消防士・消防隊・消防署

自殺を図るほどの深い苦悩。そこから立ち上がった1人の女性の生き様が今、世間の注目を集めている。アメリカの『People』や『WMUR』などが報じた。

 

■7年前に自殺を図った女性

「当時、私は何のために生きているのか、自分の居場所が分からなくなり、人生に非常に苦悩していました」と語るのは、テンリー・ジレットさん(30)。イギリス・ニューハンプシャー州マンチェスターに暮らし、2016年9月19日に凍てつくメリマック川に飛び込み自殺を図った。

しかしテンリーさんは、岩に体を強打することもなく川面に浮かび上がった。そこにいた人たちには、「消防隊を呼ばないで」と叫んだという。

 

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■消防隊による必死の救助

だが消防隊は駆け付け、川岸の岩にしがみついているテンリーさんの救助活動が始まった。まずはハシゴを使ってテンリーさんに近付こうと試みるも、危険と判断して断念。ボートに乗り込んで川に入り、ようやく救助に成功した。

その後、「岩に体を打ち付けなかったのは奇跡的な幸運」と考えるようになったテンリーさんは、命があることに感謝するようになったという。

 

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■救ってくれた消防署の隊員に

しばらくして、消防士の友人から「消防隊を受験してみたら?」と誘われたテンリーさん。「小柄だし、無理だよ」と諦めていたものの、一念発起し挑戦してみることにした。

試験に向けトレーニングを開始し、2021年7月に消防士の予備校に入校。厳しい訓練を続け、自身を救ってくれたマンチェスター消防署の消防士として正式に採用された。

現在は試用期間として、24時間勤務の3日間休みで働きつつ、上級救急救命士をはじめとする複数の試験や訓練をこなしている。

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■熱心な仕事ぶりに署長も称賛

同署のライアン・カシン署長はメディアに対し、「テンリーを誇りに思います」「彼女はそのポジションを得るため、一生懸命努力をしてきました」と称賛の言葉を述べた。

さらに「テンリーは勤務時間以外にも人助けをしようと頑張っています。それが私たちの仕事の基本であり、隊員の良きお手本となっているんです」とも語っている。

これに対し、テンリーさんは「そんなつもりは一切なく、ただ精一杯働いているだけ。私の復活が、苦しんでいる人たちの励みになれば嬉しいです」と話している。

 

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■主な相談窓口

・いのちの電話

ナビダイヤル=0570-783-556(10時~22時

フリーダイヤル=0120-783-556(16時21時。毎月10日は8時~11日8時)

日本いのちの電話連盟(https://www.inochinodenwa.org)

川に身を投げるも消防士に救助された女性 命あることに感謝し自身も隊員に