食育がテーマの舞台「明日、君を食べるよ2023」が12月1日(金)~3日(日)、「新宿村LIVE」にて上演される。食用として育てられている牛をかわいがっている15歳のミゾレをAKB48の岩立沙穂さんが演じる。そんな岩立沙穂さんに出演にあたっての意気込みを聞いた。

【写真】食育をテーマにした舞台に出演するAKB48岩立沙穂さんが今の心境を語る

■「食べることにまつわるお仕事がしたかった」

――舞台「明日、君を食べるよ2023」に出演が決まったときの気持ちを聞かせてください。

実は私にとって今年初の舞台になるんです。ひさしぶりにこうやってオファーをいただけてすごくうれしかったのと、あとは食べることにまつわるお仕事がしたいなというのを最近すごく思っていたところだったので、ぴったりなテーマでぜひやってみたいなって思いました。

――岩立さんが演じるミゾレはどんな役柄なのでしょうか。

私もまだ台本を読んだところなんですけど、ミゾレは再婚相手の連れ子なんです。都会ッ子でへそまがりな少年サナギ(本西彩希帆さんが演じる)が、母親の再婚を機に田舎へ引越してくるんですけど、それでいきなり私にサナギという弟ができるわけなんです。ミゾレは弟に対してお姉さん風を吹かせて、いろいろなことを教えたりとかしてるのがすごくかわいいなって思いました。

私にも実際に弟がいるんですけど、けっこう私も弟にだる絡みみたいな言い方をしてしまうことがよくあって、しょっちゅうLINEとかで、もうとりあえず聞いてほしいことがあったらすぐに弟に送るぐらい仲がいいので、そういう似てる部分があるななんて思ったりもしてました。

ミゾレはちょっと気が強そうな印象を受けるので、そこは自分とはちょっと違うかなって。サナギがやって来るまではお父さんと2人で暮らしていて、きっとお父さんのことを支えていたんだろうなって思いますし、とてもしっかりしているというのをすごく感じる部分があるので、私とは違いますね。15歳のときの自分は、そんなにしっかりした人じゃなかったと思います。大人になった今の自分だからこそ、ちょっとしっかりした部分も出てきたと思うので、今ならちょうどいい感じでミゾレを演じられるかもしれないです。

――演じるうえで意識していることはありますか?

演じるミゾレはテンション感が高くてけっこうパワフルだなって感じるので、自分がふだん落ち着いてる分、より意識してパワフルさを爆発させて演じたいなと思ってます。元気さを表現できるように頑張ります。

――岩立さんと言えば駅弁、食に対する意識が高い印象があります。今回は“食育”がテーマになりますが、食育について考えたことはありますか。

食育について、自分が何かを教えるっていうよりは、これまで自分が教えてもらう立場だったと思うんですね。自分の親戚がお米を作ってたりする関係で、小さいころにお米の1粒1粒にも神様がいるんだよみたいなことを言われて育ってきたんです。

だからこそその1粒を残さず食べようっていう気持ちが芽生えて、白米が好きな人に育ったんです。ご飯だけあればいい、ご飯なら無限に食べられるという感じになったので、そういうことを教わることによって食に対する意識が変わると思います。今回の舞台だったら牛のウシノスケを通して、命を繋いでいくっていうことだと思うんですけど、今回の舞台が何かそういうきっかけになったらいいなって思いますね。

――ステーキ焼き肉も、生きていた牛のことをふだんはあんまり意識して食べないですよね。

意識するとちょっと食べづらいとは思うんですけど、でもそういう現実があってそれを知ったうえで考えることが大切だと思います。今回の舞台が、そういうことを考えるための窓口になったらいいのかなって。

――そうですね。今回の舞台では、最終的には食べられるために育てられている牛をかわいがっているんですもんね。

ただミゾレは最初、そのことを知らないのでかわいそうだなと思いました。最初から食べられる牛だよと言われても受け入れられないとは思うんですけど、でも逆にそうやって愛着が湧いた牛だからこそ、最終的に食べるっていうところに繋がって、ミゾレがどういうふうにそのことを受け入れたのかをこれからしっかりと考えたいなって思ってます。

■「今年は本当に盛りだくさんな1年だったなって。いろいろな活動をさせてもらっていると思う」

――前に出演された舞台「Zip&Candy」でインタビューしたときに、元気をもらっているパワーフードは甘いものでシナモシナモンロールと言っていましたが、最近は?

