Poppin'Partyによるライブ【BanG Dream! 12th☆LIVE DAY1 : Poppin'Party「Welcome to Poppin'Land」】が11月3日東京ガーデンシアターで開催された。

 Poppin'Partyは、ブシロードのメディアミックスプロジェクト「BanG Dream!」(バンドリ!)から生まれた5人組ガールズバンドだ。「バンドリ!」ではアニメ、ゲーム、マンガ、小説などを通じて、さまざまなバンドの物語を描き出すとともに、登場キャラクターの声優陣が“リアルバンド”を結成。プロジェクトは11月3から5日の3日間、それぞれ異なる“リアルバンド”が登場する【BanG Dream! 12th☆LIVE】を開催しており、Poppin'Partyはそのトップバッターを務めた。

 定刻、ステージ最奥のスクリーンに投影された煽り映像を背に市ヶ谷有咲役の伊藤彩沙(Key.)、山吹沙綾役の大橋彩香(Dr.)、牛込りみ役の西本りみ(Ba.)、花園たえ役の大塚紗英(Gt.)、戸山香澄役の愛美(Gt.&Vo.)の順に登場した5人はボーカルマイクを中心に一列に整列。大橋はタムとシンバルで構成されたパーカッションに、伊藤はサブキーボード1台を得物に、愛美、大塚、西本とともに、ご挨拶とばかりに軽快な16ビートに乗せて<さあ 今ここで 魅惑のShowtime(はじめましょう)>と高らかに歌い上げる「Happy Happy Party!」と、メンバー全員がボーカルとソロプレイをめまぐるしくリレーするセルフタイトルナンバー「What's the POPIPA!?」をドロップした。

 この日のライブは遊園地仕立て。メンバーカラー5色のペンライトの光で埋め尽くされた客席の声援の中、メンバーそれぞれあいさつを済ませ、新しいステージ衣装を紹介しがてら、愛美がいろんなアトラクションをモチーフにしたセットリストを用意している「楽しいライブなので全身で体感してほしい」と語ると、スクリーンが点灯。アニメに登場するマスコットキャラクターポチにゃんに似たマスク・ド・ポーチニャンが架空の遊園地「Poppin'Land」の3つのエリアを紹介するアニメーションが投影される。

 スクリーンの中のポーチニャンが「ポップで楽しいアトラクション」であふれる“ぽっぴんエリア”に足を向けると「ぽっぴん'どりーむ!」「青春 To Be Continued」「CiRCLING」を3連発。「ぽっぴん'どりーむ!」では、2コーラス目を抜けたところでバンドのプレイをシーケンスがリレー。愛美の「さあここからみんなで踊るよ!」のひと言とともにメンバーがステージ上手、下手へと駆け出してダンスを披露して、Poppin'Partyファン、通称ポピパーを大いに盛り上げる。また今年5月リリースのミニアルバムの収録曲にして、この日ステージ初披露となる「青春 To Be Continued」では大橋の的確に繰り出す高速ツービートに乗せて伊藤と大塚がソロ合戦を繰り広げ、「CiRCLING」では愛美、大塚、西本がそれぞれステージ最前のお立ち台に登ってポピパーをかわいく煽るなど、文字どおり“ポップで楽しい”ステージを現出させた。

 続く「スリリングなアトラクション」が並ぶ“すりりんエリア”パートも、まさにそのものといった内容に。シャッフルの跳ねるリズムが心地いい「ぽっぴん'しゃっふる」では途中、またもプレイをシーケンスに預けてポップコーンを模したボールを客席に投げ入れ、お祭り感とホラー感をミックスしたという「Hello! Wink!」ではメンバーそれぞれがハロウィンをイメージしたヘッドアクセサリを身につけるなど、ラブリーな演出もあったものの、シリアスなダンスロック「B.O.F」では西本がヘッドバンギングでポピパーを挑発。「Hello! Wink!」でも彼女はその序盤、階段ステージの最上段に陣取り、スラッピングやストロークを織り交ぜたハードなベースソロで会場をどよめかせた。

