カラパイアの元の記事はこちらからご覧ください

 人間を除くと、イルカは脳と胴体の大きさの比率が人間に最も近く、チンパンジーワタリガラスに次いで、地球上で最も知能が高い生物の1種といわれている。

 ネット上では人間をからかったり、逆に守ってくれたりと、面白いイルカの映像をいくつも見ることができるが、今回の映像もとても興味深いものだ。

 なんと、カニ漁の罠の網の中から巧妙に餌だけを盗み取っていくのだ。

【画像】 カニ漁の仕掛けの餌を奪うイルカを初めて撮影

intelligent wild dolphins stealing bait from crab fishermen! World-first footage

 西オーストラリア州バンバリーにあるドルフィンディスカバリー・センターの撮影チームは、バンドウイルカがカニ漁の仕掛け網に口を突っ込んで餌の魚を回収している様子を捉えた。

 この映像はドキュメンタリーの一部として撮影されたもので、同州南西部のレシェノー河口とクーンバナ湾で、イルカたちが目、吻(ふん)、歯を使ってカニ網からエサを回収する様子を映し出している。

 吻(ふん)とはイルカの顔のくちばしのような部分だ。

 ボランティアで映像作家のアクセルグロスマンさんは、このイルカの水中での行動を初めて撮影し、とても興味をひいたと語った。

[もっと知りたい!→]泳ぎの達人、ハンドウイルカの戦略的ハンティング映像

no title
映像は本当に驚きでした。

イルカがこれほどまでに行動し、努力し、学習し、肉体的・精神的な問題を解決して、餌を盗むために行動しているとは、まったく想像していませんでした。
1

イルカを傷つけずに共存していくことが重要

 イルカの専門家であるシャークベイ・ドルフィン・リサーチ・アライアンスサイモンアレン氏は、バンドウイルカは知的な生き物であり、今回の発見はイルカと人間の関係をさらに研究するきっかけになると話した。

イルカが新しい行動を学習し、それを伝達する方法についてさらに学ぶことができるのは魅力的です。

しかし、イルカの福祉と保護にこれ以上の悪影響を与えないようにする方法を学ぶことも重要です。

 ラッセルドーソンさんは、40年以上もバンバリー周辺でカニ漁をしているが、イルカがカニ漁を邪魔するようになったのは、ここ数十年のことだという。

3
ここ20数年は、しょっちゅうです。イルカを見かけたら、カニ網は間違いなく荒らされますね。ちょっぴりイライラしますよ(笑)

 バンドウイルカは、吻、体、歯を使って水中の餌箱を開けることも学んでいるようだ。

 イルカは何十年もの間、このようにカニ漁船から餌を盗んでいたかもしれないが、今回の映像の公開はカニ漁師とイルカがこの地域で共存していく方法について、新たな疑問を投げかけるものだという。

 ドーソン氏は、地元のイルカが彼のカニ漁船を襲い、釣り糸に絡まるのを阻止するため、通常の仕掛けではなく、細い鋼製ケーブルでロックされた餌が入った箱を使う新しい餌付け方法を開発した。

 それだと小さな穴にイルカの吻は入らないため、餌を盗まれることがなく、カニは餌に到達できるそうだ。

私たちカニ漁師は、漁に出て自分たちの仕事をするのが大好きだし、イルカも同じように大好きです。

ただ自然保護の観点から、カニ漁の網でイルカが怪我をしないように、そしてカニ漁師が迷惑を被らないようにしたいだけなのです。

 カニ漁のシーズンは、西オーストラリア州南西部で12月1日から再開されるということだ。

References:Dolphins caught on film raiding crab pots off Western Australia's south-west coast in world first/ written by Scarlet / edited by parumo

 
画像・動画、SNSが見られない場合はこちら

賢いイルカがカニ漁の罠から餌の魚だけを奪い取っていく瞬間を初めて撮影