首都高日本橋区間の地下化に伴う代替路「新京橋連結路」の事業スタートが目前となっています。銀座の地下にトンネルを掘ってC1都心環状線の代替路とする計画ですが、そのトンネルは片側1車線しかなく、交通量的に「足りるのか」という声もあります。

激変する銀座の首都高「新京橋連結路」がミニマムな理由

東京都は2023年11月、首都高C1都心環状線の代替路として銀座の地下に新設する「新京橋連結路」について、環境アセスメントの手続きが完了(環境影響評価書を提出)したと発表。いよいよ事業スタートが目前に迫っています。

新京橋連結路は、日本橋を高架橋で跨ぐ首都高C1の「日本橋区間」(神田橋JCT~江戸橋JCT)を地下化するプロジェクトに伴い、C1の代替路として建設するもの。C1と八重洲線とを地下トンネルでつなぐことにより、将来的にC1は現在の江戸橋JCTを北東端とする環状線ルートから、「神田橋JCT八重洲線~新京橋連結路~築地」という地下ルートへ移行することで“環状”の機能を確保します。

また、現在銀座を取り囲むような高架ルートを構成しつつ首都高とつながっているKK線東京高速道路)は廃止され、緑道となる予定です。

ただ新京橋連結路は、発表当初からあることが懸念されていました。それは、片側1車線のトンネル(上下線でそれぞれ1本、1車線ずつ)であること。C1の交通量を考慮すると、地下と高架を行き来する高低差もあいまって、渋滞するのではないかという声があります。そもそも設計速度も40km/hという低速ぶりです。

この疑問を首都高の記者懇親会などで幹部にぶつけてみると、片側1車線であることにも根拠があることが分かりました。曰く「C1の全部を代替するわけではないからね」。どういうことなのでしょうか。

江戸橋JCTらへんが全部なくなると思ってないか?

新京橋連結路は、C1の代替路ではあるものの、現在C1の北東端を担っている江戸橋JCTが廃止されるわけではありません。新京橋連結路の整備にはあくまで「環状機能の確保」という目的が協調されています。

日本橋区間の地下化後も、江戸橋JCTでは「6号向島線(箱崎JCT方面)~C1(築地方面)」「1号上野線(上野方面)~C1(築地方面)」の連絡機能はそれぞれ維持されます。C1の竹橋JCT方面と6号線の箱崎JCTを直通することも可能になります。機能が失われるのは、あくまで「C1(竹橋JCT方面)~C1(築地方面)」の連絡ランプのみということになります。

つまり、新京橋連結路が直接受け持つのはほぼ、この「C1(竹橋JCT方面)~C1(築地方面)」の交通量のみというわけです。

たとえば、しばしば渋滞する「C1(竹橋方面)→6号線」は、1日あたり4万9700台もの交通量がありますが、「C1(竹橋方面)→C1(築地方面)」は、1日9300台ほどというデータもあります。こうしたことから、新京橋連結路が1車線で足りると判断されたようです。

とはいえ、新京橋連結路の計画交通量は両方向あわせて供用時で1日3万500台、道路ネットワークの整備完了時には3万3700台になるとされています。途中には既存の丸の内出口(八重洲線)のほか、丸の内入口が新設される予定です。完成は日本橋区間の地下化と同時期、2035年度の見込みとなっています。

その線形は地下でV字を描き、最も深いところで地下約40mとなる見込み。地下鉄銀座線浅草線より深く、JR京葉線より浅いところを通すなど、数々の地下構造物の間をぬって構築することになります。銀座のど真ん中で高速道路を新設するというプロジェクトがまもなく始まろうとしています。

C1江戸橋JCT。日本橋区間の地下化後は、この右側のC1連絡路が廃止される(ドライブレコーダー)。