近代日本における、たばこ産業のパイオニアにして、今やグローバルたばこメーカーである日本たばこ産業株式会社(以下、JT)。

【画像】2023年11月21日に発売する「Ploom X ADVANCED」と「メビウス・ブラック・コールド・メンソール(Ploom X用)」

そんな同社は、2023年11月21日より、加熱式たばこ用デバイス「Ploom X」の新型モデル「Ploom X ADVANCED」(メーカー希望小売価格1980円)と「メビウス・ブラック・コールド・メンソール(Ploom X用)」(各20本入りボックス/500円)を、全国のコンビニエンスストアおよびたばこ販売店などにて発売。

Ploom X ADVANCEDについては、10月31日より、CLUB JT オンラインショップならびに全国のPloom Shopにて、Ploom X CLUB会員向けの先行販売を行っている。また、同製品の発売を記念し、2023年11月21日より、特別価格980円で販売する期間限定のキャンペーンを開始するという。

そこで今回、筆者は新製品の発売に先立って開催されるプレスツアーに参加するため、JT 関西工場を来訪した。

■130年以上の歴史を持つJT関西工場!工場長・志賀さんの挨拶

まずは、JT 関西工場の工場長・志賀哲也さんによる挨拶。「京都は『明治のたばこ王』と呼ばれた村井吉兵衛が、たばこ工場を創業して以来、130年以上製造が続くたばこにゆかりのある土地です。1982年には、当時の日本専売公社、京都工場、高槻工場、茨木工場の5つが統合され、ここJT 関西工場を創業しております」と工場の成り立ちを語ってくれた。

現在、JT 関西工場では320名の社員が、日々品質や安全にこだわりながら、たばこの製造を行っている。そして有事の際には、近隣住民の安心・安全の場を提供しているなど、地域貢献にも積極的に取り組んでいるのだとか。

また、たばこスティックはJT 関西工場だけで製造しており、Ploom X用のたばこスティックの製造工程の様子をメディア公開するのは、今回のプレスツアーが初だという。最後に志賀さんは「ここでしか体験できない、Ploom Xのたばこスティックの製造工程をぜひ楽しんでいただければ幸いです」と締めた。

■2021年8月のPloom X発売以降、ブランドの成長率は2.5倍に

続いて、商品企画部 RRP担当部長・山口顕さんが登壇。山口さんは、スイス・ジュネーブにあるJTI(JTインターナショナル)の本社機能に10年所属し、さらに加熱式たばこ製品開発を5年間担当していた経歴がある。この豊富な経験を生かし、2019年から開発がスタートしたグローバルモデル・Ploom Xの製品開発に携わった。

「2021年8月にPloom Xを発売して以来、堅調に伸長しております。具体的には、2021年8月の発売から2023年の第3四半期(7-9月)までで、2.5倍の成長率を記録し、直近のHTSカテゴリー内のシェアは10.5%まで伸びました。ようやく2桁パーセントになりましたので、引き続き成長を目指してがんばっていきます。また現在、日本を含め世界12カ国で展開していますが、2024年中には世界28カ国に拡大するべく、準備を進めているところです」

しかし、Ploom Xはデザイン性やユーザビリティの高さが評価されている一方で、「吸いごたえがない」「味や香りが弱い」「メンソール感が弱い」といった声があった。そして2023年11月21日に発売を控えるPloom X ADVANCEDの開発においては、こうした課題に真っ向から向き合った。

ユーザビリティに関しては、スライドを開けてたばこスティックを挿し込むだけで加熱がスタートする自動加熱機能を搭載。さらに充電時間も約110分かかったのが、90分に短縮されるなど、利便性も向上している。

「2023年3月に『メビウス』のたばこスティックをリニューアルした際、実はたばこの素材も変更しました。これにより、味や香りの改善はもちろんのこと、吸い応えやたばこ本来のうまさを引き出す新加熱機能『POWER HEATFLOW』による約320度の加熱と、たばこスティックの組み合わせで、たばこのうまみが引き上がるよう設定しました。Ploom Xと比べて、吸い始めから吸い終わりまで、吸いごたえと味わいの強さを感じていただけるかと思います」

デザインについては、全体的に密度感のある高品質な素材になるよう改善を加えているとのことで、ユーザーからも多くの好評を得ているようだ。「ここまでアシンメトリックなデザインが施された製品は、なかなかないそうです」と山口さん。ぜひ手にとって、高い利便性とデザイン性を実感してみてほしい。

