中島は新天地の中日で存在感を示せるだろうか(C)CoCoKARAnext

 中日11月24日、巨人を戦力外になった中島宏之の獲得を発表した。通算1928安打の実績を誇る右のスラッガーに立浪和義監督も期待を寄せている。“あと1点”が足りなかった打線の底上げに寄与してくれるだろう。

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 今季の中日は「代打の切り札」不足に悩まされた。最も起用されたのが両打ちの加藤翔平で30打席(打率.185)、次いで左打ちの後藤駿太で29打席(同.208)だ。この2人は本来、守備・走塁面に定評のある選手。本来は代打で使いたい選手ではない。

 チーム全体の代打成績を見ても、打率(.173)、本塁打(2)、出塁率(.246)はリーグワースト。得点圏打率もトップの広島(.354)から大きく離された.183に終わっている。ゆえに、代打の専門職は補強ポイントと言っても差し支えない。

 中島は西武時代は大型遊撃手として鳴らし、オリックスでは主に三塁/一塁のコーナーポジションでプレー。2019年の巨人加入後は一塁と代打の役割をこなしてきた。巨人での5年間で通算代打打率は.182だったが、2020~22年の3年間に絞ると.222に上昇。22年シーズンはチーム最多となる41度の代打起用で、打率.243、9打点と存在感を見せた。今季こそチームの若返りで割を食ったが、ファームでは157打席で打率.267、OPS.682と一定の成績を出している。

 近年こそ「代打の切り札」不足と言われる中日だが、歴史を紐解くと、12球団でも屈指の代打屋の系譜が連なっている。

 まずは大島康徳1976年にシーズン代打本塁打7本の日本記録を樹立し、いまだにこの記録は破られていない。通算代打本塁打20本は歴代2位タイ。晩年は日本ハムに移籍したため、20本のうち16本が中日でのものだ。明るいキャラクターと豪快なバッティングで「一発長打の大島くん」と親しまれた。

 次に川又米利1980年代終盤から90年代にかけて、中日の代打の切り札を担った。星野仙一監督の第1次政権の頃である。代打本塁打16本は大島と並んでセ・リーグ2位。左打席であまりにも綺麗なスイングをするため、長嶋茂雄が「ブック(教科書)」と名付けたのは今も語り草だ。

 現在の中日を率いる立浪監督も、選手生活の晩年は代打として過ごした。落合博満監督時代の2006年シーズン途中から代打に回り、09年の引退まで守備に就くことはほとんどなかった。15年以上レギュラーを張っていたことで、当初は代打の準備に戸惑ったというが、徐々に適応。07年には史上2位の93度の代打起用に応え、打率.307、2本塁打をマークしている。

 果たして中島は、このようなレジェンドたちのような「代打男」になれるだろうか。持ち前の勝負強さで中日の躍進に貢献したい。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

「代打の切り札」を期待される中島宏之 中日歴代レジェンドの系譜に名を連ねるか