2023年11月17日Nintendo Switchにて「スーパーマリオRPG」が発売となった。これは、1996年スーパーファミコン(以下SFC)で発売された同名のソフトを、グラフィックを一新し、音楽のアレンジ版収録やさまざまな追加要素をプラスして現行機版としてよみがえらせたタイトルだ。今回は、そんな「スーパーマリオRPG」を、SFC版経験者であり、本作の大ファンである筆者の視点からファーストインプレッションをお届けしていこう。SFC版未プレイの方にも「スーパーマリオRPG」の魅力やユニークさを伝えられるよう書いていきたいと思っているので、ぜひ、チェックしていただきたい。

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敵は謎の武器軍団!? クッパとピーチが仲間に加入!? 本作でしか出会えない「マロ」と「ジーノ」の活躍も見逃せない!


スーパーマリオRPG」は、任天堂スクウェア(現スクウェア・エニックス)が共同開発したタイトルだ。その名のとおり、アクションゲームの金字塔的存在であり国民的ゲームキャラクターであるマリオが主人公として活躍するRPG作品ということで、発売当時はマリオシリーズの中でもひときわ異色のタイトルだった。

今から27年前、当時小学生だった筆者は、パックンフラワーが楽しげに歌う印象的なCMでスーパーマリオRPGの存在を知った。「ロールプレイングゲームやったことない人も」というCMの謳い文句にビビッときて、親へのおねだりを経て、無事購入。実際、それまでRPGにいっさい触れてこなかったアクションゲーム好き小学生の筆者だったが、RPGにアクション要素が見事に融合したスーパーマリオRPGの世界に思いっきりドハマリし、攻略本を片手に骨の髄までしゃぶりつくすほど遊びに遊んだ。あれから27年がたった今もなお、人生で一番楽しんだゲームに「スーパーマリオRPG」を挙げる筆者にとって、本Switch版「スーパーマリオRPG」の登場は悲願であり、この上なくうれしいサプライズだった。こうした同じ想いを抱いたゲームファンは、非常に多かったのではないかと思う。

……と、「スーパーマリオRPG」への想いを語り始めたらキリがないので、このあたりで本題へと移ろう。

 

 

まずは、本作のストーリーから紹介していこう。

ゲームは、ピーチ姫クッパにさらわれる場面から始まる。そして、ピーチを助けに向かうマリオ。姫が魔王にさらわれてしまうという非常事態を「いつもの光景」というのは奇妙かもしれないが、少なくともマリオシリーズのプレイヤーとゲームファンにとってはおなじみの「いつもの光景」からスーパーマリオRPGの物語は始まる。しかし本作、その後の展開が「いつもの光景」ではないのだ。

 

 

ピーチを助けに向かったマリオは、あっという間にクッパ城に到着。「あれ? いつものマリオだったらクッパ城までの道中がゲームの大半なのに……」と不思議に思いつつも先へ進めると、またしても早々にクッパとの対決となる。そして、そんなバトルもやはり早々に決着がつき、マリオクッパに無事勝利、ピーチ姫を救出するのだが、そのとき、クッパ城を謎の巨大な揺れが襲う。なんと、天から現れた巨大な剣が、クッパ城に突き刺さったのだ!

 

 

剣が刺さった衝撃で、マリオクッパピーチの3人は、ちりぢりに飛ばされてしまう。さらに、あろうことか、マリオの家とクッパ城を最短で結ぶ橋も壊されてしまうのだ。こうしてマリオは、ピーチを探すために冒険の旅へ出ることになるのだった……というのが本作のあらすじだ。

いつものマリオの「お約束」をひねったインパクト抜群の導入は面白く、グイグイと引き込まれる。さらに物語が進むと、クッパ城を乗っ取った謎の敵「カジオー」率いる個性豊かな武器軍団や、物語のカギとなる「スターピース」の存在などが次々に明らかになっていき、物語は奥深さを増していく。コミカルな場面あり、ドラマティックな場面ありで繰り広げられるこの壮大でユニークな物語は、まさに「スーパーマリオRPG」でしか体験できない、唯一無二のものである。

 

 

また、「スーパーマリオRPG」は、随所にクスッと笑えるセリフや、マリオたちがズッコケるようなギャグシーンがあることでも有名だ。これらもまた「いつものマリオ」では見たことがない表現であり、SFC版をプレイした当時、「『マリオ』シリーズでこんなこと言っていいの!?」と子どもながらに驚いた覚えがある。Switch版となった本作でも、セリフや表現にはほとんどSFC版からの変化がなく、攻めたセリフ表現やドタバタのコメディシーンも健在だ。SFC版未プレイの方はぜひ本作をプレイして、小学生の筆者と同じような衝撃を受けていただきたいと願ってやまない。

