俳優の木南晴夏さんが主演を務める、放送中の連続ドラマ「セクシー田中さん」(日本テレビ系、日曜午後10時半)が、話題を集めています。ドラマは、漫画家の芦原妃名子さんの同名漫画が原作で、昼は地味な会社員、夜は妖艶なベリーダンサーという2つの顔を持つ“田中さん”こと田中京子(木南さん)を中心とした人間模様を描くラブコメディーです。

原作に忠実 “ナチュラルな演技”の裏側

“田中さん”の同僚で、一見“愛され女子”だが「若くてかわいいことにしか自分の市場価値はない」と思っている23歳の派遣会社員・倉橋朱里(生見愛瑠さん)が、“田中さん”の夜の一面を知り、とりこになっていくところから物語がスタートしました。

 魅力は何といっても、主人公の“田中さん”のキャラクター。仕事は完璧だけど、地味で社内でも浮いた存在。しかし、回を追うごとに明らかとなっていく、その真っすぐな生き方や濁りのない純粋な心に、朱里と同様、どんどん虜になってしまっている視聴者も多いのではないでしょうか。原作にかなり忠実な本作ですが、田中さんの持つ求心力は木南さんが演じているからこそ、より引き出されている部分は大きいでしょう。

 連続ドラマでは、これまでに「勇者ヨシヒコ」シリーズ(TBS系)のムラサキ役、「海月姫」(フジテレビ系)のジジ様役、「ブラッシュアップライフ」(日本テレビ系)の米川美穂役など、多種多様なキャラクターを多彩な演技で表現し、演技派として知られる木南さんですが、実は、デビュー当初、酒井彩名さん、あびる優さんと共に、期間限定のアイドルユニット「Licca」として活動していました。

 活動終了後は俳優業に転身。2009年に、映画「20世紀少年」でヒロイン・カンナ平愛梨さん)の友人・小泉響子を演じるチャンスを得られました。10月22日放送のトーク番組「おしゃれクリップ」(日本テレビ系)では、当時はなかなかオーディションでヒロイン役を勝ち取ることができず、悩んでいたと吐露。しかし、木南さんの演じる響子が原作のキャラクターに瓜二つと話題になり、「友達役でも見てくれる人がいるんだってマインドが変わった」と語っていました。

 木南さんが演じてきたキャラクターで個人的に強く記憶に刻まれているのが、2009年に放送された「銭ゲバ」(日本テレビ系)での三國茜でした。同作では右頬のあざに加え、足が不自由で車椅子生活を送る社長令嬢を演じました。家を乗っ取るために近づいてくる主人公の蒲郡風太郎(松山ケンイチさん)へのピュアな恋心がどんどん執着に変わっていく様に、当時、恐ろしく衝撃を受けました。

 それから時を経て、2016年放送の連続ドラマ「せいせいするほど、愛してる」(TBS系)では、滝沢秀明さん演じる副社長・三好海里の妻・優香を演じた木南さんですが、この役がまたエキセントリックでした。夫を愛するがゆえにどんどん狂気を帯びていく優香は悪役然としたキャラクターですが、どこかかなしげに見えた人も多いのではないでしょうか。木南さんが演じると、どんな役でも途端にリアルさを帯びてきて、物語が終わった後もその人のことを考えてしまう“後味”が残る感じがします。

 近年は、「君の花になる」(TBS系)や「ブラッシュアップライフ」で主人公の親友役での好演が続いた木南さん。 「こういう友達いる!」と誰もが思うような自然体の雰囲気はさすがの一言で、芝居なのに芝居している感が全くない、“ナチュラルな演技”で視聴者を楽しませてくれました。

 それは「セクシー田中さん」でも同じ。原作に忠実ながらも田中さんのキャラクターを可能な限り現実に落とし込んでいる印象を受けます。特に、第3話での「本当は、きれいだねって言われるより、かわいいねって頭をなでられたい、好きな人にだけは」という田中さんのセリフと表情は、木南さんの演技で切実さを増し、SNSでは共感と応援の声が両方挙がりました。木南さんは自然と物語の世界になじみながらも、そういう誰の心にも引っかかる部分をすくい上げて丁寧に演じてくれます。

 11月26日放送の第6話では、田中さんが憧れるベリーダンサー、愛子先生(未唯mieさん)が登場。愛子先生は田中さんが密かに想いを寄せるペルシャ料理店「Sabalan」のマスター・三好(安田顕)の元恋人と噂される人物です。さらには、田中さんの正体が朱里以外の同僚にもバレてしまうなど、トピックが満載。木南さんが表現する田中さんの心の揺れ動きから目が離せません。

オトナンサー編集部

木南晴夏さん