2024年2月より上演されるミュージカルジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド』の製作発表記者会見が2023年11月16日(木)、行われた。松下優也、有澤樟太郎、宮野真守、清水美依紗、YOUNG DAIS、東山義久、廣瀬友祐、別所哲也らキャスト陣と演出・振付の長谷川寧が登壇し、意気込みや“ジョジョ愛”を語った。

原作は荒木飛呂彦の人気コミック『ジョジョの奇妙な冒険』。シリーズの始まりとなる「第1部 ファントムブラッド」をベースにミュージカル化される。脚本・歌詞は元吉庸泰、音楽をドーヴ・アチアが担当する。

有澤樟太郎

有澤樟太郎

集結したキャスト陣に、長谷川は「フィジカルを使ったタフな作品になると思いますが、ここにいる方々ならできると信じております」。ジョナサン・ジョースター役(Wキャスト)の松下も「今からすごくワクワクしています」、有澤は「半端ないスケール感。最後まで熱いハートで演じ切りたい」と意気込んだ。

清水美依紗

清水美依紗

YOUNG DAIS

YOUNG DAIS

ディオ・ブランドー役の宮野は「みんなジョジョ顔をしてる」と感慨深げ。エリナ・ペンドルトン役の清水は「小さい頃アニメ放送を見ていましたし、漫画も読んでいた大好きな作品。キャスティングしていただけて嬉しい」と喜びを噛み締めた。ミュージカル初挑戦となるスピードワゴン役のYOUNG DAISは「大好きで、人気のあるキャラクター。熱くたぎらせフレッシュな気持ちを大切に最後までやり切りたい」と力を込めた。

東山義久

東山義久

廣瀬友祐

廣瀬友祐

ウィル・A・ツェペリ役(Wキャスト)の東山は「もともとジョジョが大好き。もし舞台化されるならぜひ携わりたい、絶対見に行こう思っていた」、廣瀬も「初演ならではの苦悩もいっぱいあると思うが、いろんな壁と向き合いながら乗り越え、初日を迎えたい」と気合十分。ジョースター卿役の別所哲也は「お話をいただいたときにジョジョですかって聞いたんですが、父でした(笑)」と笑いを誘いつつ、「改めて作品の深さ、運命とは生きるとは何かを皆さんと一緒に冒険させていただきたい」と挨拶した。

会見では初披露となるプロモーション映像が上演され、質疑応答も行われた。

――現時点での演出プラン、本作を通してお客様に伝えたいメッセージは?

長谷川現在は振り付けを作っている段階です。ノンバーバル(非言語)作品など今までやってきたいろんなジャンルを掛け合わせて、総合芸術として届けられたら。そのために今回は普通の舞台にはいないスタッフ陣を集めていて、すでに面白いアイデアの化学反応がある。パフォーマンスとして見たことのない、新しい表現になれば。『ジョジョ』は人間ドラマのある作品。ファンタジーではなく、リアルさを感じてもらいたいです。

――演じる役が決まったときの感想や、周りからの反応を教えてください。

松下:帝国劇場で『ジョジョ』を舞台化することにまず驚きました。周りからは「ディオじゃなくてジョナサンなんだ」ってよく言われます(笑)。身内や知り合いだけでなく、今まで舞台観たこともないような人からも「観たい」と連絡があり、反響の大きさを感じました。

有澤:先ほど、別所さんもやりたかったと仰っておられましたが……いったい何人の役者がジョジョ役を演じたかったのだろうかと。特に80年代90年代タイムリーに追っていた方々の愛がすごい。先日共演していたなだぎ武さんも『ジョジョ』が大好きで、僕が演じるということでずっと大事にされていたジョナサン・ジョースターのフィギュアを託してくださった。影響力がすごく、愛されている作品。託された身として頑張っていきたいです。

宮野:何を隠そう、僕は巷ではちょっとした有名な声優なんですけど……

松下:知ってます(笑)

宮野:ちょっと人気もあるんですよ(笑)? 声優業界でも『ジョジョ』は特別。(アニメの)オーディションにも参加したことがあります。その時はご縁がなかったのですが、まさか初ジョジョミュージカルになるとは! 特に第1部が大好きなので、ディオ・ブランドーを演じられるのはこの上ない喜び。最高に面白いディオを、繊細に彼の身上を演じていきたいです。

清水:エリナと自分自身は正反対。気高く心美しく、気丈な女性を自分が演じられるのかと不安な部分もありましたが、今日こうしてキャストの皆さんとお会いして、足を引っ張らないよう頑張らなくてはと感じました。

