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ミドルサイズSUVに「攻勢」かける

フランスの自動車メーカーであるプジョーは、新型電動SUVe-3008の英国仕様を発表した。価格は4万5850ポンド(約860万円)からとなる。より安価なハイブリッド版も用意されている。

【画像】フランス流の次世代電動SUV、これまでとどう違う?【プジョーe-3008を現行型と写真で比較】 全23枚

e-3008は、最新世代のプラットフォーム「STLAミディアム」をプジョーとして初めて採用しており、これまでのEVとは根本的に異なるモデルとされている。高効率のパワートレインと、SUVでありながら大胆なファストバックデザインを特徴とする。

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プジョーe-3008    プジョー

プジョーは欧州Cセグメントのe-3008を筆頭に、2024年末までに5車種の新型EVを発売する計画で、308と308 SWのEV版、e-408、そしてe-5008が続く。

e-3008では、ファミリー層向けのキャビンを重視しつつ、プジョーらしくスタイリッシュでダイナミックに仕上げた。プジョーの製品責任者であるジェローム・ミシュロン氏は取材に対し、e-3008は「当社のCセグメント攻勢の始まり」と語っている。

「EV市場の成長はCセグメントにあり、(e-208とe-2008による)Bセグメントでの成功に加え、集中的な攻勢をかけていきます」とミシュロン氏。

7.2km/1kWhの高効率パワートレイン

e-3008は前輪駆動方式を採用し、シングルモーター仕様で最高出力210ps、最大トルク34.7kg-mを発生、0-100km/hは8.7秒、最高速度は170km/hとされる。73kWh(実質容量)バッテリーによる航続距離は最長525kmを謳う。ロングレンジモデルでは98kWhバッテリーを搭載し、最高出力230ps、最長700kmの航続距離を誇る。

四輪駆動デュアルモーター仕様も用意され、合計出力320ps、航続距離は525kmとなる。0-100km/h加速6.4秒。

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e-3008は、空気抵抗係数Cd値0.28という空力性能だけでなく、新しいヒートポンプ、冷却システム、ステアリング、タイヤ、摩擦低減ベアリングなど、可能な限り効率性の向上を図っている。その結果、エントリーグレードで7.2km/1kWhというクラス最高水準の効率を実現した。

最大充電速度は160kWで、30分で20~80%の充電が可能で、ピーク時の充電速度は毎分2.4kWhとされる。

e-3008のボディサイズは、全長4542mm、全幅1895mm、全高1641mm、ホイールベース2739mmと、現行型3008よりわずかに大きい。しかし、ショートオーバーハングのプロポーションとクーペスタイルのルーフにより、実際よりもコンパクトに見せている。車重はエントリーグレードで2114kgからで、そのうち約500kgはバッテリーによるもの。

ハイブリッド版として3008も用意され、1.2Lガソリンエンジンに21psの電気モーターと48Vバッテリーを組み合わせ、合計出力136psを発揮する。

先進的なインテリアデザイン

インテリアでは、i-Cockpitの最新バージョンとして、ドライバーディスプレイとインフォテインメントを兼ねる21.0インチの曲面LEDスクリーンが上級グレードに導入される。

標準グレードでは、2枚の独立した10.0インチディスプレイが装備される。センターコンソールには「iトグル」と呼ばれる10個のショートカットボタンが並び、通話など特定の機能を割り当てることができる。

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プジョーe-3008    プジョー

内装材にはクロームメッキを使用せず、ファブリックとアルミニウムを組み合わせたトリムが施されている。

サスペンションは新開発のもので、快適性と「ダイナミックな路上追従性」を実現するという。回生ブレーキは3段階、走行モードはエコ、ノーマル、スポーツの3種類あり、デュアルモーター仕様には4つ目の4WDモードが追加される。

英国仕様では「アリュール(Allure)」と「GT」の2つのグレードが用意され、プジョーはその販売比率を60:40と見込んでいる。

アリュールには19インチアルミホイール、GTには20インチが装備される。

価格としては、ハイブリッド版の3008アリュールが3万4650ポンド(約650万円)、3008 GTで3万8150ポンド(約710万円)から。EV版のe-3008アリュールは4万5850ポンド(約860万円)、e-3008 GTは4万9650ポンド(約930万円)からとなる。

生産はフランスのソショーで行われる予定で、英国では2024年2月に納車が開始される。

デザイン責任者、マティアス・ホッサン氏を直撃

――新型3008を現行型からどのように進化させようと考えたのですか?

「2代目3008はまだ良く見えますが、EVに切り替えたことで考え方が変わりました。ファストバックのシルエットです。お客様にアンケートを取ったところ、このシルエットが魅力的だったのです。挑戦的なシルエットで、408から始めたものをベースにしています。効率性にも優れ、エンジニアリングの課題にも役立ちます」

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デザインに影響を与えたというコンセプトカー「インセプション」    プジョー

――ヒットモデルの後継を作るのは難しいですか?

「成功したクルマを置き換えるのは難しいし、何も変えない方がいい場合もあります。しかし、ディテールの一部には(現行の3008を)思い出させるものがあります」

――コンセプトカーの「インセプション」からはインスピレーションを得ましたか?

「コンセプトカーは、新しいデザインや経験を生み出すための実験室でもあります。わたし達はインセプションより前にe-3008の開発をスタートさせましたが、両車には多くの共通点があります。洗練された、シンプルなデザイン言語とライトシグネチャーです。i-Cockpitも生まれ変わりました。インセプションは、次世代のEVデザインの方向性を示しており、このクルマはその第一弾なのです」

「また、わたしがプジョーで最初に手掛けたクルマ、2014年のコンセプトカー『クォーツ』もあります。ファストバックでダイナミックなデザインで、コンセプトカーが時を経ていかに市販車に影響を与えるかがわかりますね」


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