あれからもずっとシナモロールは好きです。最近は麻辣湯(マーラータン)をよく食べています。最近までAKB48武道館のコンサートのリハーサルをやってたんですけど、なんか疲れると辛いものが食べたくなるのか、リハ終わりにすごく食べたいってなって、麻辣湯の店に直行しててまた明日も頑張るぞみたいな感じだったので、今は麻辣湯がパワーフードです。

私がよく行くお店は自分で具材が選べるんですよ。湯葉みたいな乾燥の豆腐みたいなのがあるんですけど、それを入れるのがすごく好きです。ベースの辛さも選べるので、日によってどれぐらい辛くするか選んで食べています。スープをまず飲んで辛さを実感してから、麺と野菜を食べてますね。

――この舞台の見どころについて教えてください。

テーマとなっている人間とウシノスケとの関係ですね。サナギが田舎にやって来て、新しい環境に馴染んでいくなかで出会うものがたくさんあって、そのなかでもウシノスケとの出会いは、都会で暮らしてたら出会わなかったようなけっこう衝撃的な出会いだと思います。

都会で暮らしていると意識しないかもしれないけれど、ふだん食べているお肉のことだったりするので、この作品はどんな人にとっても改めて考えるきっかけになると思います。この舞台は楽しい部分もたくさんありますので、明るく、そしてときに真面目に、伝えたいことをしっかり伝えられるように演じていきたいです。これから稽古が始まるところなので、今はそんな気持ちで台本を読んでいます。

お肉以外の一つひとつの食材もいつも味わって食べているんですけど、自分はそうやって食べることが好きなので、また改めてそういう大切さっていうのを学ぶ機会になるような気がします。

――話は変わりますが、台詞はいつもどうやって覚えていますか?

久しぶりすぎてどうやって覚えたか忘れちゃってるんですけど、ミゾレはけっこう喋るので、たぶん今まで出演した舞台のなかで台詞量が一番多いかもしれないですね。長台詞になってくると、暗記って感じだとやっぱり出てこないと思うので、どうやって覚えようとかと模索しているところです。耳で覚えるタイプのような気もします。お稽古が始まってからのほうが覚えられるので頑張ります。おうちで台詞を覚えるときは、母がたぶん相手役もやってくれると思います(笑)。

――10月20〜22日の武道館ライブ、お疲れ様でした。じゃんけん大会で優勝し見事センターを勝ち取り、運のよさを実感されたと思いますが、残り少ない2023年をどのように過ごしたいと思っていますか?

今年もあっという間にあと2カ月になったなっていうのはあります。去年の今ごろぐらいになんかちょっとモヤモヤしてたところがあって悩んでいて、2022年も楽しかったけどあんまり前に進めてないような気がしてました。2023年になって気持ちを切り替えて、遠慮せずに自分の好きなこととか、いろいろなことを頑張ろうっていうすごく前向きな気持ちで始めて、事務所を移籍させていただけたりとか、本当にありがたい出来事がありました。

あとは今回のAKB48の新曲、62ndシングル「アイドルなんかじゃなかったら」TYPE-Cのカップリング曲「君は僕を覚えてるかな?」でダブルセンターをやらせていただいたりとか、本当にそういう素敵な機会に恵まれたなと思ってた流れで、じゃんけん大会でも優勝できました。

2023年は頑張るぞという前向きな気持ちでやってきてよかったなって思うことがたくさんあったので、もちろんあと2カ月もその気持ちを継続したいですし、今年はないと思っていた舞台にも出演できると思うと、本当に盛りだくさんな1年だったなって。いろいろな活動させてもらっていると思うので、来年はそれをもっともっと大きく広げていけるような年にしたいと思います。

――AKB48のメンバーとしての今後の目標は?

私はAKB48のメンバーとして、12月8日で12周年になり13年目に突入します。最近同期が卒業したり、コンサートで柏木由紀さんの卒業発表があったり、近くにいてくれた人たちが離れていく、新しい道に進んでいくっていうなかで自分はまだAKB48に残るので、そういう人たちと今まで作ってきたものを大切にしたいと思っています。

研究生もたくさん入って、19期生の募集も始まるなど新しい風も吹いてるので、自分がいられる間にAKB48に残せるものがあれば、本当に協力したいなっていう気持ちでいますので、AKB48のなかでも何かできる人になれるように頑張りたいと思います。

――最後にメッセージをお願いします。

たくさんの女優さんがいるなかで、自分をキャスティングしていただけたこととか、何かのご縁でこうやってこの舞台に参加させていただけるので、今回のこの座組でしかできないものをお届けできるように、これからみなさんとともにお稽古を頑張りたいと思います。本当に素敵なテーマの作品ですので、たくさんの方に観に来ていただけるように、そして心に何か残るものをお届けできるように頑張りたいと思います。ありがとうございます。

取材・文・撮影=野木原晃一

食育がテーマの舞台「明日、君を食べるよ2023」に出演するAKB48岩立沙穂さん