プライベートジェットと比べていいトコは?

可変式客室や全席ビジネスクラスも

ヨーロッパの航空メーカーのATRは、同社の主力商品であるプロペラ機「ATR42-600」「ATR72-600」などの客室に、全席ビジネスクラス仕様、そしてビジネス機(プライベート機)仕様といった豪華な内装を設置した「ATR ハイライン(HighLine)」のイメージ画像を、公式SNS上で公開しています。この投稿は、2023年11月に開催されたドバイ航空ショーにあわせたものと見られます。

ATRでは、地域航空向けの100席以下のプロペラ民間機を主力商品としており、国内地域航空でも天草エアラインやJAC(日本エアコミューター)、HAC(北海道エアシステム)、ORC(オリエンタルエアブリッジ)が同社機を使用しています。とはいえ、この機は、短距離路線への投入がメインであることから、これらはいずれも上位クラスのない普通席のみの構成であることがスタンダードです。

「ATR ハイライン」の客室はそういった標準的な客室仕様とは全く異なるものとなっています。

公開されている客室仕様は5パターン。旅客機に近いタイプは3パターンで、ファーストクラス(横1-2列)、プレミアムエコノミー(横2-2列)、普通席(横2-2列)の3クラスで構成される50席仕様の「マルチクラス」、標準時は横2-2列ながら、上級クラスとして座席を使用するさいには2人掛けシートの片方を折りたたみ、テーブルとすることができる「プレミアム フレックス」、そして全席ビジネスクラスで最大30席を配する「オール ビジネス クラス」の3種類です。

ビジネス機としての使用を狙った客室仕様は2種類。機体前方をラウンジのようなVIP席を配し、仕切りを隔てた後方に通常の客室を設置した「マルチセクション」、そして、顧客によるカスタマイズが可能な「ビスポーク VIP」という仕様が設定されています。

ATRは、プロペラ機にハイグレード客室を搭載した「ATR ハイライン」について、「もっとも小型のビジネスジェットと同程度の燃料消費量ながら、大型ビジネスジェットと同等の客室スペースを実現しています」とコメント。「最大クラスのビジネスジェットCO2の排出量を半減できる」ともしています。

「ATR HighLine」が搭載されたATR機のイメージ(画像:ATR)。