メジャーリーグで当たり前のように二刀流をこなした大谷。彼の与えた影響力は世界規模で広まっている。(C)Getty Images

 オフシーズンに入っても、大谷翔平に対する娯楽は尽きない。キャリア初のFAを迎えるとあって、去就問題を中心に二刀流スターに関しては誰もがトピックとして取り上げている。

 もはや世界が大谷の一挙手一投足に注目している。その影響力はワールドワイドなものとなっており、アマチュア球界では「二刀流」の成功を目指そうとする選手も出始めているようだ。韓国の日刊紙『国際新聞』は、来春から高校球界の名門・釜山高に入学するハ・ヒョンスンが「韓国の大谷になるのを夢見ている」と紹介している。

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 現在16歳のハ・ヒョンスンは、すでにMLBの3球団がスカウトをしたという超逸材だ。193センチ、88キロという中学生離れした体躯を持ち、投打で違いを生み出している。現時点では最速143キロを投げる投手としての才覚が評価されているようだが、打者としても「高校レベルを脱している」(『国際新聞』より)と評価されている。

 無論、16歳に対して、投打のどちらか一方に専任させることできたはずだ。アマチュア球界ではそうした育成方針を取るチームが少なくない。しかし、釜山高のパク・ゲウォン監督は「ヒョンスンはどんなポジションを任せても消化できる才能を持っている」と断言。「まずは来年の初めに始まる冬季訓練で、投手としての練習をさせ、その合間に打撃練習をさせたい」と本人が望む形での育成を決めている。指導者によるこうした柔軟な判断は、大谷がメジャーリーグ二刀流を成功させ、世界に「二刀流が不可能ではない」と知らしめた影響があると言えよう。

 韓国球界において「大谷のような選手を育てよう」という雰囲気はにわかに出てきてはいる。昨年1月には、元巨人の1軍打撃コーチだった金杞泰氏が、日刊紙『朝鮮日報』で「韓国で大谷のような選手が生まれないのはなぜか?」という問いに、草の根活動の重要性を説いていた。

「韓国にはもっと責任をもって野球を復活させるんだという強い意志と計画が必要だ。日本の球団は草の根から野球を盛り上げようとしているのが印象的だ。これからは、すべてのチームが、直接的にステップアップをサポートし、学生野球の裾野を広げ続けていくことが必要になる。ドラフトにかかるような選手たち以外の部分から目を背けてはいけない」

 好きな選手を問われ、「海外なら大谷が一番好きですね」と語ったハ・ヒョンスン。彼のような超逸材がプロの世界に飛び込むまで二刀流を続けられるかは、“韓国の大谷”を生み出すための試金石となりそうだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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