DAIS:皆さんのお話を聞きながら、帝国劇場が持ついい意味でのヤバさがまったくわからない状態がお恥ずかしい。それくらい、初めてのことがたくさん。スピードワゴンの何かとフィットしていけたら。

東山:出演が発表されてから30年ぶりに友人から連絡が来て「波紋法や!」「パパウ パウパウやな!」と盛り上がり、電話で同窓会ができました(笑)。以前から、もしミュージカルや舞台になるなら何部をやるんだろうと考えていたんです。第3部ならスタンドが出てくるな、とか。僕の大好きな第1部と第2部なら、エンターテインメントに逃げるのではなく、個々の役者たちが役を通してすごいドラマを作れるんじゃないかと期待がありました。

廣瀬:恥ずかしながら出演が決まるまでは作品を見たことがなかったんですが、僕がツェペリを演じることに周りからは意外そうな反応をいただきまして。実際に作品に触れたら、この役は東山義久と廣瀬友祐にしかできないなと……あ、ここ笑ってほしかったんですが(笑)。

一同:(笑)。

廣瀬:とにかく、ヨシさん(東山)と僕にしかできないと思いました(笑)!

別所:日本から生まれる作品を、ミュージカルとして世界に届けられることが非常にうれしい。声優を務めた際、日本のアニメや漫画が世界から注目を集めていることを実感し、国際映画祭というグローバルな場で『ジョジョ』のファンが世界中にたくさんいるということも知った。その作品に出られるのは感慨深いですし、海外からもお客様が来ていただけるのではないでしょうか。

――原作の好きなシーンやセリフは?

松下:ジョナサンが木に手を触れて花が咲くところは衝撃でした! あと、ブラフォードの「この『痛み』こそ『生』のあかし この『痛み』があればこそ『喜び』も感じることができる」というセリフは、簡単には作れないであろう今回の舞台にも通ずるものがあるはず。大変なことも痛みを喜びに変えながら、ワクワクしながらやりたいですね。

有澤:ディオダニーを蹴り飛ばす描写が衝撃でした……。ジョジョダニーの関係性も好きです。未熟なところからいろんな人と出会い、洗練されていく主人公に感情移入しますし、全体的にジョナサン・ジョースターという役がすごく好きです。

宮野:ディオ名シーン名台詞がたくさんあるので、あえてディオが言われる側のセリフを挙げますね。ジョジョファンなら誰しも言いたいと思いますので、みんなで言ってみましょうか! 「さすがディオ! おれたちにできない事を平然とやってのけるッ そこにシビれる! あこがれるゥ!」……(報道陣に)全然言わないじゃないですか!

一同:(笑)。

宮野:これ、僕の大好きなセリフです(笑)。

清水:「WRYYYY」が大好きで。ディオとのシーンだと“ズキュウウウン”されちゃうシーンも。泥水で口を洗うという行動に、エリナの強さが表れていて印象的でした。

DAIS:ジョジョエリナに看病されているところ。2人の純朴さ、愛そのものが表現されていてジーンときます。それがあるから名台詞の「スピードワゴンはクールに去るぜ」が生まれると思うので、すごく大事にしています。

東山:ディオのキャラクターに魅力を感じていて。「おまえは今まで食ったパンの枚数をおぼえているのか?」というセリフは幼心にぞっとしながらも、とてもセクシー。なんて色っぽい悪なんだと感じました。

廣瀬:作品を見ていると衝撃の連続。個人的には、波紋を使えるようにしてほしいと頼まれたツェペリが「ちょいとミスッた」「いや ごめん!」ってスピードワゴンに謝るシーンが忘れられないですね。

別所:物語のドラマチックなシーンとしては、父と息子の別れ。それから、石仮面ディオがじっと見つめるシーンがパッと思い浮かびました。ミュージカルということで、歌詞にも『ジョジョ』の世界が盛り込まれる。星を見るのか、それとも泥を見るのか。それによって運命や生き様も変わる……というところを、どんなふうに皆さんが演じられるのかがとても楽しみです。

東京公演は帝国劇場にて2024年2月6日(火)~2月28日(水)。全国ツアー公演は3月26日(火)~30日に札幌文化芸術劇場 hitaru、4月9日(火)~14日(日)兵庫県立芸術文化センター KOBELCO 大ホールにて行われる。

取材・文・撮影=潮田茗