海をはじめとする自然、愛する人々とのふれあいのなかから生まれる波動を、丁寧かつシンプルなアコースティック・ギターのサウンドと、すべてのものを優しく包むようなソフトな歌声で表現。21世紀における「サーフ・ミュージック」のスタンダードを築いた存在である、ジャックジョンソン。2024年2月に単独公演としては実に13年ぶりとなるジャパン・ツアーを控え、日本のリスナーのためにスペシャルなメッセージをハワイから送ってくれた。

来日公演のチケットはすでに売り切れのため、残念ながらチケットが手に入らなかった人も、彼のサウンドと同じくそのオーガニックでパワーに満ち溢れたメッセージを楽しんでほしい。

2001年に初アルバムを発表以降、時代の流れに左右されず、サーフィンやそれにまつわるさまざまなカルチャー、そして3人の子どもたちに囲まれた愛に溢れた暮らしのなかから生まれる風景や感情を、アコースティック・ギターをメインにしたサウンドで表現。これまでに発表した7枚のオリジナル・アルバムおよび2枚のライヴ・アルバムのトータルセールスが3000万枚に迫るセールスを記録。日本においても08年4月には横浜赤レンガ倉庫特設ステージでの来日公演、また14年のフジロックフェスティバルヘッドライナーを飾るなど、キャリア20年以上にわたり、幅広いリスナーに心地よい波動をもたらしている、ジャックジョンソン。23年は、前年にリリースした最新アルバム『ミート・ザ・ムーンライト』を携えたワールド・ツアー『Meet The Moonlight Tour』を敢行しながらも、地元ハワイでの暮らしを大切にした時間を過ごしていた様子。

ー僕にとってはいい1年だったよ。ツアーをいくつかこなした後、ハワイで結構長く過ごせたから。でも、マウイの火事は悲しい出来事だったね。マウイ島には親しい友人たちが沢山住んでいるし。だから、彼らが何を必要としているかに耳を傾けて、十分に支援できるよう出来るだけのことをしようと心がけているんだ。

 そのツアーや日々の生活を通じて、最新アルバムに対する感じ方にも変化が起こっているようだ。ジャックの特色であるシンプルなアコースティック・サウンドにのせて、「自分の価値観を大切にしながら、さまざまな情報を選択しなくてはいけない」というメッセージをこめて制作された作品。

ー実はレコーディングが終わると、僕はしばらくその作品を聴かないようにしている。僕の場合、完成してから一年近くは、曲を聴くたびにまだ変更したい部分が見えてきたり、ベースやドラムが十分な音になっているかどうかが気になってしまったりするんだ。でも、最近ようやくクルマに乗っている時に改めて聴いてみて、プロデューサーをやってくれたブレイク・ミルズにも『やっとアルバムを聴けるようになって聴いてみたんだけど、アルバム制作を手伝ってくれて本当にありがとう。今まで気づかなかったけど、僕はこのレコードをかなり気に入っている』って連絡できたんだ。それくらい自分でもいいアルバムだと思えるようになった。彼とコラボできたことは本当に楽しかったし、本当に才能のあるプロデューサーだ。音楽だけでなく、友人としてお互いを知る時間を持てたのはすごく幸運だったと思う。

 ジャックに充足感をもたらしている楽曲の数々を、今回もザック・ギル(ALO) をはじめとするいつものバンド・メンバーとともに繰り広げるハートウォーミングセッションで、我々に届けてくれる。

ーアーティストのなかには、常に体制やライブの内容を変える人もいるし、それも立派なことだと思う。でも僕の場合は、友情の軌跡というか、ライブは友人たちと一緒に楽しむ空間でもあるんだよ。親しい友人たちと集まって音楽を作って奏でるという経験を共有できることは、本当に素晴らしいことだと思っている。しかもツアーでは、毎晩その素晴らしい経験を分かち合うことができるわけだからね。親友たちと一緒だと、ライブでミスをしたってそれを楽しむことができる。やらかしちゃったな!とか。あのコードを弾いちゃったなんて信じなれないよな(笑)とか。それも良い思い出話になるんだ。彼らと一緒だと、うまくいってもうまくいかなくても、ライブを楽しむことができるんだよ。

 なかでも、日本公演は楽しい思い出ばかりしかないと、微笑むジャック

ー演奏していてすごく近さを感じる。文化の重なりが沢山あるし、僕が慣れ親しんできたものと深く結びついているからね。そのおかげで演奏がしやすいと感じるのかもしれない。特に気に入っているのは、心地よさと演奏しやすさ。オーディエンスの皆はすごくアットホームで、ショーの一部になるために参加してくれている。一緒に歌ってほしいと思えば歌ってくれるし、静かな曲を演奏すれば、それに敬意を払って歌詞に耳を傾けてくれるし、それは本当にありがたい。日本以外では、その2つのどちらか1つを選ばなければいけないこともあるからね。人々に曲を聴くことに集中してもらうことは容易ではないし、パーティーみたいに楽しく過ごしたいだけで、静かな曲を聴きたがらないショーもあるから。でも日本では、僕らバンドのエネルギーに喜んでついてくれる人たちが多いんだ。静かな瞬間も、盛り上がる瞬間も一緒になってそれを経験できる。日本で演奏するときは、観客のみんなと繋がっていると実感することができるんだよね。

