ペルソナ5 タクティカ」を2023年11月17日の発売日前に先行プレイできる機会を得られたので、先行インプレッションをお届けする。

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本作は3人の出撃メンバーをフル活用し、射撃、近接攻撃、ペルソナを使い分け、皆の配置を試行錯誤しつつ、ガンガン前へ攻め込んで敵を殲滅。アグレッシブかつ頭も使う、独特のプレイ感が気持ちよいシミュレーションRPGだ。

 

アトラスジュブナイル系RPG「ペルソナ」シリーズ、そのナンバリング最新作である「ペルソナ5」のエンディング直前を描くのが「ペルソナ5 タクティカ」だ。心に秘めたもうひとりの自分である「ペルソナ」の力を使い、精神暴走事件に立ち向かった主人公、モルガナ、竜司、杏、祐介、真、双葉、春ら「心の怪盗団」メンバー。主人公たちは高校卒業を控えたある日、異世界「キングダム」へと飛ばされてしまった。

キングダム」は謎の武装集団「レギオン」に支配されており、主人公とモルガナ以外のメンバーは「レギオン」に捕らえられてしまった。絶体絶命の2人を救ったのは、「キングダム」に革命を起こそうとする少女・エル。主人公とモルガナはエルとともに、「心の怪盗団」メンバーを助けるべく、「レギオン」に立ち向かうことになった。しかし、メンバーたちは洗脳されており、一筋縄ではいかないのだ。

ペルソナ5」本編はターン制RPGだったが、本作のジャンルはシミュレーションRPG。戦場で敵味方がお互いのキャラクターを動かして戦うボードゲームのようなウォーシミュレーションに、RPGの成長要素が加わったジャンルだ。

本作のバトルは怪盗らしさを重要視しており、アクション映画さながらに遮蔽物(しゃへいぶつ)に身を隠すことが重要になっている。マップのあちこちには柱やタルといった遮蔽物が点在しており、そばに寄れば身を隠す「ガード」状態になる。背が高い遮蔽物なら敵の射撃を無効化、低いものなら射撃の威力を半減させるため、遮蔽物から遮蔽物へ渡り歩く銃撃戦らしい立ち回りが大事だ。

もし敵が遮蔽物に隠れていない時に攻撃すれば「DOWN」状態となり、シリーズおなじみの追加行動「1MORE」が発動する。この状態になると再度移動や追加攻撃ができるのに加え、後述する総攻撃「TRIBANGLE」も発動できるため、敵をいかに無防備にするかが重要となるのである。

 

 

もちろん、敵も遮蔽物に隠れて身を守る。敵味方が遮蔽物に隠れていると、にらみ合いが延々と続いてしまいそうなものだが、そうはならないゲームデザインが本作の大きな魅力だ。

敵が遮蔽物の陰にいるなら、こちらから突っ込んで行って近接攻撃をお見舞いすればいい。敵は吹っ飛んで無防備状態となるため、そこに追撃を入れて「DOWN」させてやろう。

「DOWN」した敵を3人で囲めば「TRIBANGLE」が発動可能。「DOWN」した敵はもちろんのこと、囲んだ範囲内にいる敵全てに大ダメージを与えられる。隠れた敵を近接で吹っ飛ばし、追撃からの「TRIBANGLE」を決める立ち回りで、イケイケに戦えるのだ。

しかし、近接攻撃のために突っ込み過ぎるとこちらが無防備のままターン(手番)が終わってしまい、ここに敵から一撃されて「DOWN」からの「1MORE」というピンチを招くことになる。

こうしたリスクを避けるには、遮蔽物に身を隠す基本がやっぱり重要。敵味方の位置関係を考えつつ、チャンスには一気に突っ込んで行くスリルがたまらない。

 

もちろん、本編と同様に「ペルソナ」も登場。遠くから遮蔽物を無視して吹っ飛ばしたり、広範囲を一気に攻撃したりとこちらも頼りになる。ゲームを進めればいわゆる必殺技にあたる「ユニークスキル」も登場。ダメージを受けたり与えたりすると溜まるゲージを使えば、範囲攻撃や、敵がガード状態にならないなど、さまざまな恩恵を得られるため、戦いはより派手かつ戦略的になっていくのだ。

 

 

こうしたシステム面は文字にするとある程度長くなってしまうが、実際にはわかりやすいチュートリアルが用意されており、遊びやすくする配慮がされているので大丈夫。この配慮は最大の戦果を上げるための試行錯誤を楽しくする、という方向性でまとめられており、シミュレーションRPGっぽく頭を使うことがより面白くなっている。

