「女性乗務員」の増加がタクシー運転手不足解決の鍵のひとつ! 女性の就労増にはJPNタクシーもひと役買っていた

この記事をまとめると

■近年日勤だけでなく「隔日勤務」のタクシーの女性乗務員が増えている

■日本では年末になるとタクシー強盗が増加する傾向があるが近年はキャッシュレスで減少傾向

■職場環境の改善をもっと行い女性乗務員の登用につなげていく必要性がある

日本は女性乗務員が働きやすいが……

 最近はタクシー乗務員でも女性が増えてきている。過去にも女性乗務員がいなかったわけではないが、リスクヘッジもかねて日勤(朝から夕方までの勤務)乗務が多かったりしたのだが、最近は隔日勤務(午前中出庫して、翌日未明に帰庫する。休憩時間はあるものの連続20時間ほど乗務する勤務形態)でも女性乗務員が多くなってきている。いままでも十分に乗務員を確保できていないなか、コロナ禍になると離職者も増え乗務員不足が深刻となっているなかでは、女性乗務員の積極的な採用は以前に増して目立ってきているように見える。

 日本のタクシー乗務は、そもそも治安がそんなに悪くないということもあり、諸外国に比べればリスクが少ないと言われている。ニューヨーク市内を走るイエローキャブは車種を限らず前席と後席は完全に間仕切りされ、その間仕切りにはナイフを通さないように鉄板が入っているとされている。

ニューヨーク市内を走行する複数台のイエローキャブのイメージ写真

 タイの首都バンコクでは、タクシー乗務員と料金などで揉めた時には「命のためにも」、こちら側(お客)がほどほどで折れたほうがいいと聞いた。タクシー強盗などから身を守るために、乗務員はたいていナイフなどの凶器を運転席下などに隠しており、トラブルが激しくなると刺されたりすることもあるそうだ。ニューヨークのように強固な間仕切りを行わない代わりに、自衛をこころがけるようにしているようであった。

バンコク市内を走行する複数台のタクシーのイメージ写真

 日本でも、年末が近くなるとタクシー強盗が増える傾向にある。警察庁の資料によると2021年のタクシー強盗の発生件数は60件とされている。そのうち48件は検挙されており、検挙率は80%となっている。2016年にいったん増加傾向となったものの、それ以降は減少傾向が続いている。

 かつては、クレジットカードやタクシーチケットぐらいしかキャッシュレス決済がなく、現金払いがメインだったこともあり、とくに木曜日や金曜日などはタクシー需要も多く、乗務員が現金を多く持ちながら乗務していたが、いまではQRコード決済や交通系ICカードなど、キャッシュレス決済方法も多彩となり、以前よりはタクシー車内に現金が少なくなっている(そもそも、乗務員は現金を分散させて保管することを心がけている)。そして、ドライブレコーダーの普及により、車内撮影対応しているタクシーも多く、タクシー強盗自体の検挙率の高さもあり、犯罪者にとってはうまみが少ないものとなっていることもタクシー強盗減少に影響しているのかもしれない。

ドライブレコーダーのイメージ写真

JPNタクシーもひと役買っている

 諸外国、先進国では残念なことなのかもしれないが、タクシー乗務員は「移民が最初に従事する仕事」などとも言われている。たとえば英語圏外の国から英語圏の国にきた直後で言葉に不自由していても従事しやすく、腕一本ですぐ稼ぐことができるということもあり、筆者の経験でも先進国では乗務員が移民と言ったケースに遭遇するのも珍しくない。

 しかし、日本では外国人技能実習生がタクシー乗務に従事できるようにしようといった動きもあるが、諸外国ほど広く移民を多く受け入れることはしばらくなさそうに見える。そのなか、いままでのように男性を主眼にしたリクルート活動をしているだけではなかなか人は集まらない。

 キャッシュレス社会や、ドライブレコーダーといったツールの普及により、以前よりは女性が働きやすくなってきているのは間違いない。さらにいままでのクラウンのようなセダン車両ではなく、タクシー車両のメインとなる、トヨタJPNタクシーMPV(多目的車)スタイルを採用していることで、若手男性乗務員の間でも馴染みやすくなったというので、女性の間でも馴染みやすくなっているのも大きく貢献しているようである。

都内を走行するトヨタJPNタクシーのイメージ写真

 今後はタクシー車両においても、安全運転支援デバイスのさらなる充実など、車両の進化が女性乗務員を増やしていくことには欠かせないし、そこが肝となっていくだろう。

 もちろん、各事業者で保育所の充実など、デバイスに頼ること以外でも就労環境の改善を進めていくのも当たり前の話と考えている。

「女性乗務員」の増加がタクシー運転手不足解決の鍵のひとつ! 女性の就労増にはJPNタクシーもひと役買っていた