■メビウス・ブラック・コールド・メンソールの顧客満足度は94.6%

次に、商品企画部 ブランドマネージャーの井上開斗さんが登壇。2023年3月に全面リニューアルしたブランド、メビウスの顧客満足度と販売数量について触れた。

「ブランドのコンセプトである『たばこ感』に対し、おかげさまで94.6%の顧客満足度を達成するなど、ユーザーさまから高い評価を得ています。また、リニューアル後の販売数量は、以前の約3倍に増加しています。これらの成長はメディアのみなさまに取り上げていただいたおかげだと考えています。本当にありがとうございます」

そして、2023年11月21日に発売するメビウス・ブラック・コールド・メンソールには、大きく3つのこだわりがあるという。

「1つ目は、100%天然メンソールを使用していること。2つ目は、フィルターの内部にメンソールを配合したメンソールフィルターを採用することによって、強烈なメンソールを存分に堪能できること。最後3つ目は、新たに採用した冷感チップペーパーを用いることで、吸い始めるとすぐに清涼感を得られることです」

上記以外にも、メビウス・ブラック・コールド・メンソールは、従来の製品と比べて、たばこ感をあえて抑えているそうで、これによりメンソール感を際立たせているのだとか。そのほか、メビウスブランドには豊富なラインナップがそろっているので、この機会にメンソール好きな人は、お気に入りの銘柄を見つけてみてはいかがだろうか。

■Ploom Xのたばこスティックの製造工程、メディア初公開!

続いて、メディア初公開となるPloom Xのたばこスティックの製造工程を見学することに。ここでは、JT関西工場 製造部長・嶋田達也さんのプレゼンテーションの内容をもとに、原料となる葉たばこの栽培から原料加工工程、そして製造工程について記載していく。

たばこは、葉たばこ(農産物)を原料としている製品のため、気候によって若干品質が異なるという。そんな葉たばこは大きく3つに分類され、肉厚で甘みを含む、香り豊かな「黄色種」、チョコーレート様の香りを含み、キックと呼ばれる爽快な刺激がある「バーレー種」、優雅な香りを持つ「オリエント種」がある。葉たばこは、年初に種まきを行い、夏にかけて収穫。乾燥処理をして工場に送られる。

工場への原料搬入から製品出荷まで、大きく4つの工程にわかれている。まず原料は箱状に詰められた形で搬入されるが、これをほぐして香料を加え、香りを引き出している。次に裁刻乾燥という工程で葉を切り刻み、「刻」の状態にして乾燥させていく。

そこからさまざまな種類の刻を銘柄に合わせ配合していき、最後は第二加香と呼ばれる工程にて、銘柄ごとに決められた味にするため香料を加える。その後、味をなじませるべく貯蔵し、製造工程へ送られるそうだ。

最後の製造工程では、送られてきた刻を紙で巻き上げ、途中でフィルターチップペーパーを取り付け、1本ずつたばこにしていく。そしてたばこを20本で1箱、10箱1組で包装。段ボールに箱詰めして出荷の準備が完了するのである。

■今後の目標は、加熱式たばこのシェア率を3倍にすること

最後に、新製品に関するQAセッションを実施。各メディアより、さまざまな質問が投げかけられ、そのなかでJTの今後の目標について触れた。現在、HTSカテゴリー内のシェアは約1割だが、これを3倍にすることを目標にしていると明言。

続けて山口さんは「他社より市場参入に遅れた点において、不利になっていることはたしかですが、製品のパフォーマンスに関しては、競合他社と同等、またはそれ以上に達していると自信を持っています」と語った。また、製品開発にあたって、スマートフォンや電気シェーバー、電動歯ブラシといった既存の電動デバイスを参考にしているそうで、「これらと弊社の持つ技術を組み合わせることで、よりコンパクトで洗練された製品を生み出せています」と山口さん。

次にマーケティング戦略に関する質問では、加熱式たばこの市場状況が、国内と海外では異なるということが話題に。日本の加熱式たばこ市場はすでに成熟しており、多くの人が使用しているが、海外ではそこまで浸透しておらず、紙巻きタバコが主流なのだとか。そんな海外市場での展開に関しては、加熱式たばこを選択肢のひとつとして選んでもらえるようなプログラムを考案中とのこと。

対して日本市場では「価格」を重視しているそうで、山口さんは「競合他社製品をお持ちのお客さまは、すでにデバイスに投資されている状態です。そこからPloom X ADVANCEDを選んでいただくため、価格は極力下げることを意識しています」と戦略を語った。

※記事内の価格は特に記載がない場合は税込み表示です。商品・サービスによって軽減税率の対象となり、表示価格と異なる場合があります。

取材・文=西脇章太(にげば企画)

JT 関西工場の工場長・志賀哲也さん