「秘密の森」シリーズなど韓国ドラマに多数出演する俳優のイ・ジュニョク。180cmを超えるスタイルと端正なルックス、そしてどんな役柄に扮(ふん)してもその作品にしっかりと爪痕を残す演技力で韓国のみならず日本でも人気を博す実力派俳優の一人だ。そんな彼の最新作「ヴィジランテ」では、ナム・ジュヒョクが演じる悪人を自らの手で裁く“ダークヒーロー”の主人公キム・ジヨンに憧れ、彼のように悪を制裁する道を選んだ財閥の副社長のチョ・ガンオク役を務めている。メインキャストだが初週(第1、2話)は登場せず、11月15日に配信された第3話で出てきたと思ったら覆面姿。そして第4話でそのベールを脱いだ。ジヨンのファンを公言するものの、実際には敵か味方か、いまいちはっきりしない不思議な人物。彼がいることで物語が予想外の展開に進んでいく、本作のキーとなる魅力的なキャラクターだ。今回はそんなガンオクを演じるジュニョクについて、過去の出演作と合わせて解説しよう。

【写真】まさに正統派イケメン…!ビジュアルも演技も最高峰のイ・ジュニョク

■「SBS演技大賞」でニュースター賞を受賞

現在39歳のジュニョクは、2007年に出演したドラマ「糟糠の妻クラブ」で、主人公のハン・ボクス(キム・ヘソン)の弟のハン・ソンスを演じたことを機にブレイク。同作で「SBS演技大賞」(2008年)のニュースター賞を受賞し、お茶の間の認知を得る。その後、2012年に軍に入隊するまでの間、ドラマ「シティーホール」(2009年)、ドラマ「シティハンター in Seoul」(2011年)といった作品に出演し着々とキャリアを積み上げていく。

2年間の兵役期間を経て、本格的に芸能活動を再開した復帰作「私の人生の春の日」(2014年)では、ガールズグループ・少女時代スヨンと共演。スヨン演じる主人公のイ・ボミへいちずな思いを抱く心臓外科医のカン・ドンウクを好演し、切ない演技が話題にもなった。

■どこか憎めない“イケメン検事”を熱演

2017年には韓国で高視聴率をたたき出し、世界の“韓ドラ好き”を唸らせたミステリードラマ「秘密の森」のシーズン1となる「秘密の森〜深い闇の向こうに〜」に出演。主人公のファン・シモク(チョ・スンウ)と対立する検事のソ・ドンジェ役に抜てきされ、スーツを着こなすイケメン検事なのに一挙一動がいちいち憎たらしいドンジェのキャラを見事に演じきった。

ジュニョク演じるドンジェの活躍も相まってシーズン1は大ヒットした後に、2020年には早くもシーズン2が放送された。同作もシーズン1に引けを取らない伏線回収しまくりの壮大なサスペンス作品だったが、その一方で劇中ではドンジェが拉致されてしまい、容赦ない制裁に苦しめられるシーンが度々描かれた。

ドラマシリーズには感情をなくした検事・シモク、彼とは正反対で熱血刑事のハン・ヨジン(ペ・ドゥナ)といった、濃いキャラクターが多数いる中で、腹立たしいが何故か憎めないドンジェというキャラが光る場面も多く、彼を見事に務め上げたジュニョクの努力の賜物と言えるだろう。

2024年にはドンジェにフォーカスを当てたスピンオフ作品「良いか悪い、ドンジェ」の公開が決まっており、ジュニョクが演じる愛されキャラ“ドンジェ”の再登場を楽しみにしているファンも多い。

■「梨泰院クラス」の若手女優らと次々に共演

主演ではないものの、映画「野球少女」(2019年)では若手女優のイ・ジュヨン演じる天才野球少女のチュ・スインを支えるコーチ、チェ・ジンテを演じ、安定感のある演技力を見せつけた。

また、カメオ出演したドラマ「その年、私たちは」(2021年)では、ドラマ「梨泰院クラス」(2020年)でブレイクしたキム・ダミ演じる、主人公のクク・ヨンスとの掛け合いで、第1話からその存在感を示している。

さらに2024年にはマ・ドンソク主演の人気アクションシリーズ「犯罪都市」の新作「犯罪都市 NO WAY OUT」の公開が日本で決定しており、日本の俳優・青木崇高と共にマ・ソクト(マ・ドンソク)の敵役に抜てき。ジュニョクはこの作品のために厳しいトレーニングをこなし、20kg以上も増量した体で撮影に臨んだというストイックさを持つ。

どんなジャンルの作品でも作品の要となる役回りを果たすジュニョク。「ヴィジランテ」でも今後ますます存在感たっぷりな活躍を見せるはずなので、どんな演技を見せてくれるのか、期待して待ちたい。

「ヴィジランテ」は、ディズニープラス スターで独占配信中(全8話/毎週水曜2話ずつ配信)。

◆文=suzuki

「ヴィジランテ」で財閥の副社長チョ・ガンオクを演じるイ・ジュニョク/(C)2023 Disney and its related entities