つまり右折禁止!? 常盤台(東京都板橋区)で見つけた難読標識
つまり右折禁止!? 常盤台(東京都板橋区)で見つけた難読標識

『週刊プレイボーイ』で連載中の「ライクの森」。人気モデルの市川紗椰(さや)が、自身の特殊なマニアライフを綴るコラムだ。今回は、市川紗椰が見つけた一瞬では理解するのが至難な「難読標識」について語る。

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一瞬の判断が求められる車の運転。走行中でも1、2秒で読み解けるように工夫されているという道路標識ですが、たまに、初見には不親切すぎる看板ってありませんか? もちろん、私の運転がへたということもあるでしょうが、一瞬では理解するのが至難な、いわゆる"初見殺し"の標識をちょこちょこ見かけます。

まずは、東京都板橋区ときわ台駅あたりで遭遇した青地に白い矢印が描かれた丸形の規制標識。「白の矢印の方向しか行ってはならない」ことを示す、あのよくある標識です。正式には「指定方向外進行禁止標識」と呼ぶらしく、交差点十字路近くに設置してあるのを誰もが見たことがあるでしょう。

さて、問題の指定方向外進行禁止標識は、東武東上線の踏切の前にあります。直進する矢印から、直角に左方向の矢印が2本。その下には、左の斜め下を指す矢印も。右方向には、そっちには曲がれない、と指定する線がふたつ。

言葉で説明するとよりいっそうわかりにくいですが、矢印が6本に分岐していてカオスな標識です。しかし、意味をじっくり噛み砕くと......シンプルに右折禁止。線路を挟むように道がふたつ通ってるので、表記しないといけない道路がたくさんあるようですね。紛らわっ。

続いての難読標識は、世田谷あたりから大森・平和島方面に向かったところにある案内標識。直進方向には「大森・平和島」と表記。左側には「五反田」、そして右方向には「横浜」の文字。しかし、下の矢印を見ると、右方向も左方向も案内はぐるんと曲がっており......。読み解くと、左方向に進むには右折。右方向に進むには左折。絶対初見では車線を間違えます。

複雑さではなく、先入観によって混乱したのは、環状4号線を走っていると出合う案内標識。八王子街道と交差する手前あたりにあって、神奈川県にありますが、直進方向は「原宿」「泉」。右方向は「目黒」「相模原」。

神奈川の地名に交じって、山手線の駅名でおなじみの街の名前がいくつか。「いったい、どのくらいの距離のどういう位置関係の何!?」と困惑しますが、どうやら神奈川にも原宿と目黒という地名があるようです。自分の勉強不足による難読標識でした。

本来紛らわしくないのに、個人的に初見で混乱した標識の種類がもうひとつあります。それは、東京の下石神井で遭遇した「ハト標識」。黄色のひし形の看板に、黒字で「ハ」。その下には同じく黄色のひし形に黒い「ト」。

どう見ても大きく縦に「鳩はと」と書いてあるけど、これは鹿などの動物への注意を促す警戒標識ではない。正体は、「ハ」に見える標識は前方の道路の道幅が狭まることを示す「幅員減少」、そして「ト」に見える標識は前方にト形の交差点があることを示す「ト形道路交差点あり」。

まあ、よく考えなくてもハト注意な訳はないんですが、「ハト」に見える人は少なくないようで、「全国ハト標識マップ」なるものがGoogleマイマップにまとめられていました。存在はレアですが、あなたの近くにもあるかもしれないので、気になる方はハト・ウオッチングしてください。

市川紗椰
1987年2月14日生まれ。米デトロイト育ち。父はアメリカ人、母は日本人。モデルとして活動するほか、テレビやラジオにも出演。著書『鉄道について話した。』が好評発売中。子供の鳩を見たことない。公式Instagram【@sayaichikawa.official】

つまり右折禁止!? 常盤台(東京都板橋区)で見つけた難読標識