 

 

さて、RPGの醍醐味(だいごみ)のひとつといえば、主人公とともに冒険をする仲間たちの存在だ。本作にも、マリオとともに戦う仲間が冒険の中で次々に登場する。そんな仲間の中でもまず紹介しておきたいのは、クッパピーチ姫だ。
今でこそ、「大乱闘スマッシュブラザーズ」シリーズでクッパピーチを操作して戦ったり、近作でいえばスーパーマリオブラザーズ ワンダー」でピーチ姫を操作できたりといった体験はあるものの、「いつものマリオ」の物語ではライバル的立ち位置であるクッパとヒロイン的立ち位置であるピーチを同じパーティーに加えて冒険するというのは、SFC版発売から27年たった今でもなお、かなり衝撃的な体験といえるだろう。クッパはHPが高かったり、ピーチは回復が得意だったりというRPG的な役回りもそれぞれのキャラクター性にばっちりハマっていて面白い。

また、クッパマリオを敵にぶん投げたり、ピーチが敵にビンタを食らわせたりフライパンで鉄槌を食らわせたりといった攻撃方法も、非常に大胆かつユニークであり、本作の見逃せないポイントとなっている。

 

 

さらに、本作には仲間として「マロ」と「ジーノ」というキャラクターが登場する。SFC版未プレイの方には聞き慣れない名前かもしれないが、それもそのはず、彼らはこの「スーパーマリオRPG」でしか出会うことができないキャラクターなのだ。

カフカボディが特徴的なマロは、どこをどう見てもそうは見えない、自称・カエルの男の子。ちょっぴり泣き虫で泣くと雨を降らせる彼は、魔法を得意とし、雷を落としたり雪を降らして攻撃するほか、回復魔法も使える。

 

 

ジーノは散らばったスターピースを集めるために空からやってきた天空の使者で、人形の体を借りてマリオと共に冒険の旅に出る。ヒーローのようなクールな言動が特徴的なジーノは、敵を蹴散らすビーム攻撃から仲間の攻撃・防御を上げるバフ的なサポート技まで使いこなす、バトルで重宝するキャラクターだ。

 

 

このマロとジーノは、バトル面で頼りになるのみならず、ストーリーの中でも非常によい活躍を見せてくれる、見どころがたっぷりのキャラクターだ。「スーパーマリオRPG」でしか会えないこの2人の魅力は、当然ながら本作をプレイしなければ味わえない。SFC版未プレイの方はもちろん、プレイ済みの方もぜひSwitch版「スーパーマリオRPG」で、マロとジーノに出会っていただきたい。

アクションコマンドがカギとなるバトルはハマること間違いなし! Switch版からの追加要素によってRPGが苦手な人でも楽しめるように!

 

本作は、基本的に斜め見下ろし型のフィールドで進行する。フィールド上にはハテナが書かれた宙に浮かぶ宝箱を始め、土管やトランポリン、宙に浮かぶボードマリオシリーズでおなじみのちくわブロックなど、さまざまなギミックが登場。中にはそれらをうまく活用して先へ進むような場面もあり、おなじみのジャンプアクションの操作感も相まって、RPGでありながらマリオ的なアクションのプレイ感が楽しめる作りになっている。

 

 

本作にはシンボルエンカウント方式が採用されており、マップ上を徘徊する敵キャラクターに接触するとバトルスタートとなる。なので、ジャンプなどアクションをうまく活用すれば戦闘を回避することもできる。このあたりは、RPGがあまり得意ではないプレイヤーにとってはうれしいポイントと言えるかもしれない。

バトルはターン制のシステムが採用されており、すばやさの順に行動が回ってくる。そこでプレイヤーは、「こうげき」「スペシャル」「アイテム」「そのた」の4つからコマンドを選択して戦うこととなる。

「こうげき」は装備した武器を用いて敵を攻撃するコマンド。キャラクターや装備によって攻撃方法が変わり、後述する「アクションコマンド」のタイミングも変化する。

「スペシャル」は、「フラワーポイント」と呼ばれる、いわゆるMPのようなものを消費して魔法や特技を使うコマンドで、こちらも技ごとに「アクションコマンド」が存在する。


「アイテム」は回復アイテムや敵を攻撃できるアイテムなどを使うためのコマンド。余談だが、HPを回復するための基本アイテムが「キノコ」なのは、マリオシリーズらしさがあってわかりやすく面白い。

そして「そのた」は、防御や戦闘からの逃走を行うコマンド。さらに、Switch版からの新要素として、ヘルプの確認も可能となっており、遊びやすさがアップしている。

 