 また、今回のツアーはこれまでで最もいい波動を感じられているという。

ーツアーを振り返ってみると、05年にリリースしたアルバム『イン・ビトウィーンドリームズ』の時が、自分のキャリアのピークになると感じていた。僕は、その流れに逆らおうとしたことはないんだ。僕は、全ての物事には自然な流れがあると思っていて。アーティストの場合、自分自身とあえて競争し続けることで、流れに反してより大きな存在になり続け、人気を維持したいと思う人も多い。でも僕は、物事がある時点まで成長するのは自然なことだと感じていたし、そこに辿り着けたことも自然の流れだった。この仕事を続けられていることに感謝し、幸運だと感じていただけ。人々のために音楽を演奏し続けることは、とても名誉なことだ。でも同時に、ものすごくエネルギーがいることでもある。神経が張り詰めるし、多くの人やエネルギーと接することで緊張感も生まれるんだよね。僕にとって、05年の時期は緊張の連続だった。でも今は、程よい規模で人々のために音楽を演奏する、といういいバランスが保つことができている。ストレスも少ないし、神経をすり減らすこともない。当時の波のサイズは、一時期は20フィート(約6メートル)くらいあった。でも今は、4~6フィート(約1.5メートル)くらいまで落ちて、オフショアで、快適でパーフェクトな波に乗れていると思うね(笑)

 これまでにない最高の波を体感できそうな、来日公演。それを終えると、再び新しい波を探す旅に出かけるジャック

ーツアーを終えたら、しばらくオフを取ろうと思っている。家族との時間を大切にしたいからね。それにツアーをしている最中は、なかなか曲作りに専念できないし。僕は『今書いているものは誰にも聴かれない』と自分を思い込ませるところまで持っていかないといけないから。純粋に音楽に没頭できる時間をまずは作らなくては。だから、次の作品は早くて25年以降になると思うよ

 今後も世界に優しさをもたらす音楽を作り続けていくはずのジャック

ーただ音楽を作り続け、僕が人々に提供できるものを提供し続けたい。音楽から得られる注目に執着しすぎると、音楽が衰退していく、もしくは音楽への関心が薄れてしまった時に不健康になりかねないから、音楽と音楽以外の両方をバランスをとりながら楽しんで続けていくのは大切だ。僕の音楽を聴きにきてくれる全ての人々に感謝しているし、みんなからはいつもエネルギーを与えてもらっているし、本当にありがたいよ。

 来日公演ではジャックから、日々を柔らかく過ごすためのエネルギーを得られそうだ。

ー僕もみなさんと再会できる瞬間を待ち遠しく思っているんだ。それまで、キヲツケテ。マタネ

  • ジャックジョンソンJack Johnson)

    1975年5月18日ハワイ・オアフ島ノースショア生まれ。幼い頃からサーフィンに慣れ親しみ、高校生の頃は世界最高峰のサーフィン大会である”パイプライン・マスターズ”にも出場。プロ契約を果たすものの、ケガを理由に断念。その後、カルフォルニア大学サンタバーバラ校に進学し、映像制作を開始。99年、サーフ仲間のマロイズと組み、サーフ・ムーヴィー『シッカー・ザン・ウォーター』 を完成。アメリカを代表するサーフ誌『Surfer』では最優秀ビデオ賞も獲得するなど高評価を獲得。また、そのサウンドトラックとして自身が制作した楽曲が話題となったことをきっかけに、音楽活動も開始。01年にリリースしたデビュー盤『ブラッシュファイアー・フェアリーテ イルズ』は、サーファーたちの口コミをきっかけにヒットし、ミリオンセールスを突破。05年にリリースされた3rdアルバム『イン・ビトゥーン・ドリームズ』は、幅広いリスナーからも支持され、一躍「サーフ・ミュージック」を代表する存在となった。また、音楽活動だけでなく環境問題にも積極的に取り組み、01年には妻のキムとともにコクア・ハワイ財団を設立。また、ジョンソンオハナ財団では世界中の環境、芸術、音楽教育を支援しており、アルバムやツアーの収益と個人的な慈善活動により、これまでに3700 万ドル(50億円)以上を慈善団体に寄付。

     22年6月に通算8作目となるアルバム『ミート・ザ・ムーンライト』を発表。その最新作を携えて、単独公演としては11年以来13年ぶり、来日パフォーマンスは18年のフジロックフェスティバル以来6年ぶりとなる、ジャパン・ツアーを敢行する。

Interview&Text:Takahisa Matsunaga

Interpreter:Miho Haraguchi

配信元企業:株式会社スマッシュ

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