オリックス中嶋聡監督は吉田と同郷の秋田出身という縁もある。(C)KentaHARADA/CoCoKARAnext

 日本ハム吉田輝星投手(22)とオリックス黒木優太投手(29)のトレードが11月24日、両球団から発表された。

 吉田は2018年に金足農(秋田)のエースとして夏の甲子園で最速150キロの速球を武器に準優勝に導き、「カナノウ旋風」で一世を風靡した。同年のドラフト1位で日本ハムに入団した。

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 最速150キロ超えの直球とダイナミックなフォームからなる力強い投球でプロ1年目から初勝利をあげるなど活躍が期待されたが、近年は伸び悩んでいた。

 プロ4年目の昨季は主に中継ぎとして51試合に登板、今年は再び先発に戻り、3試合で白星なしに終わっていた。21日に400万円減の年俸1600万円(金額は推定)で契約を更改したばかりだった。

 吉田は球団を通じ「ドラフト1位でファイターズに獲得してもらって、5年間優勝に貢献するような活躍ができず申し訳ないですし、すごく悔しいです。たくさんの方々に支えられて感謝しかありません。ファンの皆さん応援していただいて、ありがとうございました」とコメント。

 一方、オリックスから日本ハムにトレードとなった黒木は立正大から16年ドラフト2位でオリックスに入団。1年目に55試合に投げたが、その後は故障に苦しむなど、今季は12試合登板にとどまっていた。黒木も球団を通じて「突然のことで驚きましたが、必要とされた環境でプレーできるということは野球人としてうれしいことだと思いますので、今は素直に受け止めて新天地で頑張ろうという気持ちになっています」とコメントしている。

 また日本ハムにとっては、期待をかけて獲得したドラフト1位右腕をプロ5年目にして放出するという異例の形となった。背景ににじむのは、育成に定評のあるオリックスへの移籍ということで、環境を変え、もうひと花咲かせてもらいたいとの親心も感じさせる。

 オリックス中嶋聡監督は吉田と同郷の秋田出身という縁もある。リーグ4連覇を狙うオリックスでは日本ハム以上に厳しい一軍の壁にぶち当たることも予想されるが、元来潜在能力の高さは認められている。まだ年齢も若く、一皮むければ、十分戦力として見込まれる。

 一方の黒木もブルペンの厚みを増すには絶好の存在とあって、即戦力として期待される。

 両選手の新天地での活躍も楽しみにしたい。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

日本ハム・吉田輝星 オリックス・黒木優太と電撃トレード 異例のドラフト1位放出ににじむ「親心」「意外な縁」とは