ハイチの首都ポルトープランス市内にある貧困地区シテ・ソレイユが、対立する武装ギャング間の抗争の再燃に巻き込まれている。国境なき医師団(MSF)は11月13日以来、シテ・ソレイユで負傷した約50人の治療に当たっており、改めて武装ギャングに対し、住民の安全性の確保と医療施設やスタッフ、患者の尊重を求めている。

2022年にはMSFは、ポルトープランスで最もコレラの被害が大きい地区の一つであるシテ・ソレイユで予防接種のキャンペーンを支援した=2022年12月21日 (C) Djenane Madona Baptiste/MSF

  • 治療ができる唯一の病院

この地区では最近、フォンテーヌ病院が無期限で閉院し、MSFのシテ・ソレイユ救急病院が、患者を治療できる唯一の医療施設となっている。フォンテーヌ病院はMSFの支援を受けていない民間の施設で、11月15日に衝突の渦中に巻き込まれた。現在、同病院の患者とスタッフは全てポルトープランスの他の病院に移され、シテ・ソレイユで医療を受けられる場は減っている。

患者の中でも妊娠中の女性は現在、特に危険な状況に置かれている。シテ・ソレイユMSFチームは、出産に際してフォンテーヌ病院を紹介することが多かったが、閉院によって紹介は困難となった。ポルトープランスの産科センター、サン・ダミアンも治安の悪化から10月下旬に閉院してしまった。

MSFはまた、特に激しく、無差別的な暴力が起きている間は、スタッフ、患者、組織へのリスクを抑えるため、外来診療所を一時的に閉鎖し、シテ・ソレイユの医療チームを縮小せざるを得なかった。ただし、救急診療を提供するため、シテ・ソレイユ救急病院では診療を続けている。

  • 住民の安全確保と医療の保護を

ハイチでMSFの活動責任者を務めるムムザ・ムヒンド・ムスバオは、「今回もまた、武装ギャング同士の衝突で、住民は高い代償を払わされています。住民の中には、避難する場所を求めて自宅を離れなければならない人もいます。医療施設はもはや正常に機能しておらず、患者は医療施設にたどり着けずに取り残される恐れがあります。MSFは、全ての武装ギャングに対し、住民の安全を確保し、病院や医療施設、そこで働く人びとや治療を受ける人びとを尊重するよう、改めて要請します」と訴える。

配信元企業:国境なき医師団(MSF)日本

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