この記事をまとめると
■トラックステーションは休憩施設と運行管理センターが一体となった道路施設
■最盛期には40カ所に存在していたが、現在は激減している
■理由にはほかの施設のサービスが充実したことなどが挙げられる
最盛期には40カ所に存在したトラックステーション
トラックステーションと言われても、一般のドライバーにはピンとこないかもしれない。基本的にはトラック協会の会員企業のトラックを運転するドライバーが利用する施設だからだ。イメージするなら高速道路上のパーキングエリア(以下PA)が近い存在だろう。
しかし、トラックステーションは単なる駐車場でもなければ食堂でもない。入浴もできるうえに、トラックドライバーには大事な運行管理の役割もある。それでもスマートフォンが普及した現在では、出先の運行管理に拠点は必要なくなってきている。会社からの連絡事項はメールやSNS、電話連絡でも可能だし、点呼(アルコールチェックなど体調管理や業務の確認など)もリモートでできる時代だからだ。
トラックステーションも以前はトラック協会が運営している拠点以外にも、高速道路上などで夜間のみ営業する運行管理センターが存在していた。現在は全国で23拠点を全日本トラック協会が運営し、さらに各都道府県のトラック協会が運営している休憩所が10拠点あるのみ、となっている。しかも、そのなかには食堂が閉鎖されてコンビニになってしまったところなど、人手不足もあって簡素化する傾向にある(逆に女性用シャワーを新設するところもある)。
最盛期には40カ所もあったトラックステーションがここまで減っているのは、単純に利用者が減少しているから。ピークとなる2002年度は300万台もの利用があったのに対し、10年前には230万台へと減少し、その傾向は現在でも続いているようだ。そのため、施設の老朽化や需要減により、閉鎖が続いている状況なのだ。ちなみにトラックステーションと同じように街道筋にあり、大きな駐車場を備えて食事を提供するドライブインも老朽化や後継者不足により廃業となるケースも多い。
ただでさえ大型トラックの比率が増しているというのに、トラックステーションが減少してしまったら、トラックドライバーたちは困らないのだろうか、と思う人もいるだろう。その代わりに台頭してきたサービスもあるのだ。
道の駅、コンビニ、ガソリンスタンドのサービスが充実
まず、トラックドライバーの休憩地点として拡充されている施設が高速道路のPAだ。東名高速や中央道など、日本列島の長さ方向が十分に整備された現在、横方向の道路も充実しており、そこにPAが新設されることで、トラックドライバーの休憩所としての役割を果たしている。
また、一般道ではコンビニエンスストアが充実していることも、大きな要素だろう。地方のコンビニでは大きな駐車場を備え、トラックの来店を歓迎していることも少なくない。そんな充実したコンビニは、トラックドライバーにとって休憩施設としても利用されている。
さらに、最近人気の施設、道の駅の増加は、トラックステーションの代替手段としても役立っている。地方のガソリンスタンドのなかでもフリートユーザー(大口顧客)をメインとするところは、トラックドライバーの利用が多いため、シャワールームを設けているところもある。ガソリンスタンドにシャワールームがあれば、給油のついでに汗を流し着替えることができる。これはコロナ禍で一時利用が制限されたが、それもいまではすっかり解消されたようだ。
コンビニではシャワールームを備えているところは少ないが、今後は地方のコンビニも、シャワールームを併設するところが増えるのではないだろうか。
トラックステーションの利用数が減ってきたのは、トラックドライバーが減少していることだけでなく、過密スケジュールになって、休憩のために特定の場所まで移動する余裕がなくなってきたことも影響しているのだろう。
全日本トラック協会には、今後はトラックステーションを維持運営していくだけでなく、トラックドライバーの待遇改善などにますます力を使ってもらいたいところだ。
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