中国政府・国家宗教事務局の王作安局長は24日、北京市内のプロテスタント教会の朝陽堂とカトリック教会の宣武門堂を訪れクリスマスを祝賀し、関係者と談話した。王局長はカトリックについては「自主独立自弁の原則を堅持し、社会主義である社会に適応する道を歩みつづけねばならない」、プロテスタントについては「外部によるプロテスタントを利用しての中国浸透を断固として食い止めねばならない」と述べた。

 王局長は、共産党北京市委員会と同市政府は宗教関連の作業を極めて重視し、宗教界関係者に対して大きな関心を寄せ、宗教界のために実務を真心を込めて行っていると発言。

 カトリックについては「愛国・愛教の旗を高く掲げつづけ、自主独立自弁の原則を堅持し、社会主義である社会に適応する道を歩みつづけねばならない」と述べた。

 プロテスタントについては、「教義において、社会主義の核心的な価値観と相通ずる内容を発掘し、三自原則(解説参照)を動揺させず、(大陸部の)外部によるプロテスタントを利用しての中国浸透を断固として食い止めねばならない」と述べた。

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◆解説◆
 中国共産党は、キリスト教を通じての、外国からの中国内部への干渉を強く警戒してきた。歴史的には、キリスト教の宣教師が中国をはじめとする非ヨーロッパ地域の植民地化の“先兵”になり、宗教関係者の多くが反共産主義との認識がある。

 そのため、中華人民共和国成立後は、香港やマカオ(澳門)を含む海外と切り離す形で、自国内のキリスト教組織を管理することにした。

 カトリックとしては、中国天主教愛国会などを公認。ただし、司教などに対するローマ教皇の叙任権・管轄権を認めない、「特殊な宗教団体」であり、ローマ教皇側は承認していない。

 プロテスタントとしては三自愛国教会や中国基督教協会を承認。「三自」とは「自ら養う、自ら治める、自ら伝える」で、国外からの影響を排することを指す。

 当局が認めないキリスト教団体は「地下教会」と呼ばれる。中国におけるキリスト教徒は6000万人以上で、約3分の2は地下教会の信者とされる。キリスト系の新興宗教も、信者を増やしているとされる。

 中国では仏教も信者を増やしている。宗教を熱心に信じる人が増えているのは、社会の急速な変化についていけず、心に悩みを抱える人が増大しているからとされる。(編集担当:如月隼人)