2023年11月17日に空母への改修が完了した「かが」ですが、かつて災害派遣で艦内の入浴施設を開放したことがあります。そのときは大きなのれんが掲げられSNSでも話題となりました。

隊員用風呂は災害時にも大活躍!

毎年11月26日は「いい風呂の日」と、日本浴用剤工業会がその語呂から定めています。入浴は衛生的な観点とは別に、心身ともにリラックスするという概念的なものも含む、一種の文化的側面もあります。これは船の中で任務に従事する海上自衛官も同じで、艦内には入浴設備が整っています。

海上自衛隊が保有する護衛艦には「隊員用浴室」と呼ばれるものがあり、そこには浴槽とシャワーが設置されています。基本的に港での停泊中は真水を使用しており、普通の浴槽と変わりありませんが、航海中は海水を使うそうです。

海水というと一般的にベタベタしそうなイメージがありますが、護衛艦「やまぎり」の船員が海上自衛隊YouTubeチャンネルで解説していた内容によると、出航して沖に出たときのキレイな海水を使うため、そのお湯につかると、むしろ肌がツヤツヤになる効果があるそうです。また、浴槽こそ海水を使いますが、艦内には「造水装置」という海水を加熱して真水を作り出す装置もあるため、これによりシャワーは基本的に真水になります。

災害派遣でも護衛艦の入浴設備は役立てられており、2018年7月、西日本豪雨広島県呉市で大規模な断水が発生した際は、護衛艦「かが」や「いなづま」などの艦内の隊員用浴場や格納庫に設置した大型浴槽が市民に無料開放されました。なかでも「かが」には、立派なのれんも掲げられ、その船体の大きさと相まってスーパー銭湯や温泉を思わせる風景も。大盛況だったそうです。

その様子は、SNSでも話題になり被災者が投稿した「かが」ののれんや各種施設を見て「不謹慎だけど、羨ましい」「不謹慎ではありますが、入りたい」といった投稿が当時はありました。

空母化により艦首が変更された「かが」(画像:海上自衛隊 第4護衛隊群)。