お値段めっちゃ高いんです。

凍結防止剤で道路を傷める 車両も錆びる 解消へ?

NEXCO中日本は2023年11月21日、プロピオン酸ナトリウムを活用した新たな凍結防止剤を今冬から導入すると発表しました。冬場の道路に欠かせない凍結防止剤で、道路が傷んでしまうという問題の解消につながるかもしれません。

道路で使われる塩化ナトリウムや塩化カルシウムといった凍結防止剤は、凍結を防止したり、雪を溶かしたりする効果がある一方で、金属を腐食させてしまうというデメリットもあります。このため、道路の老朽化の大きな要因とされているほか、雪道を走った後は洗車をしないと、主に下回りが錆びてしまうと言われるのは、これら塩を含んだ凍結防止剤などに起因するものです。

特に1990年代スパイクタイヤの使用が禁止されて以降、凍結防止剤としての塩化ナトリウムの使用が増加し、橋梁などの塩害に拍車をかけている側面もありました。そこでNEXCO中日本は2015年度より、代替として「プロピオン酸ナトリウム」略して「プロナト」の検証を行ってきたといいます。

この物質はおもに、菌の繁殖を抑える食品添加物として使用されているもの。塩化ナトリウムよりも金属の腐食抑制効果に優れるといいます。ただ、ネックは価格です。2018年に取材した時点で、塩化ナトリウムの10倍と話していました。

このため、塩ナトとプロナトを9:1に混合し、その性能を検証した結果、塩ナトと比べ凍結防止効果が同程度で、散布時の走行安全性や周辺環境(水質、臭気、植生)への影響や作業性にも問題なく、さらに金属腐食抑制効果を確認したといいます。

2015年度からの試験実績をもとに、新たな凍結防止剤と従来の塩ナトを、橋梁が多い区間(散布区間の橋梁延長比率が約6割)に散布した場合で、「100年間のライフサイクルコスト」(凍結防止剤の散布に要する費用と鉄筋腐食による構造物の補修に要する費用の合計)について試算したところ、新たな凍結防止剤のほうがコストは高くても、約10%のコスト低減が見込めることがわかったということです。

NEXCO中日本はこの冬から、北陸道の白山IC~金沢森本IC間、東海北陸道白川郷IC~小矢部砺波JCT間で導入するとのこと。今後、他区間への導入も検討するとしています。

雪道を走ったクルマのイメージ(画像:kvd62/123RF)。