 

ここまでの説明だと、RPGとしてはオーソドックスなターン制コマンド選択式バトルのようだが、本作のバトルがRPG作品の中でも異彩を放っている最大の特徴は、先述の「アクションコマンド」の存在だ。「アクションコマンド」とは、「こうげき」や「スペシャル」使用の際にタイミングよくボタンを押したりボタンを連打したりすることで効果が強化されるというもの。また、敵からの攻撃の際にもタイミングよくボタンを押して「アクションコマンド」を成功させることで、ダメージを軽減やゼロにすることができる(一部「アクションコマンド」無効の攻撃も存在する)。

つまり、この「アクションコマンド」をいかにうまく成功させられるかが、「スーパーマリオRPG」攻略のカギとなっているのだ。そして同時に、「スーパーマリオRPG」を語る上では欠かすことのできない、大きな魅力となっているのである。

 

 

さて、ここからはSFC版にはなかった、Switch版での新たな追加要素の紹介だ。

アクションコマンドは、成功すると強力な一方で、成功のタイミングをつかむのが難しいという点がある。この点を補うためにSwitch版に追加されたのが「」の表示だ。本作では、初めて使う武器や初めて使う技、初めて出会う敵の攻撃の場合、アクションコマンドが大成功するタイミングで「!」が表示される。これによって、適切なタイミングを知り、アクションコマンドに慣れることができるのだ。なお、アクションコマンドの成功に慣れてくると「!」表示は消える仕組みになっているので、表示が煩わしく感じることもない。幅広いユーザーに遊びやすさを提供する、自転車の補助輪のような感覚の機能である。

 

 

さらに、Switch版には「チェイン」という機能もプラスされている。これは、アクションコマンドが連続で成功すると増えていく、いわゆるコンボ数カウントのようなもので、チェイン数によってステータスがアップする「なかまボーナス」の恩恵が受けられる。アクションコマンドに失敗するとチェインは途切れてゼロに戻るが、継続したチェイン数はバトルが終了しても維持され、10チェインごとに後述するアクションゲージが増える「GAUGE UP」が発生する。個人的にはこのチェインシステムの追加は、チェインが続くことによる嬉しさと適度な緊張感がプラスされ、もともと面白い「スーパーマリオRPG」のバトルにさらなる面白さが加わったように筆者は感じた。

 

 

アクションゲージ」はバトル画面の左下に表示されている円形のゲージで、こちらもSwitch版からの追加要素。アクションコマンドが成功するたびにゲージが増えていき、100パーセントになると「3人わざ」を使うことができる。特別なカットインムービーの演出と共に発生する「3人わざ」は、バトルメンバーの組み合わせによって効果が変わる技で、全体攻撃を行ったり、全体のHPを回復したりといった強力な効果が存在する。

「おたすけキノピオ」はバトルメンバーが2人までの際に使えるもので、、マリオシリーズでおなじみのキノコ族であるキノピオが様々な効果を与えてバトルをサポートしてくれる。


どちらも強力なので、ゲージを100パーセントまでためたら、ボス戦などのここぞという場面まで温存しておきたい。ちなみにアクションコマンドを失敗してもアクションゲージは減らないので安心だ。

 

 

もうひとつ、バトルにおけるSwitch版からの追加要素は「いれかえ」だ。これは仲間が4人以上の場合に、控えメンバーとマリオ以外のメンバーを入れ替えられる機能。SFC版ではバトルに入った際のメンバーは固定のままで戦わなければならず、全員がダウンすると敗北になってしまったが、Switch版ではダウンしたメンバーを控えメンバーと入れ替えるような立ち回りも可能になったため、バトルの難易度がSFC版よりもマイルドになった印象を受けた。

「!」表示やチェイン、アクションゲージなども、それぞれSFC版よりもバトル難易度をマイルドにしてくれる要素であるため、SFC版よりもさらに幅広い層の人々が楽しめるゲームに仕上がったという印象を筆者は受けた。

 

 

アレンジ楽曲収録やモンスターリストなどSwitch版の豪華な新規追加要素を紹介!クリア後のお楽しみ要素も大注目!

