コロンビアのペトロ大統領イスラエルのガザ地区への攻撃を受け「国連でガザでの停戦を命じた提案に反対票を投じた、あるいは棄権した生産国から武器を購入しない」と発言。波紋を呼んでいます。

イスラエルとアメリカが主な取引先

イスラエルのガザ地区への攻撃を受け、コロンビアのグスタボ・ペトロ大統領が2023年11月14日に公式X(旧:Twitter)にて投稿した発言が波紋を呼んでいます。

ペトロ大統領は、「国連でガザでの停戦を命じた提案に反対票を投じた、あるいは棄権した生産国から武器を購入しない」とX(旧:Twitter)に書き込みました。

国連の「人道目的での停戦などを求めるヨルダン提案の決議案」で反対票を投じたのは、当事国のイスラエルのほかアメリカ、棄権にはフランスイギリスフランスイタリアカナダ、日本といったG7構成国が名を連ね、兵器輸出で頭角を現している韓国、インドもこの棄権国に含まれます。

このうち、イスラエル、アメリカ、カナダが2023年11月現在、主にコロンビアに武器輸出を行っている国となります。既にイスラエルに関しては、この発言以前の2023年10月15日に、ペトロ大統領が敵対的発言をしたとして、すぐさま在イスラエルコロンビア大使を呼び出し、安全保障に関わる製品の輸出を停止すると発表していました。

コロンビアは、隣国ベネズエラと長年緊張関係にあり、ジェット戦闘機の「クフィル」や、陸軍で採用されている小銃「ガリル」を筆頭に、数多くの兵器をイスラエルから輸入していました。アメリカからは、F-16Vを購入することに関心を示していたほか、ヘリコプターUH-60ブラックホーク」を12機受領したばかりで、同機の維持にもアメリカのサポートがまだ必要です。またカナダとは防衛システム関連で契約を結んでいます。

既に輸出の停止を表明したイスラエルは別として、アメリカやカナダからの輸入を正式に停止するかは定かではありません。2023年11月17日現在、ペトロ大統領のこの件に関するXでの投稿は削除されていませんが、この大統領の発言を巡っては本国でも批判が起きているようです。

なお、賛成票を投じた国の内で、武器輸出がすぐ可能でありそうな国は、イラン北朝鮮ロシア、中国などですが、このうち中国に関してはコロンビアを「戦略的パートナーシップ」に引き上げ、中南米での影響力を拡大する取り組みを大きく進展させています。

イスラエル製の戦闘機「クフィル」(画像:コロンビア空軍)。