その最たるものが、攻撃を終えるまで自由に移動できるというシステムだ。大多数のシミュレーションRPGでは、移動を確定させてから攻撃を行うものが多い。一度移動が確定したら、もうそこからはキャラクターを動かすことはできない。

しかし本作では、キャラクターの移動範囲内であれば、攻撃するまで自由に動かせる。キャラクターは攻撃を終えるまで仮置き状態である、と言い換えてもいいかもしれない。たとえば、キャラクターを動かしてはみたものの、置き場所を間違えてしまったとか、イマイチ気に入らないという時もすぐにやり直せる。

特に「TRIBANGLE」や「ペルソナ」といった、位置関係が重要になる攻撃が使いやすくなっているのが大きい。「TRIBANGLE」は広い範囲を囲めば、それだけ多くの敵を巻き込める。一般的なシステムなら、広く囲むために味方を遮蔽物の陰から出すと、次のターンで不利になる。しかし、本作の場合は攻撃さえしていなければ、「TRIBANGLE」のために障害物を出て広い範囲を囲い、その後に遮蔽物の陰に戻る、なんてことも許される。

また「ペルソナ」を使う際も、互いの位置関係で吹っ飛ぶ方向が変わるのだが、あちらこちらと動かしながら試してみることが可能だ。近接攻撃や「ペルソナ」で吹っ飛んだ敵は、ほかの敵にぶつかってダメージを与えられる。こうして敵をまとめ、範囲攻撃の「ペルソナ」や「TRIBANGLE」で一網打尽にすれば気分も爽快。こうした敵味方の位置関係が重要となるシステムと試行錯誤を容易にする仮置き、そして1ターン巻き戻せる「UNDO」が合わさり、「もうちょっと工夫すれば、もっと多くの敵を巻き込めるかも知れない」と、神の一手探しにはまり込んでいく。シミュレーションゲームは一手間違えると味方が危機に陥る緊迫感も魅力のひとつだが、本作は仮置き制度があるため、こうしたプレッシャーを軽減し、のびのびと試行錯誤を楽しむことができるのだ。

ペルソナ5」ファンも本作には注目だろう。久しぶりに会えた「心の怪盗団」のメンバーたちが「TRIBANGLE」や「ペルソナ」で連携しつつ戦う様を見ていると、ファンなら渇きを癒されたような気持ちになるのではないだろうか。

今回は「キングダム」を支配する敵のひとり、暴君マリエに「心の怪盗団」メンバーが洗脳されてしまう。洗脳され邪悪なオーラに身を包んだメンバーが襲いかかってくるというわけで、こちらもファンなら見逃せないシチュエーション。暴君マリエに首輪で繋がれたジョーカーモルガナが車で引き回される、なんてハードなシーンもあるが、ポップな表現にしてあるので安心(?)だ。

 

 

また、シミュレーションRPGでは、攻略のために使いたいキャラクターと自分の推しが一致しないという問題が起こりがち。攻略のために推しではなくほかのキャラクターを使ってしまう→推しを出撃させられないから成長しない……といった悪循環が発生しやすいが、本作では経験値やレベルがキャラクター固有ではなく、「心の怪盗団」とエルで共通のものとなっているため、出撃させられないキャラクターも強くなっていく。仲間たちの会話シーンを見ることでも経験値を得られるため、物語を深く楽しむことも成長に繋がるのが嬉しい。

 

銃撃戦と遮蔽物がメインになるターン制シミュレーションといえば「XCOM」や「マリオ+ラビッツ」シリーズといった先輩が存在するが、本作は「TRIBANGLE」や仮置きといったシステムでしっかり差別化されており、「心の怪盗団」メンバーとの連携を存分に楽しめるという印象だ。「ペルソナ5」ファンはもちろんのこと、シミュレーションRPG好きも一度プレイしてみてはいかがだろうか。

 
(文/箭本進一)

【ゲーム情報】

■「ペルソナ5 タクティカ

発売日:2023年11月17日

対応機種:Xbox Game Pass、Xbox Series X|SXbox One、Windows、

PlayStation5PlayStation4Nintendo Switch、Steam

Xbox Series X|SXbox One、Windows、SteamはDL版のみ。

プレイ人数:1人

ジャンル:シミュレーションRPG

価格:パッケージ/ダウンロード通常版:7,920円(税込)

ダウンロード豪華版デジタルデラックス:11,770円(税込)

CERO:C(15歳以上対象)

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【本日発売】「ペルソナ5 タクティカ」最速レビュー! ガンガン攻めつつ頭も使い、神の一手を追求する試行錯誤が楽しい