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英国では新車販売におけるEV(電気自動車)のシェアが2割近くになり、従来のエンジン車からの乗り換えが進んでいる。しかし、電動化が順調に進み始めた矢先、保険料の上昇という暗雲が立ち込めている。

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中古車やスペアパーツの価格高騰、労働力不足、自動車ローンの長期化、人身事故の保険請求件数の増加、保険会社の運用利回りの低下といった要因により、すべての車種の保険料は過去1年で大きく上昇している。

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ガソリン車とディーゼル車の保険料は29%上昇したが、EVではさらなる上昇が確認された。英国で今、何が起こっているのだろうか?

EVの自動車保険料はいくら上がった?

保険の比較サイトを運営するコンフューズド・ドット・コム(Confused.com)によると、英国における全車種の平均保険料は過去1年で58%上昇し、586ポンド(約11万円)から過去最高の924ポンド(約17万3000円)となった。しかし、EVに焦点を当てると、平均を大きく上回っていることがわかる。EVの保険料はなんと過去1年で72%も上昇したのだ。

保険会社が出資する自動車関連NPO法人であるサッチャム・リサーチ(Thatcham Research)は、今年初めに発表した報告書の中で、保険会社がEVをカバーする上で直面する課題と、EVの保険料上昇の要因を挙げている。

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修理費用、修理にかかる期間、保管費用などがEV保険料高騰の主な要因だという。

その要因とは、事故による保険金請求費用がエンジン車よりも高いこと、修理に時間がかかること、損傷したEVを安全に保管するために費用がかかることなどである。英国保険会社協会(Association of British Insurers)が発表した数字によると、EVの保険金請求額は、ガソリンエンジン車やディーゼルエンジン車よりも25.5%高く、修理期間は14%長い。

専門家の意見は?

サッチャム・リサーチはまた、事故がEVの寿命に及ぼす影響について、「安価なバッテリー修理や事故後の診断ソリューションがないことが懸念され、EVが早期に償却され、請求費用が不釣り合いに上昇する原因となっている」と指摘している。

この点、保険会社にとって大きな問題となるのが、交換用バッテリーの価格が、装着されるEVの価値に比して高いことである。交換費用は1万4200ポンド(約265万円)から2万9500ポンド(約550万円)で、サッチャム・リサーチは平均的なEVの製造1年後の市場価値よりも高いと指摘している。

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交換用バッテリーの金額が、車両本体の価値を上回ることも。

同社のエンジニアリングマネージャー、マーク・フライ氏によれば、これは従来の保険モデルを覆すものだという。

「これまでリスクのバランスはドライバーにあったのですが、この新しいEV技術が入ってきたことによって、リスクは自動車にシフトし始めています」

「この問題に対処するため、わたし達は自動車メーカーと協力し、修理のしやすさを念頭に置いてEVを設計し、修理方法と部品供給能力を確保することで、持続的に修理できるようにしています」

保険について消費者にアドバイスするコンサルタント会社、モーター・クレーム・グールー(Motor Claim Guru)の創設者であるティム・ケリー氏は、修理費と部品交換費が高いことがEVの保険料上昇の一因であることに同意したが、最終的にはEV自体の車両価格の高さにその責任の大半があると主張する。

「保険会社にとって最もリスクが高いのはクルマの時価であり、修理費は保険料の6%程度に過ぎません。EVへの移行が加速し、EVに関連する請求が増加するにつれ、保険会社はこのリスクにさらされることになります」

保険会社はどう対応している?

一部の保険会社は、保険料を引き上げて自衛するどころか、単に市場を放棄している。

ジョン・ルイス(John Lewis Finance)もその1社で、同社はEVに関連するリスクとコストを分析しているという。そして今年初め、アビバ(Aviva)は現在英国で最も売れているEVであるテスラ・モデルYの新規契約を一時的に停止した。

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一部車種の保険取り扱いを停止する保険会社もある。

ここ数週間、英国の全国紙には高額なEV保険に関する恐ろしい記事が掲載されており、保険料を4500ポンドも高く見積もられたという人や、更新料が2倍、3倍になったという人もいる。しかし、報道をよく見てみると、彼らは事故による保険金請求やスピード違反の罰則を認めており、また相見積もりをとることで、(前年よりは高いものの)はるかに安い保険を見つけたというケースが多い。

保険料の値上げは続くのか?

保険会社はEVの増加を懸念しているが、モーター・クレーム・グールーのケリー氏は、実際には保険料を押し下げることにつながると予測している。

「より多くの中古EVが低価格で市場に出回るので、保険料は下がるでしょう」とケリー氏。EVの台数が増えれば、修理業者もEVの修理に積極的に投資するという。

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EVが増えて中古車市場も活性化すれば、やがて保険料は下がるという見方もある。

「EVの数が増えれば、修理に必要な設備や熟練スタッフに投資する修理業者も増えると思います。つまり、現在の問題が解消し始めるということです」

相見積もりをとるのが一番

EVの保険料についてより明確な実態を掴むために、英サリー州に住む63歳の男性名義で、4台の中古EVの見積もりを依頼した。8年間は無事故・無違反で、免許証に傷はない。

約50の保険会社が、比較サイトを通じて見積もりを提示してくれた。スマートEQフォーフォーの454ポンド(約8万5000円)からテスラ・モデルYの4887ポンド(約90万円)まで、金額の幅は広い。

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8年間無事故・無違反の63歳男性(誰とは言わない)で見積もりをとってみた。    AUTOCAR

EV保険が同等のガソリン車やディーゼル車よりも高いという事実を無視するわけではない。同じ比較サイトで見積もりを依頼した場合、2019年式のフォルクスワーゲン・ゴルフ1.5 TSI DSGマッチ・エディションの保険料は諸費用込みで350ポンド(約6万5000円)だった。しかし、この調査では少なくとも、相見積もりをとることの重要性を実証できた。また、「EVフレンドリー」と謳う保険会社が最も割高である可能性がある一方で、最も安い保険会社はアドミラルAdmiral)であることも明らかになった。

この数字について、比較サイトを運営するゴー・コンペア(Go Compare)の広報担当社は次のように述べている。

「単純に見えるかもしれませんが、更新時に相見積もりをとることは、自動車保険を節約する最善の方法の1つです。複雑なことをする必要はありません。比較サイトを使用することにより、100以上の見積もりを比較することが可能です」

「当社のデータによると、自動車保険を更新するのに最適なタイミングは、更新期限の27日前で、最も高いのは期限の前日です。平均して、更新まで放置する期間が長ければ長いほど、保険料は高くなります」


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