪さを指摘した。

 もっとも、韓国は今年10月に中国・杭州で開催されたアジア大会の決勝に2-1と勝利。見事に金メダルを獲得して快哉を叫んだが、同紙は「韓国はイ・ガンイン(パリ・サンジェルマン)など欧州組も参戦させ、オーバーエイジ枠も活用。まさにA代表クラスの精鋭揃いでチームを構成した。かたや日本は2024年のパリ五輪を見据えて22歳以下の選手たちのみでチーム作りを実施。短期的な成果にこだわる韓国と長期的な計画を持って動く日本の違いがあった」と両国の目には見えない“差”を強調している。

 近年の成績低迷の要因に同紙は「世界的潮流に追いつかない苦しい試合マネージメントと長期的な目標を描けない代表組織」を列挙。そのうえで大韓サッカー協会のハン・ジュン副会長による「日本サッカーは幅広い層と綿密な長期プロジェクト(ジャパンスウェイ)により、選手たちのヨーロッパ行きに非常に協力的だ」というコメントも紹介し、日本の飛躍に羨望の眼差しを向けた。

「日本は先進国の流れを素早く把握し、組織が設定した詳細なプランに沿って動いている」

 また、同紙は国内におけるサッカー人気について「若いうちからやっている選手の人口は3500人にすぎず、日本には45万人もいる」と分析。そのうえで韓国国営放送『KBS』の解説を務める元韓国代表DFイ・ヨンピョ氏による「人口減少によってスポーツをする子ども自体が減っている。サッカーは人気があって、まだ維持できているが、他の種目は深刻な状況だ」との指摘を紹介した。

「代表選手を100人の中から選ぶのか、それとも1万人の中から選ぶのか。これは大きな違いがある。ソン・フンミンやキム・ミンジェ、ファン・ヒチャンのような海外で活躍する選手が生まれたのは本当に奇跡だ」

 来年1月にカタールで開催されるアジアカップで韓国はいかなるパフォーマンスを見せるのか。“ライバル”を羨む彼らにとって、重要な戦いになるのは言うまでもない。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

「日本に著しく負けている」韓国紙が日本サッカーの進化に羨望の眼差し「ソン・フンミンが生まれたのは奇跡」