岩浪れんじの同名漫画を、馬場ふみか東出昌大ら豪華キャストを迎えて実写映画化された『コーポ・ア・コーポ』(公開中)。本作で、女性に貢がせて生きる男を演じた東出の撮影メイキング特別動画が解禁された。

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昭和レトロな雰囲気を醸しだす大阪の安アパート、コーポを舞台に、年齢も性別も職業もバラバラで、互いによく知らないながらも縁あって1つ屋根の下に暮らす訳あり者同士が、飄々と生きる日々を描いた本作。11月17日に封切られると、「登場人物全員が愛おしい」、「コーポの空気感に癒される」、「ぼちぼち生きていたらいいか、と思わされた」といった絶賛の声がSNSを中心に相次いだ。なかでも「原作のコマから抜き出てきたよう」、「ハマり役」などの称賛の声が集まっているのが、スーツ姿でバッチリ決め、甘いマスクで次々と女性を口説いて貢がせるニヒルな男、中条紘役を演じた東出の演技だ。

解禁された撮影メイキング映像の冒頭では、歩き方について仁同正明監督から演出を受ける東出の姿が捉えられている。淡々と返事をしつつも、眼差しの鋭い東出が、その後、細かなニュアンスをすぐさま演技に取り入れている様子が伺える。

本作の魅力の1つは、大阪の片隅にあるコーポに住む、どこか人生が上手くいっていない中条をはじめとする登場人物たち。そんな面々について東出は「これが古き良きになっちゃうのが現代ってちょっとしんどいなって思う」としみじみ語る。「こういう人たちがいてぼちぼち生きているっていうのがすばらしいなって思うから、それがこの作品をやる意義なのかなと思います」と優しい眼差しを役柄に向ける東出。

メイキング映像の最後には、東出が思わず大きなくしゃみをしてしまうNGシーンも。すぐに笑いの渦に包まれ、なんとも楽しげな撮影現場の空気感が伝わる。

「『勝ち組』とか『底辺』とか、誰が決めるのか。『常識』とか『良識』とか、それは思考停止になってしまうきっかけの言葉になってしまうのではないか。常識的ではない、底辺の、それでも温かい人々の物語です」と本作について語っていた東出。上手に生きることができない人々を優しく肯定する作品の空気と、それを体現するような東出の自然体の演技に注目したい。

文/山崎伸子

『コーポ・ア・コーポ』で女性に貢がせるヒモ男を演じた東出昌大が語る本作の魅力とは?/[c]ジーオーティー/岩浪れんじ