毎年恒例の「年末ジャンボ宝くじ」が11月21日から発売されました。当せん金は「年末ジャンボ宝くじ」は最大7億円、「年末ジャンボミニ」は最大3,000万円となっています。当せん金にかかる税金はどうなっているのでしょうか。税理士の黒瀧泰介氏(税理士法人グランサーズ共同代表)が解説します。

当せん金自体には「税金」はかからないが…

宝くじの当せん金自体には、所得税も住民税もかかりません。ただし、当せん金を受け取ったあとの行動によっては、多額の税金を払わなければならないことがあります。

まず、宝くじの当せん金について取り決めた「当せん金付証票法」という法律があります。この法律が「当せん金付証票の当せん金品については、所得税を課さない」と明文で定めています(13条)。つまり、当せん金自体は非課税です。

宝くじはもともと、一部が収益金として発売元である全国都道府県と20の指定都市へ納められ、公共事業等に用いられることになっています。2022年度の収益金は販売実績額の36.7%(3,052億円)でした(宝くじ公式サイト参照)。それに加えてさらに当せん金から所得税や住民税を徴収するのはさすがに取りすぎだろうということです。

したがって、単に当せん金を受け取る段階では、いっさい税金はかかりません。

当せん金を家族で分配すると高額な「贈与税」がかかる

問題は、当せん金を誰かと分け合う場合です。よくあるのは当せん金を家族で分配するというケースです。この場合は、分配額を受け取った家族に「贈与税」が課税されることがあります。

贈与税の納税申告において原則的な課税形態である「暦年課税」を選んだ場合、贈与額から110万円を差し引いた額に贈与税がかかります(もう一つの「相続時精算課税」もありますが、割愛します)。

贈与税の税率は、親族への贈与について低めに設定されている「特例税率」であっても、[図表]のように高く設定されています。

たとえば、Aさんが年末ジャンボ宝くじの1等に当せんして当せん金7億円を受け取り、半分の3億5,000万円を妻Bさんに贈与したとします。この場合、以下のように、1億8,549万5,000円の贈与税が課税されます。約53%が税金として持っていかれてしまうことになるのです。

(3億5,000万円-110万円)×55%-640万円=1億8,549万5,000円

何もしなければ非課税なのに、うっかり半分を家族に贈与したばかりに、億超えの税金を支払わなければならないハメになってしまうのです。

仮に贈与額が1億円であっても、以下のように、半分近くの4,799万5,000円が税金として持っていかれます。

(1億円-110万円)×55%-640万円=4,799万5,000円

なお、贈与税には2,000万円の「配偶者控除」の制度があり、その他にも「生前贈与の非課税の特例」が各種あります。しかし、いずれも条件があり、都合よくみたすとも限りません。金額も限られています(1,500万円まで等)。

したがって、当せん金を受け取ったあとで家族に分配するというのはおすすめできません。ちなみに、友人同士の場合には、贈与税の税率はさらに高い「一般税率」が適用されてしまうので、なおさらおすすめできません。

贈与税がかからないようにするには?

では、贈与税がかからないようにするにはどうすればいいでしょうか。当せん金を受け取ったあとで分配するのは、どのような方法をとっても「贈与」に該当してしまいます。事前に分配割合を取り決めておいたとしても、変わりません。

したがって、残された方法は、宝くじ自体を「共同購入」することしかありません。共同購入の契約自体は口約束だけでも成立しますが、契約書をしたためておけばより万全です(当せんの確率は「2,000万分の1」ときわめて低いのでそこまでやる必要性は乏しい気がしますが…)。また、分配割合に相当する購入代金は実際に負担する必要があります。

先ほどの例におけるAさんBさん夫妻も、最初から夫婦で共同購入するという形をとっていれば、税金がかからずに当せん金を丸ごと自分のものにできるということです。

共同購入のやり方は、窓口で購入する場合と、インターネットで購入する場合とで少々異なります。

◆窓口で購入する場合

まず、窓口で購入する場合は、当せん金を受け取るときに注意が必要です。当せん金が50万円以上であれば、みずほ銀行の店舗に出向いて手続きをする必要があります。この場合、原則として共同購入者全員で出向き、各々が「当せん証明書」を受領する必要があります。

以下の書類が必要です。

・本人確認書類(運転免許証、健康保険証等)

・印鑑(当せん金が100万円以上の場合)

ただし、どうしても全員揃うのが難しいときは、委任状を書いて代表者に渡し、代わりに手続きしてもらうこともできます(ちなみに、筆者は、もし万が一7億円当たったら、何が何でも都合をつけて駆け付けたいと思っています)。

◆インターネットで購入する場合

インターネットで購入する場合は、宝くじ公式サイトの「共同購入」のコーナーから行います。まず、グループを作成して購入枚数を確認して、そこにメンバーを招待します。

そして、購入した宝くじが当せんすれば、グループとして当せん金を受け取れます。メンバーそれぞれに、購入枚数の比率に応じて当せん金が分配されることになっているので、贈与税がかかることはありません。

このように、宝くじに当せんした場合、当せん金自体は非課税ですが、あとで分配するということになると贈与税の課税対象となり、高額当せんの場合は半分くらいを税金で持っていかれる可能性があります。

もし、家族や友人で当せん金を分け合いたいのであれば、共同購入という形をとるほかありません。1等の当せん確率は2,000万分の1ときわめて低いので、「夢」で終わる可能性がきわめて高いとはいえますが、宝くじを買わないにせよ、買うにせよ、生きていくうえで「夢」は持ち続けたいものです。

黒瀧 泰介

税理士法人グランサーズ 共同代表

公認会計士

税理士

(※画像はイメージです/PIXTA)