ここからは、バトル以外でのSwitch版追加要素について紹介していこう。


まずは、ゲーム全体の難易度をマイルドにしてくれる「エンジョイモード」の追加だ。
バトルが簡単になるなど、ゲームがあまり得意ではなかったり、普段ゲームをあまり遊ばないようなプレイヤーでも楽しみやすくなるモードになっている。ゲーム中にいつでも通常の「ノーマルモード」に切り替えられるので、ゲームに慣れてきたなと感じたら切り替えてみるといった楽しみ方もできる、うれしい機能だ。

 

 

次に、SFC版からのファンである筆者としては是が非でも語っておきたいのが「音楽」だ。
そもそも「スーパーマリオRPG」はゲーム内のBGMがどれも非常にすばらしく、時にコミカルであり時にシリアスであり、耳と記憶に深く残る楽曲揃いなのだ。私事で恐縮だが、SFC版プレイ時に小学生だった筆者は、なんとかして「スーパーマリオRPG」の楽曲をいつでも楽しめる状態にしたく、テレビの音量を最大にしてマイク付きラジカセでゲーム中のBGMを一曲一曲録音するという、なんともアナログな人力サントラを作り上げた経験があったりする。親が自分を呼ぶ声などが入って、何度も収録し直しになったのもいい思い出だ。

話を戻そう。本作は、オリジナルであるSFC版の楽曲を手掛けた下村陽子氏が、全曲のアレンジを担当している。紙面で使えることは難しいが、アレンジされた楽曲はどれも、もとの楽曲の魅力にさらなる大きな魅力が加えられており、一言で言えば最高のクオリティ。そんなアレンジ楽曲に加えて、本作にはSFC版オリジナルのサウンドも収録されており、Switch版とSFC版をゲーム中に自由に切り替えられるという、ファンには感涙ものの機能が実装されているのだ。

 

しかもSwitch版には、クリア後のお楽しみ要素として、全楽曲を好きなだけ楽しめる「サウンドプレイヤー」も開放される。この追加要素、筆者としてはうれしいを通り越して、もはやただただ感謝の気持ちでいっぱいである。

 

 

「モンスターリスト」もSwitch版からの新規追加要素だ。これは、今まで出会ったモンスターのステータスや戦闘中のアニメーションなどを閲覧できる、いわゆるデータベース的な機能で、攻略に役立つだけでなく、鑑賞する楽しみも与えてくれる。特筆すべきはモンスターごとに用意された解説文で、クスッと笑えるものが多く、何度も読み返したくなる魅力にあふれている。

さらにこのモンスターリストでは、マロのスペシャルわざである「なにかんがえてるの」のアクションコマンドを成功させて、覗き見したことのある敵の「考えていること」も閲覧できる。この「考えていること」は、思わず笑ってしまうものやパロディ的なセリフもあって非常に面白く、SFC版からのファンの人気も高い要素。モンスターリストでは「なにかんがえてるの」を成功させたことのある敵にはチェックマークが付くので、思わず全キャラコンプリートを目指したくなること必至となっており、やりこみ要素としても機能している。

 

 

Switch版の追加要素として、クリア後のお楽しみ要素「ボスとの再戦」も存在する。これは、本編登場時よりもパワーアップした一部のボスとの再戦をすることができるというもので、一種のやりこみ要素となっている。本作のボスたちは皆、個性的かつ魅力的であり、バトルも手に汗握る緊張感を楽しめるものばかりとなっているため、そんなボス戦をさらなる難易度で楽しめるというのは間違いなく大きな魅力と言えるだろう。本記事執筆時点ではまだクリアしていないため「ボスとの再戦」は未体験なのだが、今からもう早く遊びたくて仕方がない気持ちでいっぱいだ。

 

「スーパーマリオRPG」は色褪せず現代に蘇り、かつての傑作は〝大傑作〟へと進化を遂げた


というわけで、「スーパーマリオRPG」のファーストインプレッションをお届けした。

 

もともと傑作と名高いSFC版の「スーパーマリオRPG」を、その魅力をいっさい損なわせることなく現代へと蘇らせ、グラフィック一新、アレンジ版音楽、そして数々の追加要素によってさらなる大傑作へ進化させた本作。かつてのCMで歌われていたように、RPGを〝やったことない人も〟〝やり尽くした人も〟プレイしていただきたいのはもちろんのこと、SFC版のスーパーマリオRPGを〝やったことない人も〟〝やり尽くした人も〟ぜひ本作をプレイしていただきたい。この先何十年も忘れられない、〝満足〟を越えたゲーム体験があなたを待っているはずだ。

百壁ネロ

百壁ネロ

ゲーム買いすぎちゃう系ライター。現在積みゲー300本以上。小説家でもあります。著作は「轟運探偵の超然たる事件簿 探偵全滅館殺人事件」(星海社)、「ゆびさき怪談 一四〇字の怖い話」(PHP研究所)など。
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現代によみがえった伝説のアクションRPG「スーパーマリオRPG」レビュー いつもとはちょっと違うマリオの大冒険!