 そしてポーチニャンとPoppin'Partyの面々が次に訪れたのは、花火も打ち上がるライブステージがあるという、夜をイメージした“どりーみんエリア”。ポーチニャンの「ポピパちゃんの最強の音楽で盛り上がりたいワン」との言葉を受けた愛美の「それじゃあこの曲が歌いたいなあ」のひと言を合図に5人は<最強ソング贈ろう><最高な君へ贈ろう>と高らかに歌い上げる初披露曲「最強☆ソング」、和テイストのメロディに乗せて夏祭りの光景と恋心を歌う「夏のドーン!」、ヘビーロックチューン「Time Lapse」と大ネタを連発する。「夏のドーン!」ではワウを巧みに使った大塚のソロに合わせてポピパーがタオルを振り回し、「Time Lapse」では彼女の正調ハードロックギターに乗せて大シンガロングが巻き起こった。

 この日のライブ本編ラストナンバーは、またも初披露となる「RiNG A BELL」だ。愛美の「最後の曲をやってもいいですか?」の問いに笑顔で「×」を送るポピパーを前に、複雑な転調を繰り返す楽器隊に流麗なメロディが乗るテクニカルなこの曲を届けた彼女たちは、大きな拍手の中、いったんステージをあとにした。

 アンコールパートの前に登場したのは、深層学習などのAI技術を用いて「バンドリ!」キャラクターのボーカルの声質や歌唱法をリアルに再現する「夢ノ結唱」プロジェクトから生まれた、POPYという3DCGのキャラクターだ。AIが解析した戸山香澄の歌声を持つ彼女は、ステージ最前に張られた巨大スクリーンに投影されるとノイジーなギターが幾重にも重なる高速ロックナンバー「世界中に響く耳鳴りの導火線に火をつけて」など3曲をパフォーマンスして、戸山香澄というボーカリストの新たな可能性を感じさせた。

 その後、ライブTシャツにお色直ししてステージに復帰したPoppin'Partyがバンドとしてのアンコール1曲目「1000回潤んだ空」をプレイすると、そのイントロ、伊藤のピアノソロが始まるや、察しのいいポピパーからは大きな歓声が巻き起こった。

 そして来年1月24日に19thシングル『新しい季節に』をリリースし、4月29日神奈川横浜アリーナMyGO!!!!!との合同ライブを開催することを発表したところでライブは最終盤に。西本が、リハーサル中にバンドスタッフの「ポピパPoppin'Party)っていいバンドだね」との言葉に「でしょ?」と返したというエピソードを披露し、バンドが結成8年目を迎えたことを受けて伊藤が「10年目の自分たちの姿が見えてきた」と語り、「10周年には自分たちでオリジナル曲を作ってもいいんじゃない?」と意気込むなど、それぞれこの日のライブへの思いと自身のこれからについて語った5人は正統派ロックナンバー「Moonlight Walk」を投下。この日一番の声援の中、ステージに幕を下ろした。

 Poppin'Partyは「バンドリ!」シリーズ最古参バンド。この日の公演で彼女たちはそのキャリアに裏打ちされた“ラブリーな凄み”のようなものを感じさせてくれた。楽曲はどれもまさにバンド名どおり。ティーンエイジャーのアニメ・ゲームキャラクターらしさあふれるポップでキラキラしたものばかりで、さらにその実演中も曲間、メンバー全員でダンスするなど、かわいらしい演出をそこここにちりばめていた。しかし愛美、大塚、西本、大橋、伊藤それぞれのプレイ自体はタイトかつテクニカル。いざ楽器を手にすれば、5人はスムーズに流れるようでいて、しっかりプレイヤーのエモーションが込められたアンサンブルでポピパーたちを魅了していた。それだけに伊藤が最後のMCで示唆していた10年目の彼女たちの姿と、そこまでに続くこれからの道のりを追いかけてみたくなった。そんな一夜だった。

Text by 成松哲


◎公演情報
BanG Dream! 12th☆LIVE DAY1 : Poppin'Party「Welcome to Poppin'Land」】
2023年11月3日(金・祝)
東京・東京ガーデンシアター
出演:Poppin'Party(愛美、大塚紗英西本りみ大橋彩香伊藤彩沙
セットリスト
M1 Happy Happy Party!
M2 What's the POPIPA!?
M3 ぽっぴん'どりーむ!
M4 青春 To Be Continued
M5 CiRCLING
M6 B.O.F
M7 ぽっぴん'しゃっふる
M8 Hello! Wink!
M9 最強☆ソング
M10 夏のドーン!
M11 Time Lapse
M12 RiNG A BELL
EN1 1000回潤んだ空
EN2 Moonlight Walk

<ライブレポート>Poppin'Partyが【Welcome to Poppin'Land】で見せた“ラブリーな凄み”「10年目の自分たちの姿が見えてきた」