もさを。が全国5都市をまわったツアー『Sugar&Spice』が終了した。もさを。は今年1月に初のワンマンライブを、そして5月に東名阪ツアーを開催。今回早くも実現した夏のツアーでは公演数を増やし、より多くのファンの元へ行って直接歌を届けた。

この記事では、8月30日に開催されたZepp Shinjuku(TOKYO)公演の模様をレポート。前週に開催予定だった大阪・愛知公演はもさを。の体調不良に伴い9月、10月に振替となったため、復帰一発目のステージだったが、この東京公演では元気な姿を見せてくれた。

開演時刻になると、観客の手拍子に迎えられながらステージにやってきたもさを。。「東京、みんな盛り上がってくよ!」というもさを。の言葉を合図にバンドメンバーの杉村謙心(Gt)、森光奏太(Ba)、坂本暁良(Ds)、岡田基(Key)、山本哲也(Manipulator)がイントロを奏で始めると、「ブラウニー」でポップに幕開けだ。

途中ジャジーなアプローチがあったりと豊かに表情を変えるバンドサウンドを乗りこなすもさを。の歌声は温かく伸びやかであると同時に頼もしく、歌でバンドやお客さんを引っ張ろうという度量が感じられる。「みんな踊っちゃっていいからね!」と投げかけつつ、ステージ上を練り歩き、観客一人ひとりをしっかり見ながら歌う姿も印象的。

この場所に来てくれた人のことは誰一人孤独にさせたくない。みんなで心を通わせながら、一緒に、一つのライブを作りたい。そんな想いが伝わってくる歌とステージングだ。まるですぐそばで歌ってくれているようだと聴く人に感じさせるハートウォーミングな楽曲と歌声がもさを。の魅力だが、このライブ空間でもまた親密かつ穏やかな空気が流れている。

ステージ上でミラーボールが回り、光に包まれながら歌った「きらきら」で特別な景色を生み出すと、カントリー系の曲調が楽しい「ラクガキ」では観客とラララと声を合わせた。ここでMCに入ることを察した観客が「もさを。くーん!」「会いたかったよー!」といった声援を飛ばす。その一つひとつに対して「僕も会いたかったよ」「待ってた? ありがとう」「なんてなんて?」「もう1回お願い」と返していくもさを。。

ファンとコミュニケーションをとりながらの最初のMCでは「家族のような距離感でいたい」「(ライブは)あなた一人ひとりがいないと成り立たない」「嬉しいことも悲しいことも共有したい」といった想いを改めて伝えた。そして「今年一熱い思い出にしたいんだけど、みんな、楽しむ準備はできてますか?」「甘さと少しの刺激で、シュワシュワッとハジけて、最高の1日にしましょう!」とツアータイトルにちなんだ言葉で、次の曲「サイダー」へと繋げた。

この曲でもさを。はハイチェアに腰掛け、アコースティックギターを爪弾きながら歌唱。リラックスしたムードの中、観客は手拍子して楽曲を彩った。続く「恋色」はワウギターの効いた音源とはまた違うアレンジで、バンドの熱量が前面に出た好演。特にアウトロでは各楽器が自由に遊びまくっていて、もさを。も時にバンドメンバーとアイコンタクトをとりながら楽しそうに歌っていた。

照明演出によって作られた星空の下で歌ったのは「ギフト」。「この曲は僕の実体験を基にした曲です。みんなの悲しかった思い出はこの会場に置いていっていいからね」と紹介されたのは、〈私だけ好きが溢れていたの〉と歌うバラード「好きが溢れていたの」。いわゆる失恋ソングだが、衝動的に感情をぶつけるのではなく、自分の心の内にある気持ちを手に取りながら、一つひとつ丁寧に歌うのがもさを。流。包容力のある歌唱に、自分だけの悲しみをそっと託した人もいたことだろう。

「大きな会場でみんなと一緒に、大空いっぱいに広がる花火を見たい」と今後叶えたい夢について語ったこの日2度目のMCのあとには、「桜恋」、「会いたい」、「キンモクセイ」を披露。「キンモクセイ」では「ジャンプ!」「もっと!」とフロアに投げかけながら、観客と一緒になって自らも飛び跳ねるもさを。。ラストフレーズを歌う際にもさを。がメロディをアレンジすると、観客は「フゥー!」と歓声を上げて反応し、もさを。のファインプレーを称えた。

「いやー、疲れちゃったよ(笑)。みんな、まだまだ体力ありそうだね。ジャンプする曲、まだあるから準備しといてね」と期待を煽る発言もありつつ、楽しい時間はあっという間。本編ラストのMCでは、もさを。が「日々の活動の中で、音楽について考えたり悩んだりすることもあります」と切り出し、「“音楽を届けるってどんな意味だろう?”と考えた時に、みんなのことが真っ先に浮かびます。支えてくれるみんながいるから、一人じゃないと思える。だから音楽でそばにいさせてください。これからもみんなと一緒の時間を過ごさせてください」と観客に想いを伝えた。

そして「その大きな声でこの会場を響かせてください。僕のあとについて歌ってね!」とラララのシンガロングを起こすと、「1分1秒」へ。〈1人じゃないよ そばにいるから/1分1秒 あなたが大事〉という歌詞がファンへのメッセージとして届けられた。同じくファンへのメッセージソングのように聴こえた「ハレルヤ」を経て、バンドメンバーによるエンターテイナー精神溢れるソロ回しとともに突入した「カラメル」では大盛り上がり。

「この夏の思い出は絶対に忘れません。最後に、僕からのプレゼントを用意しました」と本編最後の曲として、もさを。が観客に贈ったのは「冬のプレゼント」。既に発表されている通り、この日のアンコールでは、12月に『Xmas Live 2023』を東名阪で開催することを発表した。次の季節での再会を約束し、本編は幕を閉じたのだった。

アンコールでは、もさを。が初めて作ったオリジナルソング「ワスレモノ」を、「大切な人が突然いなくなり自分を見失った時に、忘れないようにと書いた曲です。友達、家族、恋人をもっと大事にしようと思ってくれたら嬉しいです」と紹介してから披露。

そして「この会場に響きわたるくらい、今日一の声で歌ってください!」と「ぎゅっと。」を会場全体で歌い、幸福感に満ちた空気の中、エンディングを迎えた。エンドBGMに踊りながらステージを去っていったもさを。は、きっと充実感を覚えていたことだろう。

文:蜂須賀ちなみ 写真:タカギユウスケ

<公演情報>
もさを。SUMMER LIVE TOUR『Sugar&Spice』

8月30日(水) Zepp Shinjuku(TOKYO)

セットリスト

01.ブラウニー
02.きらきら
03.ラクガキ
04.サイダー
05.恋色
06.ギフト
07.好きが溢れていたの
08.桜恋
09.会いたい
10.キンモクセイ
11.1分1秒
12.ハレルヤ
13.カラメル
14.冬のプレゼント
アンコール
01.ワスレモノ
02.ぎゅっと。

<ライブ情報>
もさを。Xmas Live 2023

12月19日(火)大阪・BIGCAT
12月20日(水)愛知・DIAMOND HALL
12月25日(月)東京・恵比寿ザ・ガーデンホール

チケット情報:
https://t.pia.jp/pia/artist/artists.do?artistsCd=MA130041

関連リンク

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もさを。8月30日 Zepp Shinjuku(TOKYO)