かつて定番風景だった駅前の客待ちに変化! いま駅からタクシーが消えつつあるワケ

この記事をまとめると

ほぼ日本全国においてタクシー不足が深刻化している

■客待ちするタクシーを見なくなったのは、配車アプリ普及による営業方法の変化も影響している

■利用客が多い時間帯に合わせて利用客が多い場所でタクシーも営業するようになった

駅前から消えた客待ちタクシーはどこに行った?

 コロナ禍に入る前ぐらいまでは、駅前ロータリーのタクシープールといえば、朝夕の通勤時間帯などコアタイム(タクシー需要の多い時間帯)などを除けば、多くのタクシーで溢れかえっていた。

 その後、新型コロナウイルス感染拡大となり、政府の外出自粛要請もあって街なかから人が消えると、タクシーの利用客も大幅に減り、これに伴ってタクシーも稼働台数を大きく減らすこととなった。そして、乗務する機会の消失や新型コロナウイルスへの感染リスクが高さなどにより、多くの乗務員が離職した。

配車アプリとAIを駆使するいまどきのタクシーの営業方法

 しかし、新型コロナウイルス感染拡大も落ち着いて街に人が戻り、海外から多くのインバウンド(訪日外国人旅行客)が多くなっても、タクシーの乗務員が戻ってきていない。乗務員が十分確保できないために街を走るタクシーは増えず、過疎地域から都市部まで、ほぼ日本全国においてタクシー不足となっているのが現状だ。

 駅前のタクシープールに多くのタクシーが客待ちする風景もめっきり見かけなくなった。このような光景になったのも、乗務員不足によるタクシーの稼働台数減少で、少ないタクシーが街なかでフル回転していることが影響していることは間違いない。

配車アプリとAIを駆使するいまどきのタクシーの営業方法

 ただ、原因はそれだけでもない。現状で大手タクシー事業者及び同大手事業者グループ系タクシー事業者を中心に、スマホアプリによるタクシー配車サービスというものが普及している。アプリを開き、現在地を確認して目的地を入力して配車要請すると、近くを走るスマホアプリサービス提携事業者のタクシーが迎えに来るというものである。

タクシーは配車アプリだけでなくAIもフル活用

 筆者も都内でタクシーに乗ろうとしてもなかなかつかまらないことが多く、最近でははじめからスマホアプリで配車要請をかけるようにしている。

配車アプリとAIを駆使するいまどきのタクシーの営業方法

 このスマホアプリサービスによる配車要請に対応しているだけではなく、タクシー向けAI(人工知能)による、需要予測提供サービスというものの利用も増えているそうだ。

 たとえば、筆者は東京に隣接する某県に居住しているが、地元の総合病院にて午前中に診察が終わって調剤薬局で薬を受け取ったころ、つまり自宅に帰る人が多くなる昼近くの時間帯には、総合病院のまわりに病院から帰るためにタクシーを利用する人を目当てに空車のタクシーが多数集まっているのを目撃した。

 アプリでの配車要請だけでなく、病院内にある専用電話による配車要請にも備えているような様子を、筆者のスマホに映るアプリ画面からも確認することができた。もちろん、ベテラン乗務員が長年乗務してきたノウハウで時間帯を選んで病院近くで待機することもあるが、需要予測サービスなども影響しているのではないかと考えている。

配車アプリとAIを駆使するいまどきのタクシーの営業方法

 一方で、総合病院に近いターミナル駅前のタクシープールには、日中はほとんど客待ちするタクシーがおらず、タクシー待ちの長い列ができることも珍しくなくなった。

 街を流していてもお客がなかなか見つからないという時間帯がある。概ね午後1時すぎから3時ぐらいがその時間ともいわれている。過去にはそのような時間帯は駅前のタクシー乗り場で休憩がてら客待ちをするというのも、タクシー乗務員のルーティーンのひとつだった。

配車アプリとAIを駆使するいまどきのタクシーの営業方法

 しかしいまは、AIがビッグデータを解析することで、「乗客空白時間帯」と呼ばれるときも、お客がいそうな場所を検索してくれることもあるようで、多くのタクシーが案内する場所に向かうようになった。

 乗客空白時間帯ではなくても、朝なら朝の、夜なら夜の、そして平日ならでは、日曜ならではといったように、適切にお客がいそうな場所をタクシーが流すようになってきているようである。さらに都内でも実車率(お客を乗せて走っている割合)が6割を超えており、タクシー不足が続いているいまでは、駅前で客待ちするタクシーの姿をめっきり見かけなくなったのである。

配車アプリとAIを駆使するいまどきのタクシーの営業方法

かつて定番風景だった駅前の客待ちに変化! いま駅からタクシーが消えつつあるワケ