阿部寛主演のドラマ25「すべて忘れてしまうから」(毎週金曜深夜0:52-1:23、テレ東系/ディズニープラスで配信中)の第6話「変わっていくんですよ、全部」が、11月17日に放送された。少しずつ事が進展し、変わろうとしているが、ミステリー作家“M”(阿部)は“何も変わらない”。周囲の変化に“M”は対応できるのか?(以下、ネタバレを含みます)

【写真】作家になる前は小道具などを作っていた“M”(阿部寛)は、出演番組の小道具を自作した

■ミステリアスでビタースイートなラブストーリー

本作は、作家・燃え殻の同名エッセイを原作に、国内トップクリエイターの岨手由貴子、沖田修一、大江崇允が監督・脚本を手掛けた話題作。ハロウィンの夜、5年間付き合ってきた恋人が失踪した。ミステリー作家“M”は、姿を消した恋人を探し始めるが、人々が語る恋人は“M”の知らない顔を持っており、やがて驚きの秘密が明らかになっていく…。

阿部寛尾野真千子Chara、渡辺大知、宮藤官九郎らが集結

流されるままに生きる、そこそこ売れっ子の主人公・ミステリー作家“M”を演じるのは阿部。物語の大きな鍵を握る“M”の恋人・“F”役を尾野真千子、“M”の行きつけのBar「灯台」のオーナーカオル役をChara、“M”の担当編集者・澤田役を渡辺大知、Bar「灯台」で働く料理人・フクオ役を宮藤官九郎が演じる。

また、同じくバーで働くアルバイト・ミト役に鳴海唯、目的を抱えながらBar「灯台」に通う青年・泉役に青木柚、Bar「灯台」の常連客役に岩谷健司、嶺豪一、ぼくもとさきこ、ニクまろ、“M”の行きつけの喫茶「マーメイド」のオーナー・マンバ役に見栄晴、血眼で“F”を探す“F”の姉役に酒井美紀、“F”の失踪後“M”の前に現れる謎の美女役に大島優子、“F”の祖母役に草笛光子ら、個性に満ちた豪華キャストが集結。

■前職の会社の社長にも「ずっと変わらない」と指摘される

今回は「変わっていくんですよ、全部」という題名通り、“変わらないもの”と“変わっていくもの”について描かれたストーリーになっている。

変わらないもの”というのは、ミステリー作家“M”のこと。“M”は作家になる前、美術制作会社に勤めていて、テレビ番組で使う小道具などを作っていた。その時に知り合い、親しくなったTVプロデューサー・大関が病床に伏していると聞いて、久しぶりに前職の会社を訪ねる“M”。

すっかり顔ぶれが変わってしまったが、社長は喫煙場所で気だるそうにタバコを吸っていた。たぶん、“M”が勤めていた時から社長の行動は変わっていないのだろう。

社長に外に連れ出された“M”は、食事をしながら彼女“F”が失踪したこと、そして“F”の姉が現れてこれまでに30万円くらいのお金を巻き上げられていることを話すと「そういうとこ、ダメなんだよ。揉めるくらいなら、金を払って早く解決しようってやつだろ?」とズバリ指摘されてしまう。

“M”が、食べている料理を「15年前と一緒の味なんですよ」と言うと、「お前と一緒じゃん。ずっと変わらないっていう」と返ってきた。“M”は「もう何にも変わんなくてもいいですよ。周りばっかり変わっていくから」と変化についていけないことを自覚しているようだが、それを聞いた社長は「全部書いちゃえよ。エッセイとか書いてるんだろ」と提案。

■ “F”の姉にも変化があらわれた

社長と話をしている時に“昔の彼女”が出てきたが、その彼女は“M”が本気で好きになった女性だった。“世の中のみんなが知ってることを自分しか知らないとっておきの情報のように話す少し変わった子”だったと回想するが、今はシンガポールの高層マンションで暮らしている。これも“M”だけ変わらず、周りは変わっていっているということを象徴するエピソードの一つ。

夜になってBar「灯台」を訪れると、恋人“F”の姉が来ていた。しかも一人じゃなく、友人4人とテーブルを囲んでいる。テーブルの上にはいくつもの食事、そしてワインのボトルも。半強制的に一緒のテーブルにつかされ、“F”の姉たちの会話に付き合わされることに。

いつもカツアゲされるようにお金を巻き上げられているので、このテーブルの代金も“M”が払ったのだろう。友人たちが帰り、“F”の姉と2人になってから、“F”から連絡があったことを姉に報告。「困った様子もなかったし、楽しくやってるんじゃないですか」と。

連絡があったことで“F”が無事だと確認できたので、“M”が「だからもう少し待ってみてはどうですか」と姉に伝えると、素直に「いろいろありがとうございます」とお礼を言って店を出た。

■ 周囲はいろいろ変わり始めるが“M”だけが置いてけぼり

馬鹿正直に“M”は“F”の姉を追いかけ、習い事の月謝を支払うかのようにお金を渡すと、お金を受け取りつつも袋を破って、「もういいです。無事にリフォームも終わりましたから。変わっていくんですよ、全部」と言ってタクシーに乗り込んだ。ここでも周囲の変化から置いてきぼりを喰らったような感じになった“M”だった。

終盤、“F”がどこかの海を見ている場面が出てきたが、ハロウィンの夜に失踪した後、彼女もやはりいろいろと変わっていったのだろう。

他にも、泉(青木)が意を決して、フクオ(宮藤)に息子であることを打ち明けるなど、“M”の周囲で変化が起こっている。“M”はそれでも「変わらなくていい」と思うのだろうか。それとも自身も「変わらなくては」と思うのだろうか。物語も折り返し地点を過ぎたので、次回あたり大きな変化がありそうな予感がする。

◆文=ザテレビジョンドラマ部

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